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五反田TOCビル、2024年3月末閉館-「東京卸売センター」誕生半世紀で老朽化、超高層ビルに建替えへ

東京都品川区の大崎広小路駅近く・国道1号線沿いにある複合商業施設「TOCビル」(テーオーシービル・東京卸売センタービル)が、建替えのため2024年3月末までに全店閉店・閉館する。

TOCビル。(東京卸売センタービル)

1970年に生まれた五反田のランドマーク「TOC」

TOCビルは、親会社であった星製薬の工場跡に1970年3月に開館。星製薬は創業家であり、一時期はSF作家の星新一氏が社長であったことが有名であったが、TOC開館当時は経営再建のためホテルニューオータニなどを経営する大谷家の経営となっており大谷米太郎氏が社長を務めていた。
TOCは、問屋街全盛期だった1960年代当時に通商産業省が主導していた卸売業の近代化計画に呼応して建設されたもので、星製薬再建の切り札でもあった。

館内にある大谷米太郎氏の銅像。

TOCビルは地上13階・地下3階建て、延床面積は約17万4000㎡で、建物は株式会社テーオーシーが所有する。当時の五反田では圧倒的な規模の建物であり、地域のランドマークとなった。
館内には多くの小売店、飲食店、卸売店、オフィスなどが入居。会議室、展示室なども備えているほか、屋上には神社も設けられてる。

TOCビル屋上。

テナントとしては近年はユニクロ、アカチャンホンポ、ABC-MART、ユザワヤ、スーツカンパニー、ローソン、サブウェイなどが出店。星製薬(現在は2代目、TOCの子会社)の本社も入居していた。

閉店セールがおこなわれるTOC館内のようす。

建替えのため閉館-超高層ビル建設へ

TOCの建物は建築から約半世紀を経過しており、2021年には2023年春の閉館をめざして建替え・再開発計画が始動。のちに閉館時期は2024年春頃に延期されていた。今後、店舗・テナントの殆どは2024年3月末までに撤退する予定で、店内で営業を続ける店は閉店セールが行われている。

新・TOCビル。(TOCウェブサイトより)

新しいTOCビルは地上30階・地下3階建てで、延床面積は約27万6,000㎡、高さ約150mを計画しており、2027年度の竣工をめざして工事が進められる予定となっている。

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ふらり京橋、2024年3月30日開業-イオンが運営するダイエー京橋店跡の「公園」、飲食街が開業

大阪府大阪市都島区の京橋駅近くにあったショッピングセンター「イオン京橋店」(ダイエー京橋店)跡地にイオンモールが運営する公園「ふらり京橋」(FULALI KYOBASHI)が、2024年3月30日に本格開業する。

ふらり京橋。

2019年に閉店したダイエー→イオン京橋店

イオン京橋店は1971年11月に「ダイエー京橋店」(京橋ショッパーズプラザ京橋)として開業。関西におけるダイエーグループの旗艦店で、最盛期には同社店舗のなかで西日本一の売上を記録した時期もあった。

ダイエー京橋店。

その後、ダイエーの総合スーパー事業縮小に伴い2016年3月をもってイオンリテールに運営移管、現在の店舗名に改称した。建物は地上5階建てで店舗面積は22,769㎡、建物はダイエー→イオンリテールが所有していた。
しかし、再開発のため2019年9月に閉店。建物が解体されたものの、跡地は更地となっていた。

当面は公園や駐車場になったダイエー跡

ダイエー・イオン京橋店の跡地は当面はイオンモールが暫定施設として設置・運営する公園「ふらり京橋」と平面駐車場となることが決定。合計敷地面積は1万4800㎡で、2023年7月に一部が1期開業。
公園としてイベント広場が設けられたほか、時おりキッチンカーなどが出店しており、2023年秋ごろに全面開業する予定としていたものの、計画が遅れていた。

ふらり京橋の全景。

3月から4月にかけて飲食店4店舗などが出店

2期開業となる3月には、飲食店として大阪の老舗うどん店「うどんの祥 かな泉」、神戸市南京町の老舗中華専門店「神戸南京町 皇蘭」、16タップの樽生クラフトビールと国産食材を使った料理が楽しめるビアバー「クラフトビール BAK」、本場仕込みの味を楽しめるベトナム料理店「ベトナム料理 これがPho」の4店舗が出店。
このほか、QRコード決済アプリと連動する無人販売機「スマリテ」が4月26日に導入される予定となっている。

