カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

西条プラザ、2016年8月31日閉店-マルショク・福屋百貨店が出店

広島県東広島市のJR西条駅近くにあるショッピングセンター「西条プラザ」が2016年8月31日に閉店する。
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西条プラザ。「サイプラ」の愛称で親しまれた。

“賀茂郡西条町”初のショッピングセンターだったサイプラ

西条プラザは1973年11月に開店。地下1階、地上4階建、売場面積は11,729㎡。
核店舗は広島市に本社を置く百貨店の「福屋百貨店西条店」(1~2階、1986年開店)と、北九州市に本社を置くスーパー「マルショク西条店」(1階)で、約50の専門店が入居。高層部分の3~4階には広島YMCAが運営するスポーツクラブが入居しているほか、文化教室や塾も入居しており、居酒屋やマツダの販売店などの別棟もある。
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百貨店のエントランスは低層部分に設けられている。

開業当時は賀茂郡西条町(現:東広島市)で初のショッピングセンターであり、長年に亘って西条駅前の核として親しまれてきたが、開業から40年以上が経過し、老朽化が進行していたという。

駅前に増えるマンション、一方でスーパーは1軒のみに

西条駅前には、かつて「フジグラン西条駅前」(ベルディデパート)もあったが、マンション建設のために2007年に閉店。
(その後、マンション建設は中止されて文化ホールとなった)
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フジグラン西条駅前(旧ベルディデパート)。

西条駅前は広島市のベッドタウン、また学園都市として、現在もマンションが増え続けている一方で、西条プラザ閉店後にはスーパーマーケットは食品スーパーの「ショージエスタ店(西條商事)」の1店舗のみとなる。

建物は解体-跡地は未定

西条プラザは老朽化しているため、運営企業は建物を解体する予定だが、跡地の活用方法は決まっていない。また、核テナントの福屋西条店は東広島市で唯一の百貨店であるが、西条プラザ閉店後の店舗の処遇などについては、3月現在は発表されていない。
(追記:福屋は西条駅近くに小型店を出店させる方針。都商研取材による)
西条プラザでは、閉店を前にプラザカードのポイント付与を2016年3月末で中止。商品券への交換は閉店まで受け付ける。
なお、西条プラザ商品券も8月の閉店以降は使用できなくなるため、早めの利用を呼び掛けている。

外部リンク:お客様に大事なお知らせ(閉館案内、西条プラザ)
外部リンク:西条プラザ

水戸オーパ、2017年3月開店-ヤマダ電機LABI水戸跡

大型店の撤退が続いていた水戸市中心部に新スポットが誕生する。
不動産大手「サムティ」(大阪市淀川区)は、水戸駅前の大型商業ビル
水戸サウスタワー」(ヤマダ電機LABI水戸跡)に大手ファッションビル「水戸オーパ」(仮称)が出店することを発表した。
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水戸サウスタワー(ヤマダ電機跡)。

水戸駅前の顔、家電量販店からファッションビルに

「オーパ」(OPA)はダイエー系のファッションビルで、オーパとは「新神戸 Oriental Park Avenue」の略。
現在は関西中心に9店舗が営業しており、京阪神では大手のファッションビルとして親しまれている。
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大宮OPA。

水戸サウスタワーは12階建で、ペデストリアンデッキでJR水戸駅・駅ビル「エクセル」と接続されており、同じく駅前にある「丸井」、「ビックカメラ」、「COMBOX」(シネコン)とも直結している。
水戸サウスタワーには2008年11月の開館以降、核店舗として「ヤマダ電機LABI水戸」が出店していたが、隣接するビックカメラや郊外店との競争もあり、2015年5月末に閉店していた。
水戸オーパはヤマダ電機跡の3~9階に出店予定。10階以上のレストラン街はこれまでと変わらずに営業を行う。
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駅などとはペデストリアンデッキで接続されている。

喫緊の課題だった大型空き店舗解消

水戸駅周辺では、2003年以降に百貨店「伊勢甚」、「西友リヴィン(水戸西武)」、スーパー「ダイエー」、複合商業ビル「ミーモ」、ファッションビル「サントピア」などが相次ぎ閉店。
サウスタワーは水戸駅直結という一番の好立地であり、跡地利用に注目が集まっていた。
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閉店した西友リヴィン(西武)の跡地(水戸駅前)。

