フタバ図書、経営難で2021年3月から新会社運営に-エディオン・蔦屋書店・日販・広島県ファンドなど出資、TSUTAYAとFC契約へ

大手書店「フタバ図書」(広島市西区)は、広島県100%出資の投資ファンド運営会社「ひろしまイノベーション推進機構」(広島市中区)が設立した新会社に2021年3月1日付で主力事業を譲渡する方針を2021年1月28日に発表した。

フタバ図書の複合書店「GIGA福山店」。(旧・ダイエー)
(広島県福山市/2002年4月開店・閉店済)

広島本社の大手書店、「粉飾発覚」で大量閉店していた

フタバ図書は1913年9月に創業、1951年7月に現法人を設立。
長らく広島地場ローカルの書店チェーンであったが、1990年代からは「未来型複合専門書店(日本一の複合専門書店)」を称する新業態を経営の柱に据え、1997年2月にMEGA業態1号店「MEGA中筋店」、2000年4月にはイズミ広島駅前店跡にGIGA業態1号店「GIGA広島駅前店」を相次ぎ出店。
2004年にはダイヤモンドシティ(現・イオンモール)の大型専門店として「TERA広島府中店」「TERA福岡東店」を相次ぎ出店、するなど、多種多様な出店モデルを確立することで展開地域を全国へと拡大していった。

旗艦店「GIGA広島駅前店」。(旧イズミ)
(広島市南区/2000年4月開店)

2013年にはボックスグループ(埼玉県さいたま市)の複合書店「スーパーソフトボックス(現・フタバGIGA)」を取得、2015年7月にはアペックス(福岡県久留米市)からCD/DVD販売・レンタル店「ビデオアメリカ」を取得するなど、積極的なM&Aにより首都圏・福岡県の店舗網を拡充。従来からのインターネットカフェ「フタバ@アットカフェ」に加え、24時間フィットネスジム「HYPER FIT24」やリサイクルショップ「買取大陸」、コンビニ「ローソン+フタバ図書」「ローソン×フタバ図書」、アミューズメント施設、コインランドリーなど、関連事業の多角化を図り、2018年3月期の売上高は373億円を記録した。

ネットカフェ・レンタル・リサイクル店を併設していたフタバ図書九州1号店「GIGA天神店」。(旧ビブレ)
ジュンク堂書店と同居するも差別化を図っていた。
(福岡市中央区/2001年12月開店・2011年10月閉店)

その一方、2019年に「物流システムのトラブル」を理由とした商品の未入荷が発生、さらに同時期に粉飾決算が明らかとなるなど経営不振が表面化。2020年から「フタバ図書GIGA本通店」「フタバ図書MEGA岡山青江店」「フタバ図書ジ アウトレット広島店」といった主力店舗の閉鎖、VRゲーム&カフェバー「VREX」といった関連事業からの撤退を含む大規模リストラを進めていた。
これにより、2021年1月現在の店舗数は39店舗(最盛期の半分ほど)となった。

ローソンやネットカフェとの複合店舗。

広島県・広島財界・蔦屋書店・日販が支援

フタバ図書を運営することになる新会社は、ひろしまイノベーション推進機構(広島県100%出資)運営の「ふるさと連携応援ファンド投資事業有限責任組合」が2020年11月に設立したもので、資本金は5000万円。
広島県100%出資のファンドに加え、大手書店グループ「蔦屋書店(旧・TSUTAYA)」、大手出版取次「日本出版販売(日販)」、広島発祥の大手家電量販店「エディオン」、広島県第二地銀の「もみじ銀行」、マツダ創業家の自動車カーディーラー「広島マツダ」が出資を予定。日販横山淳上席執行役員がCEO(代表取締役社長)に就任、蔦屋書店土橋武TSUTAYA FC本部副本部長がCOO(最高執行責任者)に就任、フタバ図書現執行役員が取締役に昇格する。

フタバ図書GIGA広島駅前店とエディオン蔦屋書店。

新会社はフタバ図書と関連会社6社から「39店舗及びメディアマックス事業(レンタル卸)を含む主要事業」を承継。TSUTAYAのフランチャイズに加盟するもの、フタバ図書の商号(屋号)は存続する。
フタバ図書は、広島県内の書店としてはいち早く多角化路線に舵を切り大手書店へと成長を遂げたものの、広島県・広島財界・書籍関連大手が中心的な役割を果たし、経営規模を縮小しつつ再建を図ることとなった。

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