イオン京橋店跡地「ふらり京橋」イメージ。(リリースより)

イオンモールは今回の暫定開発に際して「将来の開発事業を推進するために、アグレッシブルなチャレンジを呼び込むことで、期待感醸成やエリア周知を目的にプレ事業として実施する」「京橋の街に住まう人や訪れる人にとって「未来の光景」を感じられる場所を目指す」としている。

ふらり京橋

大阪府大阪市都島区片町二丁目1-1
駐車台数:約190台
営業時間:店舗により異なる

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フードウェイ野間大池店、2024年3月15日開店-ユニードダイエー跡「パセオ野間大池」、サンリブ撤退から半年で復活

福岡県福岡市南区の野間大池公園横にあるショッピングセンター「パセオ野間大池」に、新たな核店舗「フードウェイ野間大池店」が、2024年3月15日に開店する。

パセオ野間大池。(マルショク撤退直前)

マルショク・コスモスの2核併存だったが…

パセオ野間大池」は1976年に開業し2005年に閉店した「ユニードアピロス野間店」(のちユニードダイエーを経て「ダイエー野間店」)の跡地に2008年11月に開業。核店舗として「サンリブマルショク野間大池店」と「ドラッグストアコスモス」が出店していたが、2023年9月にマルショクが撤退。コスモスも食品取り扱いを拡大しているため、後継店舗の出店があるかどうか注目されていた。
パセオの店舗面積は4,927㎡で、建物は西銀系の九州リースサービスが所有、福岡地所系のサンライフが管理をおこなっている。

フードウェイ出店、パセオもリニューアル

パセオ野間大池では、マルショクの撤退後に全面改装を実施。また、人口密集地帯ということもあり、わずか約半年での核店舗出店となった。
フードウェイはとくに精肉など生鮮部門・食品の質の高さをウリにしており、同居するコスモスとの差別化ができるかどうかが注目される。

フードウェイ野間大池

福岡県福岡市南区柳河内1丁目2-2
営業時間:9時半~24時(土曜日のみ9時開店)

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オーケー東伏見店、2024年3月13日開店-地階ワンフロアにフルライン展開

東京都西東京市の西武新宿線西武柳沢駅・東伏見駅徒歩圏内の東伏見稲荷神社近くに、オーケー(本社:横浜市西区)が運営するディスカウント食品スーパー「オーケー東伏見店」が2024年3月13日午前9時に開店する。

地階ワンフロアに売場集約、地上部は立体駐車場

オーケー東伏見店の建物は地上3階地下1階建で売場面積は約1,929㎡。駐車場台数は75台。
東伏見店は「Everyday Low Price(現在の高品質・Everyday Low Price)」を掲げる同社のディスカウントスーパーマーケット業態の店舗であり、標準店舗のなかは比較的大型店にあたる。
同店では営業フロアを地階ワンフロアに集約し、生鮮3品(青果・水産・精肉)に加え、店内製造の惣菜・ピザ・ベーカリーや寿司・酒・日用品・医薬品を展開。
地上部を立体駐車場(145台相当)とすることで、自家用車による買物ニーズの獲得を図るとみられる。

オーケー東伏見店。

オーケー東伏見店

住所:東京都西東京市東伏見5-1-26
営業時間:午前8時30分~午後9時30分
※開店当日のみ午前9時営業開始

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MEGAドン・キホーテ成増店、2024年3月13日開店-本社機能も置かれた旧ダイエー跡、東京23区最大級のMEGAドンキに

東京都板橋区の東武東上線成増駅・東京メトロ有楽町線副都心線地下鉄成増駅近くにある成増スキップ村商店街のイオン系総合スーパー「ダイエー成増店」跡に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)の総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ成増店」が2024年3月13日午前8時に開店する。

