カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

新風館、2016年3月閉館-歴史的建造物「旧京都中央電話局」、再活用めざし改装へ

京都府京都市の烏丸御池にある歴史的建造物を活用したショッピングセンター「新風館」が3月27日に閉館し、15年の歴史に幕を閉じた。
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新風館。

逓信建築の面影を色濃く残したショッピングセンター

新風館の前身となる「京都中央電話局」は1926年に竣工。
設計は「東京中央郵便局」(KITTE)、「大阪中央郵便局」、「別府市公会堂」、「別府電報電話局電話分室」などで知られる吉田鉄郎によるもので、建築的価値が高い建物として京都市登録有形文化財の第1号として指定されていた。
1990年代初頭までNTTの関連施設(京都電電ビル西館)として利用されており、バブル期には大規模な再開発も計画されていたが、不況のあおりから、歴史的建造物を活かした低層の商業施設として活用されることが決定した経緯がある。

烏丸御池地区の商業施設のさきがけ

新風館」はNTT都市開発により2001年に開業。隣接する京都市役所前駅周辺に1997年に開業した地下街「ゼスト御池」とともに、従来オフィス街として位置付けられていた烏丸御池地区における大型商業施設のさきがけ的存在だった。
館内にはセレクトショップ「ビームス」を核に、アルマーニのセカンドライン「A/X Armani Exchange」、「ヴィレッジヴァンガード」、「crocs」、「DIESEL」などといった高感度なテナントが入居している。2010年からは新風館と同じくNTT都市開発が運営する「LAQUE四条烏丸」ともポイントカードの一体化といった共同販促を実施していた。

閉店を惜しむ声で埋め尽くされたヴィレッジヴァンガード

アートイベントも実施

「新風館」は四条河原町、京都駅など既存の中心商業地と離れていることから、アートなどのイベントを実施することで集客を図っていた。

Re-Cueホールでは多彩なイベントが開催されていた

施設中央部分の円形のステージ「Re-Cue(りきゅう)ホール」では、開業当初から地元FM局「α-STATION(FM京都)」による公開録音やライブイベント、更にはウェディングパーティーを開催。最近では現代芸術家として著名な村上隆の主宰するアート集団・カイカイキキの「ポップアップギャラリー」や、写真集やクラシックカメラを販売するアートセレクトショップ「PHOTO SQUARE」を開設しているほか、ローカルアイドルのライブも行われており、イベントを重視する商業施設として有名になっていた。

15年分の伝えたい

外壁を残しつつ再開発へ-再生めざす

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「近畿電気通信局管内自動式電話交換創始ゆかりの地」

閉館後の「新風館」は再開発される予定となっている。
再開発工事は2016年中に着工され、文化財指定を維持するために外観の大部分を保存しつつ、建物を増築する。
2019年度中には、外観はほぼそのままに、ホテルを核とする複合商業施設として生まれ変わる予定となっている。

外部リンク:新風館
関連記事:別府市公会堂、復原工事が完成

留萌本線・留萌-増毛、12月4日の運行を以て廃線に

JR留萌本線の留萌駅(留萌市)-増毛駅(増毛町)間が、12月4日の運行を以て廃線となる。
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留萌本線(キハ54)。

支援策で自治体が廃止に同意

地元紙・北海道新聞によると、増毛町長がJR側の支援策の上積みを受けて4月8日の町議会で「12月4日の運行を以て廃線とする」ことに同意したと発表。留萌市側もこれに同意する見込みであり、これにより廃止が確定的となった。
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増毛駅舎。

珍駅名で有名、過疎化に加えて平行するバス路線に敗北

増毛-留萌間は1921年11月の開通。「増毛」は珍駅名として非常に有名であった一方で、同区間では並行して沿岸バスが路線バスを運行。
通勤・通学・通院などは、きめ細やかな輸送体制を採っている沿岸バスのほうが利用が多かった。
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車内広告も”増毛駅”を意識して出稿されたものか?

