PPIH(ドンキ)と台湾ファミマ、2020年10月までに資本業務提携-海外事業で新会社設立

大手流通グループ「パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH/漢字表記:太平洋国際HD/旧社名:ドン・キホーテHD)」と大手コンビニ「ファミリーマート」は、2020年10月を目途に「台湾ファミリーマート(全家便利商店股份有限公司)」への出資及び、海外ビジネスにおける協力関係の強化を目的とした合弁会社を設立することを2020年7月8日に発表した。
(中文摘要:泛太平洋國際控股(PPIH、DONKI唐吉訶德)與台灣全家(台灣FamilyMart)、2020年10月起展開資本與業務合作。)

全家便利商店。

ファミマ初の海外進出として誕生した「台湾ファミマ」

ファミリーマートは、1988年8月に同社初となる海外現地法人として台湾ファミマ(全家便利商店)を設立。同年12月に台湾1号店となる館前店(台北市中正区)を出店した。
台湾ファミマは、2002年2月に台湾証券取引所に上場、2007年7月には地場大手飲料グループの泰山企業傘下で日本発祥のコンビニ「台湾ニコマート(福客多)」を吸収合併するなど経営規模を拡大。2020年7月現在は、ファミマ本体が50%を出資、残る50%を台湾飲料大手の泰山企業や光泉牧場など台湾地場資本が出資しており、台湾国内では台湾セブンイレブン(統一超商・7-Eleven)に次ぐコンビニ業界2位となっている。
なお、現地出資企業のうち、光泉牧場は台湾地場大手コンビニ「ハイライフ(萊爾富)」を傘下に持つなど一部の事業領域においては競合関係にある。

ドンキのノウハウを台湾ファミマに導入

PPIHとファミマは、2020年10月までに「小売流通ビジネスに対する投資」を事業目的とした合弁会社(PPIH51%出資:ファミマ49%出資)を設立。ファミマが保有する台湾ファミマ株50%のうち5%を合弁会社に譲渡し、PPIHのノウハウを活かした新しいビジネスモデルの構築や商品開発を行うとしている。

ドンキ、台湾進出の足がかりに?

PPIH(旧社名:ドン・キホーテHD)は、2017年12月に東南アジア1号店「DON DON DONKI オーチャードセントラル店」をシンガポールに出店。それ以降、2019年2月にタイ1号店「ドンキモール トンロー」を、同年7月に香港1号店「DON DON DONKI ミラプレイス2店」を出店するなど、海外事業の強化を掲げ、当初東南アジア仕様新業態として発足した「ジャパンブランド・スペシャリティストア」として「DON DON DONKI」の多店舗化を推し進めている。

「DON DON DONKI」は7月7日にも香港に新規出店している。

東南アジアではドンキの進出以前、日本製品を幅広く取扱う店舗が日系百貨店やイオンなど一部に限られていたため、日本ブランドの商品を日本流で廉価に販売するドンキの進出は話題を集め、ドンキが得意とする焼き芋などを求める客による行列もみられた。シンガポールでは焼き芋などを専門に販売する新業態の展開など「業態の進化」も起きている。
一方で、台湾では日本のドンキと類似した折扣店(=ディスカウントストア:小北百貨、勝立生活百貨、金興發生活百貨など)が多く展開されており、そこでは多くの日本製品が販売されているほか、さらに日系企業と結び付きの強い現地スーパー(全聯、美廉社、裕毛屋など)が広く展開されているなど、これまでDON DON DONKIが成功を収めている地域とは少し事情が異なっている。
PPIHは、合弁会社を通じた台湾ファミマへの出資により、台湾への本格進出の足がかりとする狙いがあるとみられ、今後どういったかたちでの台湾出店がなされることになるのかについても注目される。

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