成増を代表する大型店が前身だった

MEGAドン・キホーテ成増店の前身となるダイエー成増店は、1988年6月に地場系商業施設「成増名店街」跡地を建替再開発するかたちで開店。建物は地上7階地下3階建で売場面積は15,583㎡。
成増名店街は百貨店「丸井成増店」を核に首都圏地場食品スーパー「シヅオカヤ」(忠実屋傘下を経てダイエー傘下)や「モスバーガー」創業実験店が入居していた地域随一の大型店であり、ダイエー開店当初も「成増名店街ビル」を掲げていた。(現在は明治安田生命成増ビル

一時は本社機能も置いたダイエー、19年末閉店していた

ダイエー成増店は東京23区の同社店舗としては有数の“自社物件”だったこともあり、ダイエーグループが1990年代以降自主再建を図る過程で本社機能(成増オフィスセンター/グルメシティ関東本社など)の一部を館内に移転集約するなど、再建の鍵としての役割を担っていた。
ダイエーのイオン傘下入り後は店舗規模を再び拡大し、家電量販店や自社系書店など40超の専門店を導入したが、同社再建過程で施設所有者となった明治安田生命との契約更新不調により2019年12月をもって閉店。
後継としてディスカウントストア「ドン・キホーテ」とセゾン系パチンコ店「コンサートホール」の進出方針が早期に決まっていたもの、開店時期未定の状態が長らく続いていた。

東京23区内最大級のMEGAドンキ、約12万アイテム展開

MEGAドン・キホーテ成増店の建物は地上7階地下3階建で直営営業フロアは1~4階、売場面積は約8,590㎡。
MEGAドンキ成増店は「売り場面積都内最大級の「MEGA」店舗」を掲げ、生鮮食品から日用品、家庭用雑貨、トレンド商品まで約12万アイテムを展開する。

MEGAドン・キホーテ成増店。

精肉研修拠点活かした独自施策やフルラインの惣菜も

MEGAドンキ成増店1階生鮮食品売場のうち、精肉コーナーでは銘柄牛希少部位のオーダーカットに対応した対面販売を展開。各店舗精肉担当者の技術習得を目的とした「精肉研修センター」を併設しスライス不揃い肉の割安販売を実施するなど、同社が得意とする驚安商品からこだわり商品まで買物客の幅広い需要に応える。

MEGAドン・キホーテ成増店精肉対面販売イメージ。

また、惣菜コーナーでは直営石窯ピザ店「TOROLISTA」やニッチな直営弁当惣菜ブランド「偏愛めし」、PPIH系都心向け高級弁当惣菜店「eashion」(カネ美食品/旧ユニー系)を店内調理の専門店スタイルで展開。帰宅途中の来店客による中食需要に応える。

新業態ノウハウ投入「デイリー」「トレンド」ともに強化

MEGAドンキ成増店3階には同社新業態「キラキラドンキ」のノウハウを活かしたZ世代女性客向けSNS話題商品売場「キラキラコーナー」を導入。自社ブランド「me&do」やコスメ商品・フェイスマスク特化型売場「マスクドンキ」など、トレンドを意識したコーナー展開を行うとしている。
このほか、子育て世代が住むマンション・団地を擁する立地特性を活かし、PPIHグループ都内最大級の自転車売場(約250台)や家電家庭用雑貨の拡充、3種類同時購入による割引施策といった取組みを打ち出す。

MEGAドン・キホーテ成増店3階コスメコーナーイメージ。

ダイエー成増駅跡は長らく、ドンキの新装開店時期未定が続いていたこともあり、先行きを不安視する声も聞かれていたが、PPIHグループの強みやドンキ新業態のノウハウを活かした東京23区内最大級のMEGAドンキとして再生することとなった。

MEGAドン・キホーテ成増店

住所:東京都板橋区成増2丁目21番2号
営業時間:8時~25時

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新所沢パルコ、2024年2月29日20時閉店-約40年愛された「しんとこ」の顔、式典には2,000人の来場者も

埼玉県所沢市の西武新宿線新所沢駅前にあるJフロントリテイリング系ファッションビル「新所沢パルコ」が2024年2月29日午後8時をもって閉店し、約40年の歴史に幕をおろした。