また、近年はJR線が雪崩などにより長期運休することも多く、新たな雪崩対策を行うためには多額の費用がかかるため、早期の廃線を決めたという。
2016年3月改正時点で、同区間の運行本数は6往復。それに対し、沿岸バスの運行本数は22往復となっており、バス路線は高校や病院まで乗り入れている。
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日本海に面する豪雪地帯。

JRが沿岸バスの運行支援も

JR北海道は廃止に伴い、「並行して走るバス路線の増発経費(10年間で5000万円)」、「廃線後の増毛駅周辺の再整備費用(1億3000万円)」、「増毛駅周辺鉄道用地8,000㎡の無償譲渡」、「鉄道定期利用者に対するバス定期との差額補償(通勤定期:1年間、通学定期:在学中)」を打ち出している。
増毛駅は増毛町に譲渡されるため、記念施設化、公園化されることが予想される。

減便・廃駅つづくJR北海道

近年、JR北海道では毎年約300~400億円前後の赤字を出しており、北海道新幹線の新函館北斗開業に伴う3月25日のダイヤ改正においても合理化のために普通列車79本を減便、8駅を廃止したほか、無人駅も大幅に増やしている。
特に根室本線の釧路-根室間(花咲線)は約4割減便となったほか、札沼線浦臼-新十津川を走る列車は1往復のみとなった。
また、車両の更新も大幅に遅らせており、過疎化が進む道内では、今後も減便や、路線の廃止が進む可能性も大きい。
1449781200952-1970年代に製造されたキハ40が快速運用に就く。
経費削減のため、電化区間での運用も多い。

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外部リンク:JR北海道
関連記事:JR夕張支線の廃止、夕張市が容認する方針へ

セブンアイの鈴木敏文CEO、突然の辞任-社長交代の内紛で

セブンアンドアイホールディングス」の鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)が退任することが分かった。
今後、セブンアンドアイホールディングスの全ての役職から退任する。
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イトーヨーカドー1号店の千住店。4月10日に閉店予定。

人事問題で紛糾、米投資ファンド「物言う株主」の反対で

セブンアンドアイホールディングスでは、鈴木会長の主導のもと、4月7日の取締役会でセブンイレブンジャパンの井坂社長(COO)を退任させ、古屋副社長を昇格させる人事案を提案。しかし、社外取締役を中心にこの人事案に反対する意見が出て、否決されたという。
この人事案をめぐっては、セブンアンドアイホールディングスの大株主である米投資ファンドの「サードポイント」が、鈴木氏の影響力を残す人事案だとして反対、井坂氏もCOOに留まりたい意向を示していた。
(追記:創業家の伊藤雅俊氏も鈴木氏の人事案に反対したという)
「サードポイント」を率いるダニエル・ローブ氏は物言う株主として知られ、セブンアイの百貨店全てを売却し、スーパー事業も大幅に縮小もしくは全てを売却させることを主張しているともされている。
この主張を受け、セブンアイは、17年2月までに傘下のそごう柏店、西武百貨店旭川店と、イトーヨーカ堂20店舗を閉鎖させることを発表している。
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閉店する柏そごう。

後継者問題での実質的な引責辞任

鈴木会長は83歳と高齢であることから、退任時期や後継者問題が注目されてきたが、今回の人事において混乱を招いたことに対する責任を取る形での、実質的な引責辞任という形となった。
セブンアンドアイホールディングスでは近日中に臨時取締役会を開いて再び人事案について話し合うとみられており、後継者問題は今後も尾を引きそうだ。

日本型コンビニの基礎を固め、7iを世界的企業にした鈴木氏

鈴木敏文氏は1932年生まれ、83歳。長野県出身。
東京出版販売(トーハン)を経てイトーヨーカ堂に入社。
1973年の米大手コンビニエンスストア「セブンイレブン」の日本進出を主導、アイワイグループ(現セブンアンドアイホールディングス)を日本一の流通企業に育てると共に、経営状態が芳しくなかったセブンイレブンの米法人を買収して黒字転換させるなど、日本を代表する実力派カリスマ経営者として知られている。

外部リンク:セブン&アイホールディングス
関連記事:イトーヨーカドー千住店、4月10日閉店-1号店
関連記事:ヨーカドー1号店の千住店、戸越店など閉店へ

JRおおいたシティ、1年間の入館者2500万人-予想の倍

大分駅ビルを運営する「JR大分シティ」は、2015年4月16日に開業した「JRおおいたシティ」の2015年度の入館客数と年商を発表した。
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JRおおいたシティ。