なお、オーパは2016年3月よりイオングループのファッションビル「ビブレ」、「フォーラス」との経営統合することを発表している。
追記:グランドオープンは2017年3月18日となることが発表された。

→新しい記事はこちら:水戸オーパ、3月18日開業-JR水戸駅前、ガルパンショップも出店

外部リンク: 「水戸サウスタワー」テナント誘致に関するお知らせ(サムティ、PDF)
外部リンク:水戸オーパ
関連記事:ソフマップ梅田店・ソフマップ水戸駅店、2017年1月31日閉店

セイコーマート、社名を「セコマ」に改称

北海道最大手のコンビニエンスストア「セイコーマート」(札幌市中央区)は、4月1日より商号(社名)を「Secoma」(セコマ)に変更することを発表した。
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新しい社名ロゴ。(セイコーマートウェブサイトより)

道内ナンバーワンのコンビニ「セイコーマート」

セイコーマートは1971年に第一号店がオープン。 社名は創業者の西尾長光氏に由来する。
現在に至るまで北海道第一位のコンビニエンスストアであり、殆どの店舗が北海道内にあるにも関わらず、店舗数は約1,200店。
道内の過疎地域では、他社のコンビニエンスストアやスーパーが無いような集落でもセイコーマートだけはある、というところも多い。
多くの店舗の店内に厨房があり、出来立てのお弁当などが販売されていることも特徴。secoma01
セイコーマートの店舗(札幌市北区)。(撮影:せぶん)

道外での知名度アップ目指す

今回の社名変更に伴い、「セイコーマート」の社名看板やプライベートブランド名、また、それらに付けられているロゴなどは、順次「Secoma」に統一されるという。
なお、「セイコーマート」各店舗の看板は4月以降も変更しない。
現在セイコーマートは、北海道外では茨城県周辺のみでの店舗展開となっており、道外での店舗は減少傾向にある一方で、2013年からは他社スーパーやドラッグストア(主に本州)へのプライベートブランド商品の供給を開始している。
セイコーマートでは、今回の社名・プライベートブランドの統一により、道外でのブランド名の更なる周知を行い、多角的な事業展開を行っていくという。

セコマ?セイコマ?

広い北海道に1000店舗以上を展開しているセイコーマート。
道内のどの地域においても最も親しまれているコンビニエンスストアだが、セイコーマートは「セコマ」という略称の他に「セイコマ」という略称が使われている地域もあるようで、「セコマという略称は馴染まない」といった声もあるようだ。
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都商研が2月末にツイッター上で行ったアンケート。
「セイコマ」派のほうが優勢なようだ。

外部リンク:商号変更のお知らせ(セイコーマート、PDF)
外部リンク:セイコーマート

イオン西新店(旧ユニード・ダイエー・トポス)、2016年5月31日閉店

福岡県福岡市早良区の総合スーパー「イオン西新店(旧ダイエー西新店)」が2016年5月31日に閉店する。
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イオン西新店(ダイエー時代)。

西新の核、幾度もの改名を経て58年で歴史に幕

イオン西新店は1958年、福岡市の西新商店街に「渕上丸栄西新店」として開店。1967年に現在の建物に建て替えられて「渕上ユニード西新店」となった。5階建てで、5,800㎡。現在も全床が店舗として使われており、大型テナントとしては100円ショップのキャンドゥが入居している。
渕上ユニードは1981年よりダイエー傘下(1994年にダイエーと合併)となっており、一時「トポス西新店」となったのち、2006年からは「ダイエー西新店」となっていた。
ダイエーのイオングループ入りに伴い2015年にはイオンストア九州運営の「イオン西新店」となったものの、店舗は築50年近く、店内もかなり老朽化していた。

西新副都心の一等地、跡地の活用方法は未定だが…

西新は福岡市の副都心の1つであり、商店街には行商のリアカーが多く並び、活気のあるその姿も名物となっている。
一方、西新では昨年「エルモールプラリバ(旧西新岩田屋)」が高層ビル建設のために閉店しており、西新商店街の核が相次いで失われる結果となった。
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 西新商店街、イオンの近く。リアカーの行商さんも見える。

イオン九州はイオン西新店の建物を解体することを決めており、跡地の利用方法は未定としながらも、今後は店舗の建て替えや業態変更を含めて何らかの形での再出店を検討するとしている。
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エルモールプラリバ。昨夏に閉店した。

外部リンク:イオン西新店
関連記事:西新プラリバ解体、来秋以降に延期-地下鉄駅エレベータ工事のため

HKT48劇場、天神「西鉄ホール」に移転へ-西鉄福岡駅直結

HKT48劇場が福岡市中央区天神の「西鉄ホール」に移転することが発表された。
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西鉄ホール。(撮影:デパート通信)

利便性が大きく向上!