新所沢パルコ山本仁也店長。

首都圏有数のニュータウンとして発展した新所沢

現在の新所沢駅周辺は、1957年の日本住宅公団(現UR都市機構/都市再生機構)による北所沢ニュータウン計画発表を契機として、1958年より新所沢団地の分譲が本格化。1959年2月には西武鉄道北所沢駅が新所沢駅に改称し、西武ストアー(現西友)を始めとする西武系企業による生活基盤の拡充がみられるようになった。
新所沢駅周辺は首都圏有数のベッドタウンとして発展を遂げることとなった一方、1971年4月に建替新装開店した西友を除けば、駅周辺の大型店は依然として少なく、西武鉄道から派生した西武セゾングループが地域最大級となる複合商業施設として、1983年6月に新所沢パルコを開業するに至ったという経緯があった。

郊外初パルコ、“しんとこ”密着の独自路線で親しまれた

新所沢パルコの建物は2館地上5階地下1階建で店舗面積は18,144㎡。両館ともに自社所有物件だった。
開業以来、新所沢パルコ独自の2館体制「パルコ館」「レッツ館」やシンボル空間「ガレリア」という店舗構造、首都圏有数のベッドタウンという立地特性を背景に、パルコが得意とする高感度ファッションブランドに加えて、ファミリー向け専門店や映画館を展開。近隣住民を中心に定着している新所沢の通称“しんとこ”を前面に押し出すなど、地域密着の施策で顧客獲得を図った。

新所沢パルコ。

新所沢パルコは、同社がコミュニティ型店舗と定義する首都圏近郊・地方店舗(2019年当時の分類)のなかでも、2019年度の売上高は約100億円と健闘していたが、2021年2月に親会社のJフロントリテイリングとの連名で「継続的な競合店の開業・増床リニューアル」「所沢駅周辺での大規模再開発」を理由とした「2024年2月29日付での営業終了」を発表。以後、3年という長い期間にわたり閉店準備が進められることとなった。

最末期にも80店舗超営業、各店単位での個性的な施策も

新所沢パルコでは2024年2月の閉店時点においても、紳士服店「TAKA-Q」「ORIHICA」、靴量販店「ABC-MART」、イオン系100円ショップ「キャンドゥ」、ゲオ系オフプライスストア「LuckRack」、家具インテリア雑貨店「ニトリデコホーム」、文具雑貨店「世界堂」、家電量販店「ノジマ」、音楽ショップ「バンダレコード」、旧西武セゾン系専門店「アミュージアム」「パルコブックセンター」「無印良品」「新所沢レッツシネパーク」など80を超える店舗が営業を継続。
新所沢パルコ全館企画として、2023年6月から40周年感謝祭「しんとこパルコの恩返し」が開催され、各店舗単位でも売りつくしセールや記念グッズの販売、展示企画が継続的に打ち出されたこともあり、当初より“しんとこのシンボル”を惜しむ客の来店が目立った。

24年2月から「さよならフェス」大規模イベント連続開催

新所沢パルコでは2024年2月から「40年間ありがとう 新所沢PARCO さよならフェス」と題し、以前から定評のあった地域密着マルシェ「とこロコマルシェ」「彩の国マルシェ」の連休連続開催や埼玉県内に本拠を置く大手餃子チェーン「ぎょうざの満洲」とのコラボ、新所沢に拠点を置く経済アナリスト森永卓郎氏による「モリタクB宝館」のサテライト展示といったイベントを開催を打ち出した。

悪天候の閉店当日、約2,000人に囲まれ歴史に幕

新所沢パルコの閉店当日2月29日は悪天候であったが、同店に縁の深いアーティストによるパフォーマンスフェスを午後から開催するなど、40年の歴史の締めくくりに相応しい賑わいをみせた。

新所沢パルコの閉店記念セレモニー。

フェスの集大成として午後8時からは閉店記念セレモニーを開催。山本仁也店長は「とても幸せな40年間」と評し、約2,000人の買物客に囲まれ、しんとこのシンボルはその歴史に幕をおろした。