入館客数は当初予想の2倍以上-集客はディズニーランド級

JRおおいたシティの2015年度の入館客数は約2420万人、年間売上は約224億円。
これは当初予想の1100万人、200億円を大きく上回る数字で、JR九州の駅ビルの入館客数としては「JR博多シティ」に次いで2番目の規模。
開業1年間(2016年4月16日まで)の入館者数は約2500万人を予想しており、これは過去10年間の東京ディズニーリゾートの平均年間入場客数(約2700万人)にも匹敵する数字で、大分県民が1人あたり年に約22回も訪問した計算になる。
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賑わう8階「シティ屋上広場」。神社や遊具も設置されている。

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屋上の神社には仲見世も。

「地域随一の店づくり」で広域集客

JRおおいたシティは21階建てで、開業当初の全183店舗のうち109店舗が大分県初出店。
館内には物販・飲食店舗のほか、シネマコンプレックスやホテル、温浴施設も備える。
また、屋上庭園は日本最大級で、様々な遊具や屋上菜園に加えて、かつて大分駅前にあった楠で造られた「鐡道神社」を設置している。
大理石の床や木を用いた格子天井などといった上質感のある内装は東九州のどの商業施設にも真似できないものであり、徒歩圏に大分県立美術館(OPAM)が開館したことや、東九州自動車道の開通とそれに伴う高速バス路線の開設により宮崎県などからの広域集客に成功したことも集客に寄与したと思われる。
JRおおいたシティの調査によると、全来客数の約1割が大分県外からだという。
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館内のようす。

また、大分県では昨夏に観光キャンペーンが行われ、駅周辺で様々なイベントが開催されたほか、JRおおいたシティにおいても駅前広場「タイムズスクエア」や、8階の「シティ屋上ひろば」などを活用して毎週なんらかのイベントや催事を実施しており、こういったイベントによる集客力も大きかったという。
JRおおいたシティでは、今後も駅ビルの新しさ、楽しさを提案し、駅ビルのファンづくりを行っていくとしている。
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冬季にはイルミネーションが実施された。

大分駅、乗降客数は約4万人に

JRおおいたシティの開業による集客は、駅周辺にも好影響を及ぼしている。
JRおおいたシティは、大分駅の1日あたり乗降客数が約35,000人(2014年度)から約40,000人へと大幅に増加したことも発表した。
これは、2014年度の数値に当てはめると、JR九州では博多駅、小倉駅に次ぐ第3位となる乗降客数だ。
(注釈:鹿児島中央駅も乗降客を増やしたため、2015年度は九州4位となった(2016年10月))
JR九州ではJRおおいたシティ開業に合わせて普通列車を増発したほか、終電の繰り下げも行っている。
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JR大分駅コンコース。木製の格子天井が美しい。

合同セールで百貨店、商店街も盛況

JRおおいたシティの開業によって最も大きく変わったことは、駅ビルと、駅前の百貨店「トキハ本店」、ファッションビル「イオン大分フォーラス」、そして周辺の各商店街が、合同のセールや販促イベントを頻繁に開催するようになったことであろう。
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トキハ本店に掲出されたJRおおいたシティ開業を祝う懸垂幕。

周辺店舗に対する相乗効果も表れており、駅に近い東九州最大の百貨店「トキハ本店」は、駅ビル開業に備えた改装が好評で、衣料品など売上が下がった分野もあるものの、地階の食品売場は前年比約7%高の売上で推移(2015年秋現在)。トキハ地階
新装なったトキハ本店地階。

また、駅に繋がる中心商店街の「セントポルタ中央町」では通行量が増加、空き店舗も殆ど解消されたほか、大分駅周辺は商業地・住宅地ともに殆どの地域で地価が上昇に転じ、更なる開発も活発化している。
現在、JR大分駅の上野の森口(南口)には2016年秋の開業を目指してショッピングセンター「アクロスプラザ大分駅南」が建設中。府内中央口ロータリーの別府寄りには高さ100mを超える超高層ビルの建設計画もあるほか、大分パルコ跡には総合病院(大分中村病院)が入居する大型の複合ビルが建設される予定となっており、今後も大分駅周辺は進化をしつづけるであろう。
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大分駅前の「セントポルタ中央町商店街」。