劇場の移転はHKT48春のライブツアー「サシコドソレイユ」東京公演において発表されたもの。
「西鉄ホール」は西鉄福岡駅と直結する「ソラリアステージ」6階にあり、客席数は最大464席。
郊外にある現在のHKT48劇場と比較して大幅に利便性が向上することになる。P1010309-
ソラリアステージ(右側)。

開設から5年、ようやく「福岡の顔」に

今回の移転は、現在のHKT48劇場が入居するショッピングセンター「ホークスタウン」の閉鎖によるもの。
現在の「HKT48劇場」(運営:AKS、劇場支配人:指原莉乃)は2011年11月開館。 ホークスタウンのフットサルコート跡への進出で、数十億円とも言われる巨費を投じた48グループ最大の専用劇場として話題を呼んだ。
しかし、ホークスタウンを管理する三菱地所は、再開発のためにホークスタウンを2016年3月に閉鎖させることを発表しており、その移転先が注目されていた。
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ホークスタウンモールにある現在の「HKT48劇場」。

更に、「西鉄ホール」は交通の便がいいということのみならず、地元事務所が運営するアイドルグループ「LinQ」の本拠地「天神ベストホール」(ベスト電器本店11階)や、多くのローカルアイドルが公演を行うことがある「天神VIVREホール」(福岡天神ビブレ8階)などからも徒歩3~4分の距離であり、特に遠方客のはしご参戦(公演回遊)も見込める可能性がある。
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同じく天神を拠点とするLinQ(撮影可能なイベントで撮影)。

なお、西鉄ホールは他のコンサートや舞台にも併用される予定で、正式名称が「HKT48劇場」に改名されることは考えにくい。
また、従来のHKT48劇場のように毎日公演が実施できる訳ではないと考えられ、新たな本拠地として定着するのか、もしくは劇場の再移転が行われるのかなども未知数だ。
西鉄ホールでの公演開始は4月28日を予定している。

また「博多」じゃない…

一方、天神は博多からは中洲を挟んで西側に位置するため、またもや「博多地区」という訳ではない。
前回のホークスタウンでの劇場開設の際にも聞かれた「全然博多やないやん」というツッコミは今後も続きそうだ。
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「西鉄ホール」エントランス。

外部リンク: HKT48公式サイト
外部リンク:西鉄ホール

さいか屋川崎店跡、解体へ-跡地未定のまま

昨年5月に閉店した川崎駅前の百貨店「さいか屋川崎店」の建物の解体工事が2015年度中にも開始される。
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さいか屋川崎店。

川崎駅前で唯一の百貨店だったさいか屋

さいか屋は1867年に創業した呉服店系百貨店。東証2部上場で、筆頭株主は京浜急行電鉄。現在は横須賀店(創業店舗)、藤沢店、町田ジョルナ店の3店舗が営業している。
さいか屋川崎店は1956年の開店、地上8階、地下1階、売場面積は約21,000㎡の規模。
 川崎店の土地・建物は長年に亘ってさいか屋が所有していたが、2009年に固定資産税や維持管理費などの軽減のため投資ファンドに売却、その後は賃借入居して営業を続ける方針であったが、投資ファンドと条件が合わず、建物賃借を延長できずに2015年5月31日を以て閉店。さいか屋跡のビルは空き店舗となっていた。
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東京・横浜の百貨店と比較して庶民的な雰囲気だった。

川崎駅東口にはかつて「さいか屋」のほかにも「小美屋(現在の「さくら野百貨店」)」、「岡田屋」、「川崎西武」などの百貨店があったが、小美屋、西武は既に閉店、岡田屋モアーズは複合商業ビルに業態転換しており、さいか屋の閉店で全ての百貨店が姿を消した。現在、川崎市の百貨店は武蔵小杉駅前のショッピングセンターに入居する「西武そごう 武蔵小杉」のみとなっている。
なお、閉店後にさいか屋は川崎日航ホテル3階にサテライトショップ・ギフトサロンを開設している。
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市内唯一の百貨店「そごう西武 武蔵小杉」も規模は大きくない。

跡地の活用方法は?