閉店式典終了後も記念撮影を求める客で賑わいをみせた。
広報担当者からはSNSでの発信に期待を寄せる声も聞かれた。

なお、新所沢パルコの跡地活用に関しては2024年2月の現時点において明らかになっていない。

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イオン今池店、2024年2月29日閉店-ダイエーから54年の歴史に一旦幕、最古のイオンとして閉店式典も

愛知県名古屋市千種区の名古屋市営地下鉄今池駅近くにあるイオングループの総合スーパー「イオン今池店」が2024年2月29日をもって閉店した。

ダイエーショッパーズプラザとして開店した今池の大型店

イオン今池店は、1969年11月30日にダイエーグループの総合スーパー「ダイエー今池店」として開店。建物は地上2階地下1階建で店舗面積は8,884㎡。
ダイエー今池店は開業以来長らく、各種届出を中心にグループのショッピングセンターブランド「今池ショッパーズプラザ」を称し、同社名古屋初の店舗として専門店街を展開する地域随一の大型店であった。また、店舗に面する「今池東南商店街」は愛称として「ダイエー通り」を冠するなど、地元商店街とともに今池の発展に大きな役割を担った。
同店は2000年代初頭の産業再生機構傘下入りによる店舗整理を乗り越え、2013年10月には同社名古屋初となる「中食強化モデル店舗」としてオリジン東秀の量り売り惣菜「オリジン弁当コーナー」や同社初となる靴量販店「グリーンボックス」の導入を始めとする店舗の全面リニューアルを実施。あわせて、外装を現在のデザインに刷新した。

イオン今池店。

その後、ダイエー今池店は、2015年9月のイオン総合スーパー事業再編にともない、店舗運営をイオンリテールに移行し現在の店名となった。

最古のイオン、バリアフリー化が課題だった

イオン今池店を運営するイオンリテール東海カンパニーによると、2024年2月現時点において同店は「最古のイオン」であり、旧ダイエーの店舗としてもグルメシティ西明石店(1969年10月開店)の次に古い店舗となっている。
同店では開店以来、直営食品フロアの移設(地下1階→地上1階)を始め、時代に即したリニューアルを図ったが、築50年超の建物には制約も多く、2024年2月の閉店までエレベーター未設置かつエスカレーター片側設置(上りのみ)と各種バリアフリー設備が充足しているとは言い難い状態にあった。
こうした背景もあり、ダイエー時代からの店舗を「老朽化と顧客のニーズに応えるため」「店舗建替え」を理由に挙げ、2024年2月29日をもって閉店することとなった。

今池店54年の歴史を示すパネル展も。

賑わう最終日、営業時間は急遽1時間ほど拡大

イオン今池店の閉店当日2月29日は、午前9時の営業開始前から多くの来店客で賑わいをみせ、商品棚の完売も目立つようになった。午後7時の開店時刻を迎えたのちも来店客の流入やレジの行列が絶えなかったこともあり、午後7時15分開始予定の閉店式典はは約1時間遅れとなった。

閉店式典には“ダイエー通り”商店街会長も参加

イオン今池店の閉店式典には、泰山亨同店店長を始めとする従業員に加え、森信仁今池東南商店街(ダイエー通り)会長が参加。式典前には記念品として同店のイラストが描かれた缶バッヂの配布も行われた。

森信仁今池東南商店街会長による花束贈呈。

泰山亨店長は、学生時代の今池店の来店経験や思い入れを語ったうえで「ここでの思い出を心のどこかで留めていただければ、我々従業員一同この上ない幸せと感じます」「1969年から、今日まで今池店を支えていただき、ありがとうございました」と締め括った。
また、森信仁町内会長は商店街と地域の発展に貢献した今池店への感謝と再出店への祈願を述べ、店長に花束を贈呈した。

利用客への長年のご愛顧に応える泰山亨店長。

式典後は店長による出口での挨拶を終え、ダイエー時代から54年にわたる長い歴史に一旦幕をおろした。

閉店後の建物は解体、再出店の計画はあるもの詳細は未定

イオン今池店の建物は築54年超と老朽化が顕著であり、2月29日の閉店直後から解体工事の設営が始まっている。
イオンリテールは今池店の跡地活用策として建替再出店の方針を示しているもの、新店舗の概要(業態・規模・再開時期)は未定となっている。
なお、同店休業期間中の代替店舗は「イオンナゴヤドーム前店(イオンモールナゴヤドーム前)」が担うこととなる。

