カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

「たま駅長」死去-和歌山の名物猫駅長、2015年6月24日発表

和歌山電鐵貴志川線貴志駅の名物駅長、両備グループのイメージキャラクターとして知られる「たま駅長」が死んだことが6月24日に発表された。
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たま駅長。

「たま駅長」は1999年生まれの三毛猫。
2007年、猫が正式に駅長に就任した日本初の事例として話題となり、経営不振により南海電鉄から経営譲渡された貴志川線の救世主として、たびたびテレビや新聞などで特集。たま駅長をモチーフにした新駅舎開設やグッズ販売もあり、全国から観光客を集めるようになった。
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たま電車。

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たま代理(着ぐるみ)。

4月29日には16歳(人間年齢では傘寿・80歳相当)の誕生日を迎え、植樹祭にも出席していたもの、鼻炎もあり勤務時間を縮小。ニタマ駅長代行が観光客を出迎えることが多くなっていた。

葬儀は既に近親者のみで済ませた。28日に社葬とお別れ会が行われる予定。
発表以降、和歌山電鐵公式サイトはアクセスしづらい状態が続いている。
(担当記者:H)
(写真提供:オーシャンさん)

外部リンク:和歌山電鐵 貴志川線 猫のスーパー駅長「たま」とおもちゃ電車といちご電車

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大分駅周辺の大型店と商店街が合同バーゲン-6月26日から

6月26日から、JR大分駅周辺の大型店、商店街が合同でサマーバーゲン「THEまちなかバーゲン」を開催する。
これまでは各店舗や商店街ごとに開催していたサマーバーゲンを
同時に開催するのは初のこと。
セントポルタ中央町
大分市の中心商店街(セントポルタ中央町)。

合同バーゲンに参加するのは「トキハ本店」、「JRおおいたシティ」、「イオンフォーラス」の大型店3店舗と、「セントポルタ中央町」、「ガレリア竹町」、「府内5番街」(若松通り)、「ふないサンサン通り」、「ふないポルトソール通り」の5商店街。
イオングループの店舗が地場百貨店などとの合同セールに参加することも全国的には珍しい。
大分フォーラス
トキハから見たイオン大分フォーラスとセントポルタ中央町。

各商店街と大型店は同じロゴを用いたバナー旗などを用意するほか、各商店街は合同チラシの配布や、インスタグラムによる情報発信も開始する。
大分駅近くの商店街では、JR大分駅ビルの開業と大分県立美術館の開館に伴い、大幅に来街客が増加している。
また、駅ビル開業に合わせてトキハ、フォーラスも昨年から今年にかけて大規模改装を行っており、特にトキハはデパ地下を中心に順調に入店客を大きく増やすことに成功している。
トキハ地階 
大規模改装を行ったトキハ本店。
 (担当記者:W)

ミハラスーパー パルディ三原駅前店、2015年9月閉店-ペアシティ三原、核店舗撤退へ

JR三原駅前の再開発ビル「ペアシティ三原」の核店舗「ミハラスーパー パルディ三原駅前店」が9月に撤退する。
ペアシティ三原
パルディ三原駅前店が入居するペアシティ三原西館。

「ペアシティ三原」は1981年開店の再開発ビル。当初は東館に百貨店の天満屋、西館に総合スーパーのニチイと三原国際ホテルが出店していたが、ペアシティ開業前から大規模駐車場を備えたジャスコ(現:イオン三原店)が徒歩圏に出店しており、更にしまなみ海道の開通で店舗そばの三原港の利用客が激減し、経営不振が続いていた。
西館のニチイは早くも1996年に撤退、東館の天満屋も2006年に撤退し、現在は東館跡が更地(市有地)、西館は1階がパルディと専門店、中層階が主に公共施設、高層階が三原国際ホテルとなっている。
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天満屋が入居していたペアシティ三原東館。現在は更地。

三原駅1キロ圏に大型駐車場を備えたイオンとフジグランが出店していることもあり、閉店後の跡地利用はまだ決まっていない。
(担当記者:W)