さいか屋跡は現在投資ファンドの保有であるが、具体的な跡地活用方法については発表されていない。
その一方で、川崎市は今年「川崎駅周辺総合整備計画改定案」を策定しており、さいか屋跡地やその周辺地域において建築制限を実施、パチンコ店、風俗店などの遊興施設や、一般住宅などの新規建設は行えなくなる。
解体後は超一等地に大きな空き地が現れることになり、今後が注目される。
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駅前一等地に生まれる空き地に注目が集まる。

外部リンク:「川崎駅周辺総合整備計画改定(案)」について(川崎市)

イズミヤ、阪急阪神百貨店と電子マネーを共通化

阪急阪神百貨店傘下の大手スーパー「イズミヤ」は、2月24日から新たなクレジットカード「ソレーナSTACIAカード」、ポイントカード「Hinatas(ヒナタス)」の募集を本格的に開始し、2017年からは阪急阪神グループの新たな電子マネー「litta(リッタ)」を導入する。
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イズミヤ。

従来より高還元、阪急阪神の電子マネーとも共通化

「STACIAカード」は阪急阪神グループのクレジットカードの名称で、イズミヤで新たに導入される「ソレーナSTACUAカード」は、従来のイズミヤカードの5倍となる「高いポイント還元率」(100円=1ポイント)、「クレジット利用者の実質年会費無料」、「阪急阪神東宝グループを中心とする1800施設での優待」など、グループのスケールメリットを活かした利便性の高いカードとなっており、更に、2017年春以降サービスを開始予定の阪急阪神百貨店・イズミヤ共通電子マネー「litta(リッタ)」にも対応する予定。

なお、ソレーナSTACUAカードの「ソレーナ」とはイズミヤの太陽を意味しているほか、関西弁の「ソレエ~な」を掛けているものと思われる。
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店頭ではカードに関する案内が告知されている。

「ソレーナSTACIAカード」は1月中旬より申込を受付しており、1月27日からは店頭でのSTACIA会員サービスを開始している。
従来のイズミヤのポイントカード「ヒナタスカード」からの切り替えは一部先行実施地域を除き2月下旬から開始する。また、クレジットカード「イズミヤカード」は11月10日を目処に廃止する予定。

迷走の末のカード統合

阪急阪神百貨店とイズミヤは、2014年6月の経営統合時に「百貨店MDの取り込み」、「システムの共通化」に加えて「カード事業の統合」を目標に掲げてており、イズミヤは独自性を保ちながらも、阪急フーズが取扱う「輸入食品コーナー」の充実や、新店舗への100円均一パン「阪急ベーカリー」を導入するなど「阪急流の改革」を進めていた。
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阪急百貨店うめだ本店。

一方で「カード事業の統合」(電子マネーの導入)に関しては、当初は阪急阪神グループで使用されているカード式乗車券「PiTaPa」のシステムを用いたものになると思われていた一方で、2013年10月にはイズミヤが独自の電子マネー「miyoca」を導入、統合が進んでいなかった。
現在は「miyoca」も新規加入を終了、今後は電子マネー「litta」を搭載した「Hinatasカード」に置き換えられることになっている。

外部リンク:ソレーナSTACIAカード
外部リンク:イズミヤ

アウガ、ショッピングフロア閉店へ-ほぼ全館が公共施設に

青森市は、経営難に陥っているJR青森駅前の複合商業ビル「フェスティバルシティ・アウガ」について、1~4階のショッピングフロアを閉鎖し、公共施設としての再生を行う方針を発表した。OLYMPUS DIGITAL CAMERA
フェスティバルシティ・アウガ。

注目を集めた「商業+公共+駐車場」という新業態

「アウガ」は2001年1月に第三セクター企業「青森駅前再開発ビル」の運営する複合商業ビルとして開業した。
当初は核テナントとして地場百貨店の「松木屋」(西武系、2003年倒産)、「ダックシティカネ長武田百貨店」(現:さくら野百貨店)などの出店も検討されたが、景気の減衰などにより百貨店を核とすることを断念。
結局、商業ゾーンは独自のファッションビル業態とすることになった。