現店舗営業最終日のイオン今池店。
54年にわたり愛された同店は新店舗として生まれ変わる見込み。

イオン今池店

住所:愛知県名古屋市千種区今池5-13-26
営業時間:午前9時~午後11時

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イトーヨーカドー食品館川越店、2024年7月29日閉店-前身は都外本格進出1号店、建替えからわずか4年で

埼玉県川越市の西武新宿線本川越駅前にあるセブン&アイHDの食品スーパー「イトーヨーカドー食品館川越店」が2024年7月29日をもって閉店する。

ヨーカドーの「東京都外本格進出1号店」が前身

イトーヨーカドー食品館川越店の前身となる総合スーパー「イトーヨーカドー川越店」は1967年11月開店。建物は地上4階建で売場面積は4,230㎡、自社所有物件だった。
同社の総合スーパーとしては初の東京都外進出店舗であり、本川越駅前の中心施設として約50年間営業したが、建物の老朽化にともない2016年10月30日をもって閉店。跡地は同社と三井不動産グループによる共同で再開発することとなった。
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イトーヨーカドー川越店

2019年に「食品館」として建替新装開店したが

現在のイトーヨーカドー食品館川越店は2019年11月に開店。建物は地上15階建で営業フロアは1~2階、売場面積は約1,292㎡、延床面積は12,705 ㎡(マンション部分含む)。
同店は「スーパーストア構造改革」の一環として、旧店舗の跡地に建設された三井不動産系新築分譲マンション「パークホームズ川越新富町アドーア」のうち、土地の一部と低層商業フロアを「土地の売却代金と新規建物の持ち分を交換する等価交換方式」により再取得するスキームで建替え再生を試みた店舗であった。

再開発中のイトーヨーカドー食品館川越店

イトーヨーカドー食品館川越店は建替えにともない売場面積を従来比1/3に縮小した一方、1階を「惣菜やグロサリー商品を中心とした「おかずデリカゾーン」のフロア」、2階を「生鮮品や調味料等を中心とした「小江戸マルシェゾーン」のフロア」として、同店10km圏にある老舗製パン「木村屋總本店」を始めとする地場商品の拡充を打ち出すなど、駅前居住者や観光客の食のニーズに対応可能な店舗として再構築を図った。

イトーヨーカドー食品館川越店

しかしながら、食品館川越店周辺は「いなげやbloomingbloomy(西武本川越ペペ)」「明治屋ストアー(丸広百貨店)」「YASUNO Foodest(アトレまるひろ)」「ヤオコー(ウニクス川越)」「ベルク」「ロヂャース」といった同業が立ち並ぶ激戦区であり、立地や店舗規模で明確な優位性を示すことが難しい側面があった。
イトーヨーカドーは2024年2月に北海道・北陸・甲信越からの撤退を発表するなど、店舗整理による合理化を進めている最中であり、食品館川越店も建替からわずか4年で閉店することとなった。

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無印良品対馬、2024年3月12日開店-オサダ跡に「離島初出店」

長崎県対馬市美津島町の国道382号線沿いに、無印良品の大型店「無印良品対馬」が、2024年3月12日に開業する。

無印良品、沖縄県を除く離島に初出店

無印良品が出店するのは対馬の中心である厳原地区ではなく、対馬空港近くの美津島町ロードサイドにあった「ハイパー★センターオサダ対馬店」跡。1階ではスーパーマーケットの「サイキバリュー美津島店」が営業している。

無印良品対馬。(公式サイトより)

無印良品が沖縄県を除く橋梁などで繋がっていない離島に出店するのは初のこととなる。

無印良品対馬、大型店として「地域の交流施設」に

無印良品対馬の店舗面積は約1,652㎡で、日用品・収納用品や衣料品など、日常生活の基本を支える商品を販売。さらに、ベッドやソファ、テーブルなどを展示、商品のサイズ感をわかりやすくする。季節に合わせた部屋のコーディネートも提案する。韓国に近く観光客も多い立地であることから、店内には韓国語の表記も取り入れる。
また、島内には地域住民が交流できるような施設が少ないことから、キッズスペースを設けるなど、買い物の合間に休憩したり、顧客同士が交流したりできる空間を提供するとしている。

