コープさっぽろとサツドラHD、2019年12月に包括業務提携を締結-物流など統合へ

北海道最大手の生活協同組合「コープさっぽろ」(札幌市)と北海道の大手ドラッグストア「サツドラホールディングス」(札幌市)は、2019年12月20日に包括業務提携を締結したことを発表した。

サツドラの店舗。

意欲的な事業展開で知られる「コープ」と「サツドラ」

コープさっぽろは1965年7月に「札幌市民生活協同組合」として創立。2019年現在の主力事業は店舗、宅配(トドック)、共済の3事業で、組合員数は国内最多となる約170万人。
道内ではイオン北海道、アークス(ラルズ)に並ぶ大手流通グループであり、2009年11月には函館の地場大手食品スーパー「魚長」(生鮮げんき市場)と業務提携、2011年7月には提携関係にあった苫小牧市の「志賀綜合食料品店」を直営化、2019年6月には留萌市の「中央スーパー」との業務提携の検討を開始するなど、経営規模の拡大を推し進めている。

コープさっぽろの旗艦店。(北海道函館市・湯川店)

サツドラHDは1972年12月に「サッポロドラッグストアー」として創業。2016年4月の「サツドラ」改称に合わせ、同年8月に純粋持株会社に移行した。2019年5月期の連結売上高は846億4900万円。
2019年8月現在は主力のドラッグストア業態のほか、インバウンド需要にも対応した店舗「札幌薬粧」、駅ビル・繁華街立地の生活提案バラエティ型店舗「クレアーレ」、北海道物産品ショップ「北海道くらし百貨店」を展開する。

サツドラの店舗。

サツドラは近年道外への展開も推し進めており、2016年4月に道外1号店を沖縄県豊見城市の「沖縄アウトレットモールあしびなー」に出店、同年11月からは本州の大都市圏及び観光地に出店開始。2017年1月には海外1号店を台湾・台中市の「麗寶アウトレットモール」に出店し、台湾各地に薬と道産品を販売する店舗を展開して人気を呼ぶなど、観光客の取込みに向けた店舗開発を本格化している。
また、2013年8月にブルーチップとの共同出資で「リージョナルマーケティング」を設立し、北海道独自の共通ポイントサービス「EZOCA」及び中国スマホ決済「WeChatPay」(微信支付)の拡販を開始。AI関連企業への出資やトヨタ自動車、モバイク(中国シェアバイク大手)との提携、フィットネス事業への参入を進めるなど、積極的な事業拡大を行っている。

台北市中心部にあるサツドラ・札幌薬粧の店舗。

物流を統合へ-ニチリウ加盟だが結び付きは薄かった

コープさっぽろとサツドラと包括業務提携に関する検討及び協議は2019年8月3日に開始されていたもの。
両社は、2021年をめどに食品分野を「コープさっぽろ」主体に、非食品分野を「サッポロドラッグストアー」(サツドラHD子会社)主体に、物流を「北海道ロジサービス」(コープさっぽろ系)とするかたちで、商流と物流を統合していく計画。
コープさっぽろとサツドラは、流通事業者17社及び3生協により構成される共同仕入機構「ニチリウグループ」に加盟しているが、コープさっぽろは直営ドラッグストア「コープドラッグ」(旧・シーズドラッグ)もしくはテナントとして「サンドラッグ」を導入しており、これまで両社間の結び付きは希薄だった。

今後は電子マネーなども統合か

両社が設置する「サツドラ・コープさっぽろ業務提携検討会議」は、商品・システムの開発や決済・ポイント等の各種サービス、関係会社の事業統合、地域的課題解決に向けたCSR活動等の連携を検討するとしており、その準備段階として、両社が任意団体「北海道MD機構」を設立したことも発表されている。
今後は、コープさっぽろ直営ドラッグストアのサツドラ転換、ノウハウ投入や共通ポイントサービス「EZOCA」及び電子マネー「EZOマネー」の導入なども想定される。
(一部写真:otarubaycityさん

関連記事:コープさっぽろ、スマホ決済「PayPay」2019年7月22日から導入-国内生協初、北海道内全108店舗に
関連記事:イズミ、2020年2月にニチリウグループ離脱-「くらしモア」から「セブンプレミアム」に
関連記事:ココカラファイン、スギ薬局と経営統合の検討開始-マツキヨも参加で「巨大ドラッグストア」誕生か
関連記事:マツモトキヨシHD、ココカラファインと資本業務提携の検討開始-「国内最大手」誕生なるか
関連記事:ディスカウントドラッグコスモス薬局広尾駅店、2019年4月17日開店-コスモス、東京初出店は「狭小店」
関連記事:ツルハホールディングス、ドラッグストア業界第1位に-静岡の「杏林堂」買収で
関連記事:ドラッグストアモリ、ザグザクを傘下に-株式の約6割を取得

このエントリーをはてなブックマークに追加