現在、アウガは4つのゾーンに分かれており、地階はアウガ建設前にあった商店街の店舗が主に出店する食品ゾーン「新鮮市場」、1階から4階は「ショッピングフロア」(主にファッション)、5階から6階は「青森市男女共同参画プラザ・カダール」と催事ホールなど、6階から9階は「青森市民図書館」となっているほか、立体駐車場も設けられている。
地階~4階の商業床の売場面積は約14,300㎡。
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現在のアウガのフロア構成(青森市ウェブサイトより引用)。

開業当初は「商店街+ファッションビル+公共施設+駐車場」という独自の業態が注目を集め、全国から視察が相次ぎ、いわき市(開発主体は民間)や福井市などの駅前再開発においても類似の複合商業ビルが建設されたり、また、全国の大型空き店舗再生の際に参考にされることもあった。OLYMPUS DIGITAL CAMERA
地階の商店街「新鮮市場」。

当初は賑わったファッションフロア、12年に黒字化したが…

開館当時のアウガは青森市初のファッションビルとして大いに賑わい、中心市街地の活性化に一役かったものの、当初(2001年度、12ヶ月間)の売上は予想の半分程度となる23億円、全館での集客数は約282万人。
更に、市内の郊外スーパーや市外の大型ショッピングモール(イオンモールつがる柏、エルムの街など)との競争に加え、少子高齢化、鉄道利用客の減少などにより経営が悪化。2008年には「青森駅前再開発ビル」の債務を青森市が買い取り、青森市が運営主体となっていた。
その後、経営効率化などにより2012年上半期には初の黒字を計上したものの、2011年の東北新幹線青森駅開業後の青森駅の地位低下も重なり、同年からは空き床が1割を超える状態が続いていた。
2013年度の年商は約16億円、全館での集客数は242万人となっている。
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アウガの集客数変化(青森市ウェブサイトより引用)。

市庁舎建て替えが転機に-改装時期は未定

青森市では、以前より老朽化した市庁舎の建て替えが問題となっており、特に庁舎の最も古い部分は1956年に建設されたもので、新庁舎の整備が喫緊の課題となっていた。
そこに、アウガの経営問題が浮上。
青森市は、市役所の機能の一部をアウガに移し、新築する新庁舎の規模を縮小する考えを表明した。
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改装後のアウガのフロア構成案(青森市ウェブサイトより引用)。

また、青森市はアウガの公共施設化に伴い、地権者床を青森市が買い取り、青森市に対する「青森駅前再開発ビル」の債務は、土地と建物で代物弁済させ、アウガは土地・建物ともに青森市の所有とする計画。
これにより、アウガの債務の圧縮を図るとともに、市庁舎の建築費を圧縮、更に、駅前の賑わいも維持したい考えだ。なお、地階の商店街は現状のまま存続させる方針。
ショッピングフロア閉館や改装を行なう時期は未定で、分庁舎として入居する部門の検討や、買収に向けての詳細な不動産鑑定などは今後実施する。

青森市唯一のファッションビル、消滅の影響は大きく

一方で、アウガは隣接する青森駅ビル「ラビナ」(土産品店に加えて無印良品、ハニーズ、宮脇書店など出店)以外では青森市で唯一のファッションビルであり、青森市中心部で唯一のゲームセンターがあるほか、「index」、「PAGE BOY」、「ESPERANZA」、「ヴィレッジヴァンガード」、「ジ・エンポリアム」(2月閉店)など、青森市周辺では当ビルが唯一の出店となっている店舗やブランドも数多くある。
青森市では、2006年より「コンパクトシティ」を目指した郊外大型店の出店規制を行っており、例え有名テナントであっても青森市内の郊外型商業施設への再出店余地はあまり多くない。つまり、政策によって郊外の商業施設が規制された上に、政策によって造られた中心部の商業施設も、また政策によって消えてしまおうとしていることになる。
昼間はお年寄りの、夕方は学校帰りの若者の憩いの場ともなっているアウガ。ショッピングフロアの全面閉店は、駅前の賑わいや、中心市街地全体への集客に大きな影響を与えることは必至であり、入居テナントの近隣地域への移転を進めるなど、何らかの対策が必要になろう。
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アウガ・ファッションフロア(公式ウェブサイトより引用)。