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開発が進む上野の森口(南口、かつての駅裏)。

外部リンク:JRおおいたシティ
関連記事:JRおおいたシティ、半年で入場者1400万人-年間目標を達成
関連記事:アクロスプラザ大分駅南、今秋開業-大分駅南口
関連記事:別府ステーションセンター、3月26日から「えきマチ一丁目」に

渋谷パルコ、建替えで8月7日閉館-2019年再開業へ

渋谷の顔とも言うべき施設が、その歴史に幕を下ろす。
パルコは、旗艦店である「渋谷パルコ」を建て替えるため、現在の店舗を2016年8月7日で閉館させることを発表した。
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渋谷パルコ。

渋谷の文化発信基地

渋谷パルコは1973年にパルコ2号店として開店。
「パルコ」はイタリア語で「公園」を意味しており、パルコの出店を機に店舗前の道路が「渋谷公園通り」と名付けられたことでも話題となった。
その後はパート1、パート2、パート3の3館体制となったが、パート2は老朽化による耐震強度不足のために2007年に閉館している。その後、2011年のゼロゲート開業により、再び3館体制となった。
 パート1の館内には、当時の西武セゾングループの文化戦略に沿うべく「パルコ劇場」や「パルコミュージアム」を備えており、近隣の東急文化会館などとともに渋谷が東京を代表とする文化発信地となることへの一翼を担った。
売場面積は約19,000㎡、2015年の年商は153億円。
建替えに合わせてパルコ劇場も休館するが、パルコプロデュース公演はビルの建替え中も外部会場での公演を継続する。
また、今回の再開発区域に含まれないゼロゲート、そして小型別館のSR6については、パルコの閉館中も営業を継続する。

高さ110mの高層ビルに-パルコ劇場も復活

新しい店舗は現在パルコのパート1・パート3の場所に建設される。地上20階、地下3階、高さは110mで、延べ面積は約65,000㎡となる予定。
新店舗は9階までがパルコとなり、パルコ劇場も再び入居する予定。
外観は非常に個性的で、10階には屋上庭園などが設置されるとみられる。高層階はオフィスが入居する。
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再開発後の完成予想図(パルコプレスリリースより)。

パルコでは2019年の渋谷パルコ再開業を目指しており、今回の再開発・建替えについては「次世代グローバルショッピングセンターとして新生渋谷パルコを創造することで、さらに街の活性化に貢献できると考え、本計画を推進する」としている。

外部リンク:渋谷PARCO
外部リンク:渋谷パルコ(パート1、パート3)の建替えのための一時休業について
外部リンク:宇田川町15 地区開発計画における都市再生特別地区の提案について
外部リンク:「パルコ劇場」一時休館のお知らせ
関連記事:渋谷モディが開店-目玉はHMV旗艦店
関連記事:新・渋谷駅ビル東棟に屋上展望台-2019年完成予定

小田原アプリ、2016年8月末に閉館へ-旧小田原ビブレ

小田原駅前の銀座通り商店街にある商業ビル「小田原アプリ」が2016年8月末に閉店することが分かった。
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小田原アプリ。

若者に人気の商業ビルだった

小田原アプリは1972年に「ニチイ小田原店」(ニチイ小田原ショッピングデパート、のちのマイカル)として開業。小田原駅から徒歩5分ほどのダイヤ街商店街と銀座通り商店街に面した好立地への出店だった。
1992年にはファッションビル「マイカル小田原ビブレ」に業態転換したもの、マイカルの経営悪化に伴い1999年に閉店。その後、 施設を所有する「小田原ショッピングデパート」による改装を経て2000年に「アプリ小田原」として再開業した。
現在はファッションテナントのほか、「タワーレコード」、「ホビーオフ」、「アニメイト」「サイゼリア」、「島村楽器」などの専門店が入居。小田原駅前を代表する大型商業施設となっており、比較的若年層の客が多い施設だった。
近年も比較的賑わう商業施設であったものの建物の老朽化が進み、改修に多額の費用がかかるために閉館を決めたという。
既に、1月末を以て地階のスーパー「ロピア・ユータカラヤ小田原店」は閉店している。
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地階・食品館入口。2月から地階は閉鎖されている。