外部リンク:パルディ三原駅前店

徳島市立文化センター廃館、解体へ-西新町商店街再開発の新施設に統合

徳島市の徳島城に隣接する「徳島市立文化センター」が、老朽化と耐震強度不足から廃館・解体されることになった。
文化センターは2015年4月から休館していた。
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徳島市立文化センター。

徳島市立文化センターは1963年開館で、座席数は約1200席。
徳島県を代表する文化ホールとして、サザンオールスターズなど大物アーティストの公演も数多く行われてきた。
 
解体後の跡地利用は未定で、2018年度末ごろまでに大規模再開発が実施される西新町商店街に新たな芸術音楽ホール(仮)が出来る予定となっていることから、現地での新ホール建設は行わない。
徳島市西新町商店街
西新町商店街の新音楽ホール建設予定地。

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西新町商店街再開発完成予想図(徳島市ウェブサイトより)。

一方で、西新町商店街の再開発完成までは少なくとも約4年ほどかかることから、徳島市内では廃館に反対する市民団体が署名活動を開始している。
徳島市によると、設備補修と耐震補強などを行う場合は約30億円が必要となる見込み。
(担当記者:W)

外部リンク:徳島市:徳島市立文化ホール
外部リンク:徳島市:新町西地区第一種市街地再開発事業について

「改正地域再生法」と「第5次地方分権一括法」が成立

2015年6月19日の参議院本会議で「改正地域再生法」「第5次地方分権一括法」が賛成多数で可決され、成立した。

「改正地域再生法」

企業が東京23区内から地方にオフィスを移転させたり、地方拠点の強化を行う場合に法人税を減税する特例措置を設けることや、主に中山間地など過疎地の買い物、医療など日常生活の拠点となる施設を集約させ、生活環境を整備するために土地使用の特例を設けることなどが盛り込まれ、地方の活性化と生活基盤の強化をおこなう。

「第5次地方分権一括法」

2011年より施行されているこれまでの地方分権一括法と同様に開発権限の地方委譲が行われており、今回は4ヘクタールを超える農地を商業地や工業用地、住宅地などに転用する場合の許可権限を、農林水産省と協議した上で国から都道府県に移すことなどが盛り込まれており、大規模農地のショッピングセンターや工場、住宅団地への転用がしやすくなる。
(担当記者:W)

外部リンク:内閣府地方分権改革
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第5次地方分権一括法)

外部リンク:内閣府首相官邸地方創生推進室

静鉄「A3000形『shizuoka rainbow trains』」導入へ

静岡鉄道が新たに導入する新型車両「A3000形」の概要が明らかになった。

A3000形は2018年春より運行開始予定。
8年計画で12編成導入され、現在の1000形を置き換える計画。
そのうち7編成は「shizuoka rainbow trains」と称し、7色のレインボーカラーとなる。
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A3000形「shizuoka rainbow trains」(静鉄公式より)

静岡鉄道静岡清水線は静岡市中心部と清水区中心部を結ぶ11kmの路線。
 静岡鉄道は鉄道・路線バスの運行のほか、静鉄ストアや静鉄ホテル、駅ビル「セノバ」の運営なども行っている。
鉄道線の静岡清水線は非常に運行頻度が高いことでも知られ、駅ビルの積極整備を行うなど、静鉄グループの経営方針は「コンパクトシティ静岡」の1つの原動力ともなっている。
(担当記者:W)

外部リンク:静鉄電車 新型車両の制作開始について

写真提供:nationalmaclord さま(昭和なスーパーめぐり)

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訪日外国人売上高の伸びが過去最高-2015年5月の全国百貨店

日本百貨店協会は6月19日に5月の全国百貨店売上高を発表した。
全体の売り上げは約4,886億円。

全国20地区のうち、「札幌以外の北海道地区」を除く全地区で前年比プラスとなり、既存店ベースでは6.3%の増加となった。
これは消費増税前の売上高も上回り、特に「東京地区」では前年比11.6%の大幅増。