外部リンク:Festival City AUGA | フェスティバル シティ アウガ
外部リンク:新生アウガを目指して(案)(青森市、PDF、概要版)
外部リンク:新生アウガを目指して(案)(青森市、PDF、詳細版)

新しい記事はこちら:アウガ・ショッピングフロア、2017年3月末閉店へ-経営問題で市長辞任、混迷深まる活用方法

西武HD、所沢駅に新駅ビル-2020年完成目指す

「西武の顔」である所沢駅が大きな変化を遂げる。
西武ホールディングスは、2020年の完成を目指して所沢駅東口に建設する新たな駅ビルの概要を発表した。
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現在の所沢駅前(東口)。

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所沢駅ビル完成予想図(西口から)(西武HD公式サイトより)。

「西武の顔」にふさわしい駅に-120店舗が出店

西武所沢駅東口には西武ホールディングスや西武鉄道の本社、西武百貨店所沢店(ワルツ所沢、現在は資本関係なし)があり、まさに「西武の顔」とも言うべき地。
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西武鉄道ビル。所沢駅東口に立地。

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西武百貨店。所沢駅東口に立地。

新たな所沢駅ビルは地上5階、地下2階建で、延床面積は116,000㎡(そのうち既存棟:49,600㎡)。新築部分は既存の駅ビル「エミオ所沢」と接続し、線路を覆う形で建設される。
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駅ビル建設図(西武HDウェブサイトより一部加筆)。

商業床は約18,500㎡を予定しており、店舗は主に1階から3階に展開。
テナントは食品、ファッション、大型書店、レストラン街など約120店舗が出店するほか、4階には行政のサービス窓口も設けられる予定。
構内に自由通路が開設され、駅ビルに直結する改札も設置。
線路上の吹き抜けには憩いの場となるテラスが設けられる。
更に、防災対策として、防災備蓄倉庫、非常用電源なども完備される。
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既存改札前(西武HDウェブサイトより)。

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改札前吹き抜け(西武HDウェブサイトより)。

また、5階と屋上には500台の駐車場と1600台の駐輪場も設置。
総投資額は約268億円で、第一期工事は2018年春に完成する予定。
全面オープンは2020年夏ごろの完成を目指している。
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2階、北側吹き抜け(西武HDウェブサイトより)。

所沢駅西口の再開発も予定

西武ホールディングズは、このほかにも2023年ごろの完成を目指して
所沢駅西口の元車両基地跡の再開発も計画しており、拠点である所沢駅周辺の再開発を通じて、沿線の魅力アップと人口増加に繋げたい考えだ。
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東口から見た完成予想図(西武HDウェブサイトより)。

外部リンク: 「所沢駅東口ビル計画」の事業内容決定について(西武HD、PDF)

阪急百貨店、台湾から2016年3月に撤退-統一グループとの契約満了で

台湾・台北市に店舗を構える百貨店「統一阪急百貨」は、2016年3月2日に阪急百貨店との提携契約満了を迎えることに伴い、提携契約の更新を行わず、店名を「統一時代百貨」に変更することを発表した。
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統一阪急百貨台北店(公式サイトより引用)。

日系百貨店としては後発だった阪急、9年で撤退

統一阪急百貨は、阪急百貨店と台湾の食品製造・流通・物流大手「統一企業」との提携により、阪急百貨店のフランチャイズ店舗として設立。台湾の日系百貨店としては最後発だった。
キャッチフレーズは「美人は made in Hankyu」で、2007年に高雄店が、2010年に台北店が開店。しかし、高雄店は2013年に隣接するショッピングセンター「統一夢時代」の一部となり、百貨店業態を廃止。現在は台北店のみで営業していた。
台北店には「ユニクロ」、「サマンサタバサ」、「LIZ LISA doll 」、「OLIVE des OLIVE」など、日本の人気店も数多く出店している。
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店舗のファザードも阪急百貨店と共通(公式サイトより引用)。

高雄の阪神百貨店は営業を継続

「阪急百貨店」としては台湾から撤退するものの、阪急阪神百貨店では高雄市において漢來グループとの提携による「漢神百貨(HANSHIN)」を2店舗展開しており、こちらは営業を継続する(漢神百貨店はこの他に中国・西安市にも出店)。

漢神百貨。

外部リンク:漢神百貨