撤退相次ぐ小田原駅前の大型店

小田原駅前では、1998年に西武志澤店が、2002年に丸井小田原店が、2013年には箱根登山ベルジュが閉店。更に、今年3月にはアプリに隣接する商業施設「西友小田原EPO」も閉店したばかり。
EPOは館内の多くのテナントが営業を続けているものの、後継の核店舗は決まっておらず、両店舗の閉店は小田原駅周辺の商店街にとって大きな打撃となることは間違いないであろう。
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閉店した西友小田原EPO店。

建物の老朽化による閉館であり、今後建物は解体される可能性が高いと思われるが、小田原アプリの跡地の活用方法などは4月時点では発表されていない。

外部リンク:小田原アプリ | Odawara APRI
関連記事西友小田原EPO店、3月31日閉店 – 一部専門店は営業継続

バスタ新宿、2026年4月4日開業-新宿駅南口に19のバス停を集約

新宿駅南口に日本最大級の高速バスターミナル「バスタ新宿」(東京都渋谷区)が4月4日に開業した。
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バスタ新宿。

JRの線路上に誕生した新バスターミナル

「バスタ新宿」は新宿駅甲州街道改札・新南改札(旧サザンテラス口)から直結の高速バスターミナル。
1999年より国土交通省が約700億円を投じて進めてきた「新宿駅南口地区基盤整備事業」の一環で、施工は大林組、鉄建建設、大成建設、大和小田急建設(フジタ)のJVが担当。
JR線の営業中のJR線の上に新たなビルを建設するという難工事であったが、この「バスタ新宿」の開業により20年近い歳月を費やした南口整備事業は全てが終了する。
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「バスタ新宿」ロゴ(国土交通省関東地方整備局ウェブサイトより)。

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線路の上に建設された。

日本最大級、本州の全都道府県と直結-観光の拠点に

バスタ新宿は新宿駅周辺にあった19のバス停を集約した施設で、発着するバス会社は118社、1日当たりの発着本数は1,625本(開業時予定、国土交通省発表による)。
バスタの完成により、新宿駅は本州・四国の全府県と福岡県、さらに羽田・成田の両空港ともバスで直結されることになり、日本を代表する「ハブターミナル」として期待される。
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バスタ新宿からの高速バスが発着する都市(国土交通省関東地方整備局ウェブサイトより)。

新宿駅から直結

「バスタ新宿」のビルは4階建てで、高速バスの乗り場は4階、降車場は3・4階となっており、新宿駅の甲州街道改札・新南改札を出てすぐのエスカレータやエレベータを上ると直接バス乗り場までたどり着く。
3・4階には、高速バス待合所、きっぷ売場などに加えて、観光案内所「東京観光情報センター」や宅配サービスコーナー、外貨両替カウンター、手荷物預かり所、ロッカー、自動販売機なども設置される。なお、乗り場には売店が設置されていないため、買い物はバス乗り場に着く前に済ませておく必要がある。
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4階・バス待合室の様子。

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「バスタ新宿」フロア構成概略図(国土交通省関東地方整備局ウェブサイトより)。

タクシー乗り場も集約・バスタと直結、渋滞緩和も

バスタ新宿の3階には大型のタクシー乗り場が設置されており、高速バスやJRからタクシーへの乗り換えも便利になるほか、これまでタクシーで渋滞していた新宿駅周辺の甲州街道の渋滞緩和にも一役買うことが期待されている。
なお、バスタ新宿の開業に伴い、バスタ新宿前の甲州街道(国道20号線)は、新宿4丁目交差点(フォーエバー21前)から西新宿1丁目(ルミネ1前)までが終日駐停車禁止となり、原則として流しのタクシーを捕まえることも出来なくなるので注意が必要だ。
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タクシーの乗降が不可となる区間。タクシー乗り場はバスタに集約される(国土交通省関東地方整備局ウェブサイトより)。

