大分駅ビルを運営する「JR大分シティ」は、2015年4月16日に開業した「JRおおいたシティ」の2015年度の入館客数と年商を発表した。
JRおおいたシティ。
入館客数は当初予想の2倍以上-集客はディズニーランド級
JRおおいたシティの2015年度の入館客数は約2420万人、年間売上は約224億円。
これは当初予想の1100万人、200億円を大きく上回る数字で、JR九州の駅ビルの入館客数としては「JR博多シティ」に次いで2番目の規模。
開業1年間(2016年4月16日まで)の入館者数は約2500万人を予想しており、これは過去10年間の東京ディズニーリゾートの平均年間入場客数(約2700万人)にも匹敵する数字で、大分県民が1人あたり年に約22回も訪問した計算になる。
賑わう8階「シティ屋上広場」。神社や遊具も設置されている。
屋上の神社には仲見世も。
「地域随一の店づくり」で広域集客
JRおおいたシティは21階建てで、開業当初の全183店舗のうち109店舗が大分県初出店。
館内には物販・飲食店舗のほか、シネマコンプレックスやホテル、温浴施設も備える。
また、屋上庭園は日本最大級で、様々な遊具や屋上菜園に加えて、かつて大分駅前にあった楠で造られた「鐡道神社」を設置している。
大理石の床や木を用いた格子天井などといった上質感のある内装は東九州のどの商業施設にも真似できないものであり、徒歩圏に大分県立美術館(OPAM)が開館したことや、東九州自動車道の開通とそれに伴う高速バス路線の開設により宮崎県などからの広域集客に成功したことも集客に寄与したと思われる。
JRおおいたシティの調査によると、全来客数の約1割が大分県外からだという。
館内のようす。
また、大分県では昨夏に観光キャンペーンが行われ、駅周辺で様々なイベントが開催されたほか、JRおおいたシティにおいても駅前広場「タイムズスクエア」や、8階の「シティ屋上ひろば」などを活用して毎週なんらかのイベントや催事を実施しており、こういったイベントによる集客力も大きかったという。
JRおおいたシティでは、今後も駅ビルの新しさ、楽しさを提案し、駅ビルのファンづくりを行っていくとしている。
冬季にはイルミネーションが実施された。
大分駅、乗降客数は約4万人に
JRおおいたシティの開業による集客は、駅周辺にも好影響を及ぼしている。
JRおおいたシティは、大分駅の1日あたり乗降客数が約35,000人(2014年度)から約40,000人へと大幅に増加したことも発表した。
これは、2014年度の数値に当てはめると、JR九州では博多駅、小倉駅に次ぐ第3位となる乗降客数だ。
(注釈:鹿児島中央駅も乗降客を増やしたため、2015年度は九州4位となった(2016年10月))
JR九州ではJRおおいたシティ開業に合わせて普通列車を増発したほか、終電の繰り下げも行っている。
JR大分駅コンコース。木製の格子天井が美しい。
合同セールで百貨店、商店街も盛況
JRおおいたシティの開業によって最も大きく変わったことは、駅ビルと、駅前の百貨店「トキハ本店」、ファッションビル「イオン大分フォーラス」、そして周辺の各商店街が、合同のセールや販促イベントを頻繁に開催するようになったことであろう。
トキハ本店に掲出されたJRおおいたシティ開業を祝う懸垂幕。
周辺店舗に対する相乗効果も表れており、駅に近い東九州最大の百貨店「トキハ本店」は、駅ビル開業に備えた改装が好評で、衣料品など売上が下がった分野もあるものの、地階の食品売場は前年比約7%高の売上で推移(2015年秋現在)。
新装なったトキハ本店地階。
また、駅に繋がる中心商店街の「セントポルタ中央町」では通行量が増加、空き店舗も殆ど解消されたほか、大分駅周辺は商業地・住宅地ともに殆どの地域で地価が上昇に転じ、更なる開発も活発化している。
現在、JR大分駅の上野の森口(南口)には2016年秋の開業を目指してショッピングセンター「アクロスプラザ大分駅南」が建設中。府内中央口ロータリーの別府寄りには高さ100mを超える超高層ビルの建設計画もあるほか、大分パルコ跡には総合病院(大分中村病院)が入居する大型の複合ビルが建設される予定となっており、今後も大分駅周辺は進化をしつづけるであろう。
大分駅前の「セントポルタ中央町商店街」。
開発が進む上野の森口(南口、かつての駅裏)。
外部リンク:JRおおいたシティ
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