J・フロントリテイリンググループの大手百貨店「大丸松坂屋百貨店」は、2020年3月1日より同社完全子会社の「下関大丸」を吸収合併することを2019年5月8日に発表した。
下関大丸。
「下関の顔」として積極投資を進める大丸
下関大丸は1950年9月に大洋漁業(現・マルハニチロ)と大丸の業務提携によって国鉄下関駅西口にあった山口県貿易ビル内に開業。その後1959年12月に隣接地に移転増床、1977年10月には下関駅東口で進められた大規模再開発に伴い建設された2核1モール型ショッピングセンター「シーモール下関」(売場面積は54,052㎡)の百貨店核として再度移転した。2001年8月からは大丸(現・大丸松坂屋百貨店)の完全子会社となっている。
下関大丸は2014年のJR下関駅ビル「リピエ下関」開業と周辺整備に合わせて、駅直結玄関の新設を含む改装を実施、開業40周年を迎えた2017年からは「シャネル」「クリスチャンディオール」「資生堂」のリニューアルや化粧品ブランド「ロクシタン」、地元質店「monobank」の新規導入、屋上広告塔の建替えを行うなど積極的な投資を推進していたが、2019年2月期の売上高は133億5200万円、営業利益7800万円と減少傾向にある。
リピエ下関と下関大丸。
シーモール下関専門店街においても山口県内初となるファストファッションブランド「H&M」や映画館「シネマサンシャイン下関」(8スクリーン)の導入などが進められているが、関門エリアでは北九州市のスペースワールド跡地にイオンモールの新施設「(仮称)八幡東田プロジェクト」が開業を控えているほか山陽小野田市の「おのだサンパーク」でも核テナントの入替えを含む集客力向上施策が打ち出されるなど、競争が激化している。
顧客の利便性向上にも期待
大丸松坂屋百貨店は2018年3月に本社経営企画室に地方郊外店改革推進部を設置、同年7月に「鳥取大丸」を日の丸グループと山陰合同銀行が出資する新会社に新旧分離するなど、地方店舗の再編を進めている。
鳥取大丸。
同社は今回の吸収合併を「地方百貨店構造改革」の一環としており、下関大丸と取引先との交渉力強化や仕入力向上、後方部門の組織集約、全社的視点での従業員の配置転換が期待されるという。下関大丸は「これからも引き続き大丸として営業を継続してまいります」とコメントしており、今後は「大丸下関店」として営業するとみられる。
現時点では詳細は発表されていないが、合併後は大丸松坂屋直営店と地域子会社(下関大丸など)で相互利用が出来なかった「ピーコックポイントカード」「ピコットクラブカード」、友の会組織「下関大丸友の会」の共通化など「顧客の利便性向上」が期待される。
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