始発まで営業する新商業施設「ニュウマン」と直結

また、バスタ新宿は3月25日に開業したばかりのルミネの新商業施設「ニュウマン」(NEWoMan)、オフィスビル「JR新宿ミライナタワー」とも直結。
ニュウマンは朝7時~午前4時までの21時間営業で、始発までの時間つぶしにも使うことができる。
バスタの乗り場には売店などが設置されていないため、高速バスの乗車前に買い物や食事をしたい人はニュウマンを使うと便利だ。
詳しくは:新宿駅新南口「ミライナタワー」「ニュウマン」3月25日開業-全館オープンは4月15日
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ニュウマンとミライナタワー。

先述の通り、バスタ新宿の完成により、新宿は本州・四国の全都道府県、福岡県、更に羽田・成田の両空港と直結されることになる。
バスタ内の観光案内所は多言語対応、かつ発着先の観光案内にも対応するという。近年は都内のホテル不足や宿泊額の高騰から夜行バスを宿代わりにする外国人も増えており、バスタから直通の便が出ている観光地は、これを機にインバウンド客の獲得を狙わない手はないであろう。
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甲州街道から見た「バスタ新宿」と「ミライナタワー」。南口からは横断歩道を渡ってすぐの位置。

外部リンク:バスタ新宿
外部リンク:開業直前!日本最大の高速バスターミナル「バスタ新宿」を完全解剖!その8つの特徴とは(HBO、都商研提供記事)
関連記事:新宿駅新南口「ミライナタワー」「ニュウマン」3月25日開業-全館オープンは4月15日

アベニュークシロ、2016年8月末閉館-旧長崎屋釧路店

北海道釧路市のJR釧路駅前にある大型ショッピングセンター「アベニュークシロ」(アベニュー946、武田ビル)が2016年8月末ごろに閉館する。
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アベニュー946(公式サイトより)。

釧路駅前の核店舗、40年の歴史に幕

アベニュークシロは1976年4月に「サンバード長崎屋釧路店」として開店。その後、 サンバード長崎屋の閉店により、2003年より「アベニュークシロ」となっていた。
(長崎屋は規模を縮小した上で核テナントとして2008年まで出店)
建物は5階建てで、売場面積は約9,500㎡。
しかし、2011年にアークスグループの食品スーパー「フクハラ」が撤退してからは空き床が著しく増加。2016年1月には、3~5階を閉鎖し、1~2階のみでの営業となっていた。この際、大型テナントだった100円ショップ「ダイソー」が閉店、人気テナントの撤退により客足の減少にも拍車がかかったと思われる。
2016年4月現在は1階の核テナントとして「ツルハドラッグ」が、2階の核テナントとして「Kid’s US.LAND」が出店している。営業中の全テナントは約20数店舗。
近年は施設の老朽化も激しく、外壁タイルの剥落も目立つようになっていた。

釧路市旧市街地最後の大型店

釧路市は人口18万人を数える道東の中心都市であるが、中心部では1990年代から2000年代にかけて丸井今井(旧丸三鶴屋)、KOM(くしろデパート)、オリエンタルデパート、丸ト北村、パルコ(地場資本、店名はイムズ)、釧路ステーションデパートなどの大型店が相次いで撤退しており、駅前の北大通り~幣舞橋周辺では空き店舗が目立つ状態となっている。

アベニュークシロの閉店により、釧路市の旧市街地では全ての大型店が姿を消すことになる。
閉館後の活用方法などは2016年4月の時点ではまだ発表されていない。

外部リンク:アベニュークシロ

三菱地所、ホークスタウンモール再開発の概要発表

三菱地所は、2016年3月31日を以て閉館した「ホークスタウンモール」(福岡市中央区地行浜)の再開発計画概要を発表した。
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ホークスタウンモール。

かつてはダイエーグループだったホークスタウン

「ホークスタウンモール」は福岡ドーム隣に位置しており、ダイエーグループによって2000年4月に開業した。
ダイエーの経営不振により2004年に投資ファンドに売却され、その後は2005年にスーパーマーケットの「レッドキャベツ」が、2011年には「HKT48劇場」と100円ショップ「Seria」がオープンするなど、リニューアルが進められてきた一方で、近年は空き店舗が目立つ状態となっており、2015年には三菱地所に売却されていた。
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HKT48劇場。