無印良品 対馬

長崎県対馬市美津島町鶏知乙505-1
営業時間:10時~20時

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アルク長門店、2024年3月9日開店-ウェーブ跡地、アトラス閉店以来28年ぶり長門市中心部に丸久復活

山口県長門市の長門市駅南側にあった大型商業施設「長門コミュニティータウンウェーブ」跡地に、流通大手「リテールパートナーズ」の中核事業会社「丸久」が展開する大型食品スーパー「アルク長門店」が2024年3月9日に開店する。

長門市中心部を代表する大型店だった「ウェーブ」

長門コミュニティータウン・ウェーブの前身となる「長門ショッピングプラザ(ながとプラザ)」は、1975年3月に長門市駅北側の「旧長門総合病院」跡地に開業。1991年10月の駅南側移転にあわせてウェーブとなった。建物は地上3階地下1階で営業フロアは地上2階~地下1階、建物面積は18,762㎡、売場面積は7,731㎡。

ウェーブは開業当初、地場大手食品スーパー「サンリブ長門」と地場衣料スーパー「まるみストアー(サンフレールまるみ・サラダ館)」を核に、ながとプラザ時代の核店舗だった「金子みすゞ記念館」(仙崎に2003年4月移転)や地場資本の専門店など約40店舗が入居するなど、同時期に開業した「丸久長門アトラス(現・フジ長門店)」とともに、長門市を代表する大型商業施設として高い集客力を誇っていた。
同施設は2011年の改装を機にサンフレールまるみ直営フロア集約や家電量販店「ヤマダ電機」導入を打ち出したが、2019年7月にサンフレールまるみが廃業したため1階の大部分を閉鎖、同年12月31日には全館を閉鎖し約28年の歴史に幕をおろした。

地場不動産会社主導で再開発進めていた

ウェーブ跡は長らく放置状態にあったが、地場不動産会社「ウィルコーポレーション」(本社:山口県周南市)が土地建物を取得し、大手不動産会社「大和ハウス工業」(本社:大阪市北区/山口支店:山口県山口市)との連携のもと、建物解体後に新たな商業施設を開業する方針を示していた。
長門市は2022年11月にウェーブ跡地で再開発を進める両社と「長門市駅周辺地域活性化事業に係る事業協力に関する協定」を締結。地場大手食品スーパー「丸久」が2024年初旬に新店舗を開店することとなった。

閉館から約4年間放置されていたウェーブ。(2023年当時)

長門市初の「アルク」に

丸久アルク長門店の建物は平屋建で店舗面積は㎡。丸久の主力業態「アルク」としては長門市初となる。
青果部門ではJA山口県長門統括本部との連携による地産地消コーナーやバイヤー厳選による有機農産物コーナーを展開、水産部門では地元ならではの鯨関連商品を拡充するほか対面販売を展開、精肉部門では丸久グループオリジナル商品「鹿野高原おこめ豚」や地元ブランド商品「朝びき長州どり」「長州ながと和牛」を展開する。
また、惣菜部門においても同社看板商品「広島風お好み焼き」「旨ダレ仕込み醤油から揚げ」や長州どり使用手焼き焼き鳥を展開、洋日配ではアトラス萩新店舗で導入実績のある成城石井2個入りケーキなど冷凍食品約340アイテム、和日配では蒟蒻・蒲鉾といった地場商品を展開。あわせて、オーガニック商品の拡充や3種類のレジ(従来型レジ・セミセルフレジ・フルセルフレジ)の導入を進めるなど、多様化する買物客のニーズへの対応を図る。

丸久としては長門市中心部に約28年ぶり復活

丸久は1990年代の経営再建時に旗艦店のひとつであった「アトラス長門」を中四国地場流通大手「フジ」(現在はイオン系)に譲渡しており、約28年ぶりに長門市中心部に復活を果たすこととなった。

1996年まで丸久アトラスとして営業していたフジ長門店。

アルク長門店

住所:山口県長門市東深川803-1
営業時間:午前9時~午後10時

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