東京都民銀行(港区)、八千代銀行(新宿区)、新銀行東京(新宿区)を傘下に持つ「東京TYフィナンシャルグループ」(東京TYFG)は、2018年5月に3行を経営統合し、「東京きらぼしフィナンシャルグループ」・「きらぼし銀行」(Kiraboshi Bank,Ltd.)とすることを発表した。
東京都民銀行日本橋支店。
「きらぼし銀行」、都内最大の地方銀行に
東京TYフィナンシャルグループは地方銀行の「東京都民銀行」(1951年設立)と第二地銀で旧・八千代信用金庫だった「八千代銀行」(1924年創立)により2014年10月に設立。
2016年には経営再建中だった東京都出資の信託銀行「新銀行東京」(2004年設立)を傘下に収めるとともに、3行の経営統合に向けた準備が行われていた。
3行・きらぼし銀行の概要(公式サイト資料より)。
合併は当初2017年度中に予定されていたものの、システム統合作業の遅れなどから2018年5月に延期されることとなったもの。また、合併後は、新銀行東京の基幹系システムを都民銀行に統合する一方、八千代銀行とのシステム統合は延期されるが、最終的にはNTTデータが提供する共同システムに統合される予定だという。
存続会社は八千代銀行だが、銀行コードは都民銀行のものを使用する。
八千代銀行原宿支店(左)。
「新銀行東京」も巻き込む3行統合
-「東京のための銀行」として都との関係強化も狙いか
合併後のきらぼし銀行の本社は八千代銀行本店(新宿区)に、きらぼし銀行の本店は2017年に完成予定の都民銀行本店ビル(港区南青山)に置かれる。また、地方銀行ゆえに、合併後も殆どの支店は東京都内とその周辺(相模原市、川崎市、横浜市など)にドミナント展開され、地域に密着した経営が行われることになる。
店舗ネットワーク(公式サイト資料より)。
きらぼし銀行の総資産は5兆円を超える見込み。
東京TYFGでは、東京オリンピックを控えた東京都において「東京都民のための銀行」としてアピールすることで経営基盤を強化するとともに、設立の経緯から商工会議所との結びつきが強い都民銀行と、信用金庫を起源に持つ八千代銀行という、いずれも中小企業の経営支援を得意分野とする両行にとっては、東京都が出資する新銀行東京を傘下に収めたことで「都との繋がり」も強化したい思惑があると考えられる。
さらに、新銀行東京はもともと石原元都知事により都内の中小企業支援を掲げて誕生した銀行であり、新たな法人顧客の獲得も期待できよう。
また、都民銀・八千代銀は東京都下に複数の自社物件店舗を持つため、今後は合併による支店統合により、一部不動産を売却、もしくは賃借することで、経営効率化とともに所有不動産の収益化を図ることも可能となるであろう。
イメージキャラクターは「リトツツインスターズ」
東京TYFGでは、合併後の新名称発表に先駆けて、2016年8月よりグループの新キャラクターをサンリオの「リトルツインスターズ」(キキララ)としている。
リトルツインスターズは「きらぼし銀行」の名称・イメージに合致することから、経営統合後も継続して使用されると考えられる。
外部リンク:東京TYフィナンシャルグループ
外部リンク:当社子銀行の合併および今後のビジネス戦略ならびに当社商号変更のお知らせ