JR旭川駅前の百貨店「西武百貨店旭川店」(旭川西武)が閉店を検討していることが分かった。
追記:その後、2016年9月30日に閉店する方針を発表した。
西武百貨店旭川店。
向かいにイオン出店-通行量は増えたものの売上減少
閉店の検討に入ったことを報じた北海道新聞によると、旭川西武の売上高はここ数年間減少を続けており、2010年に130億2400万円あった売上は、2015年には107億4500万円にまで落ち込んでいるという。
JR旭川駅ビルには昨年3月に「イオンモール旭川駅前」が開業。イオンモールは旭川西武の向かい側に位置しているため、旭川西武周辺の歩行者通行量は増加していた(旭川市の調査による)一方で、西武の売上増加には繋がっていなかったようだ。
イオンモール旭川駅前。西武の向かいに立地。
(イオンモール旭川駅前ウェブサイトより・一部加工)
昨年、そごう・西武の親会社であるセブン&アイホールディングスは、百貨店・総合スーパーの不採算店の大規模閉店を発表。旭川西武の閉店検討も、その一環であると見られる。
また「そごう・西武」では2000年に「札幌そごう」が、2009年に「札幌西武」(五番舘)と「ロビンソン百貨店札幌店」がそれぞれ閉店しており、撤退の検討には「道内で唯一の店舗」という非効率さも影響しているであろう。
道北で唯一の百貨店
西武百貨店旭川店は1975年8月に開店。A館(地下1階、地上8階)とB館(地下1階、地上10階)の2館体制で、売場面積は約24,200㎡。支店として西武旭川空港ショップも運営している。 開業当初はB館のみで、西友の運営だった。1979年には隣接してams(旭川緑屋ショッピングセンター)が開業。のちに旭川西武のA館となった。
2009年の丸井今井旭川店の閉店以降は道北で唯一の百貨店となっており、「ルイヴィトン」「コーチ」などのハイブランドに加えて「ロフト」「無印良品」「三省堂書店」など人気の専門店も入居。また、インバウンド需要に対応するための免税カウンターも設置されている。
道北では他にも複数の「百貨店」と称した店舗があるが、いずれも日本百貨店協会に加盟しておらず、旭川市内の他店は現在実質的にファッションビル業態、また、稚内・名寄・士別などに店舗展開している「西條百貨店」は現在ショッピングセンター業態のため、旭川西武は道北で唯一の百貨店となっている。
一方で、旭川市は人口約34万人を数える北海道第二の都市。商圏規模からすれば百貨店の維持は十分可能であると考えられ、今後が注目される。
なお、2009年に旭川駅前から撤退した丸井今井は、昨年イオンモール旭川駅前に小型店を開設、再出店を果たしている。
イオンモール旭川駅前に出店した丸井今井。
(イオンモール旭川駅前ウェブサイトより)
追記:その後、2016年9月30日に閉店する方針を発表した。
外部リンク:西武旭川店