新施設は現在の1.6倍-Zepp福岡は再出店か

新たな商業施設は、現在のホークスタウンの建物を解体したあとに建設される。
延床面積は約13万㎡となる予定で、現在のホークスタウンの延床面積が約81,000㎡と比較すると、新施設は現在の1.6倍の規模。
近隣のショッピングセンターの延床面積は「マリノアシティ福岡」が約81,000㎡、「木の葉モール橋本」が約84,000㎡、「イオンモール福岡伊都」が約91,000㎡であるため、新施設は福岡市西部で最大級のショッピングセンターとなる。
三菱地所では、ホークスタウン跡地に建設され新施設を三菱地所のショッピングセンター事業の旗艦施設にしたい考えで、現在のホークスタウンとは大きく異なる雰囲気になりそうだ。
(ちなみに、当施設の近隣にある三菱地所系の商業施設としては「INTER MEDIA STATION」(福岡市中央区、通称「イムズ」)、「鳥栖プレミアムアウトレット」(鳥栖市)などが挙げられる)
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新施設の完成予想図(三菱地所サイトより)。

出店テナントについては現時点では未定だが、映画館「ユナイテッドシネマ福岡」、ライブハウス「Zepp福岡」については再開発後の建物への再出店交渉を進めているという。
なお、「ハードロックカフェ福岡」はJP博多ビル(博多丸井となり)に移転、「HKT48」は西鉄ホール(ソラリアステージ内)を利用して定期公演を行うことになっている。

Zepp福岡は5月に閉館

現在、ホークスタウンモールの大型テナントは「Zepp福岡」のみが営業を継続中。
4月中も「SCANDAL」「LinQ」「i☆Ris」など有名アーティストのコンサートが行われる予定となっているが、5月8日の奥田民生、PUFFY、真心ブラザーズなどが出演する「Zepp福岡 Bye Bye バイ」を以て閉館する予定となっている。

追記:震災の影響で閉館が5月9日に延期。チャリティーコンサートを実施する予定。なお、上記のLinQの公演も5月5日に延期。

新しい記事はこちら:三菱地所、ホークスタウン跡に「MARK IS」出店へ-ZEPP福岡も復活

外部リンク:ホークスタウンモール再開発計画について(三菱地所、PDF)
関連記事:HKT48劇場、天神「西鉄ホール」に移転へ-西鉄福岡駅直結

リウボウ、太平洋そごうと提携へ-2016年6月に

那覇市の百貨店「リウボウ」は6月ごろを目途に「太平洋そごう」(台北市)との提携を開始する。
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リウボウ。

ポイント相互利用開始、物産展でも協力

今回の提携では、台湾で使われている太平洋そごうのポイントカードをリウボウで使えるようにすることにより、台湾からの観光客がリウボウへ来店する機会を増やすことが狙い。将来的にはリウボウのポイントカードを台湾でも使用できるように検討する。
また、リウボウは太平洋そごうで開催される物産展への協力を行う。

「太平洋そごう」は1986年にそごうによって創業、台湾大手の百貨店。現在はそごうとの資本関係はなく、FC店舗として運営されているが、近年は日本語サイトを開設、「そごう・西武」からの商品供給も再開させるなど、関係を再強化している。
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太平洋そごう。

インバウンド客の獲得目指すリウボウ

「リウボウ」は1948年創業の貿易会社を起源とする。1954年に百貨店化。百貨店「リウボウ」、スーパーマーケット「りうぼう」、複合商業施設「ハピナハ」(旧沖縄三越)などを展開する「リウボウホールディングス」の中核企業の1つで、沖縄県唯一の百貨店。
沖縄県は地理的な近さ、航空路の利便性向上により台湾からの観光客が非常に多い。リウボウは国際都市那覇の地域一番店として、今後もインバウンド客の獲得に向けた対応を強化する構えだ。

外部リンク:リウボウオンライン
外部リンク:太平洋そごう