また、訪日外国人客数は前年同月比246.3%増、訪日外国人売上高の伸びは過去最高の266.4%増となり、特にアジア圏からの来客が著しかった。
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外国人観光客で駐車場が埋まった百貨店(トキハ別府店)
(担当記者:W)

外部リンク:平成27年5月全国百貨店売上高概況(日本百貨店協会)

浜松松菱跡、大型オフィスビル建設へ-2018年完成めざす

浜松市の「松菱百貨店」跡地を保有する不動産会社「アサヒコーポレーション」は、松菱跡地に大型オフィスビルを建設することを発表した。

再活用で迷走する「松菱跡」、ようやく決まるか

松菱はかつて浜松市の地域一番店であったものの、競合百貨店や郊外型ショッピングセンターとの競争激化などにより2001年に経営破綻。
一時は跡地に大丸が出店する構想など、様々な再活用策が提案されてきたものの頓挫し、長年に亘って建物が放置状態となっていた。100307_141148.jpg
松菱百貨店新館跡。2015年より解体が開始された。

新しく建てられるビルの総工費は約110億円、2018年の完成を予定するという。
アサヒコーポレーションは近隣でタワーマンションの建設計画も進めており、浜松市の中心市街地の活性化が期待される。

外部リンク:アサヒコーポレーション
参考:浜松の百貨店「松菱」跡地に大型オフィスビル(日経新聞)

5年連続の黒字を達成したトキハ別府店-地方百貨店黒字化の秘策とは?

別府市の百貨店「トキハ別府店」が2010年から5年連続の黒字化を達成したことが分かった。

10万都市、3万㎡でも安定経営-その店舗改革とは?

トキハ別府店は1988年開店。売場面積は約30,000㎡で、同規模の都市(別府市の人口は約12万人)において日本最大の規模。
1998年に隣接する第三セクターのファッションビル(専門店棟)を買収したことにより、10万都市としては過剰な売場面積を抱え、慢性的な赤字体質となっていた。
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トキハ別府店。

そこで、抜本的な構造改革のため、2005年から2015年までの10年間以下のような施策を実施した。

  • 専門店屋上(12階):臨時ステージ設置(期間限定)、屋上画設置
  • 屋上:フットサルコートに合わせ展望デッキを夜間解放、神社改装
  • 8階:ゲームコーナー(4階に移設)をフットサルコートに
  • 7階:レストラン街を集積、一部を賃貸イベントスペースに
  • 6階:子供服売場を廃止、全床を貸オフィスに(リクルートなど)
  • 5階:家具・生活用品売場を移動、大型催事場(イベント会場)化
  • 4階:高級紳士服売場を圧縮、5階から生活用品売場を移設
  • 3階:専門店棟に大型テナント導入(ABCマートなど)
  • 2階:直営売場を廃止、大型テナント導入(しまむらなど)
  • 1階:スターバックスコーヒー、無印良品など導入、催事を増加
  • 地階:生鮮売場は子会社のスーパーに、土産品・贈答銘菓を充実
  • シースルーエレベータ設置、7階~屋上の営業時間延長
  • 不採算売場の廃止(本店から取寄対応、本店在庫は翌日に届く)
  • 元店員が独立した子供服セレクト店を導入(テナント化)
  • 本店などとともに無料ポイントカードを導入
  • 外国人観光客への対応強化、外国人店員導入
  • 対面販売売場のレジ統合・集約、運営の効率化など

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屋上からは海と山が見渡せる風光明媚な立地。

ファストファッション、紳士服店、100均…客層拡大に奔走

トキハ別府店では、従来は百貨店に来なかった客の取り込みのために、専門店の強化をおこなったことも大きな特徴だ。
百貨店棟には「無印良品」、「スターバックスコーヒー」、「紳士服のフタタ」(2015年秋~)、フットサルコートなどを、専門店棟には「100円ショップSeria」、「アベイル」、「Rigit-on」、「ABCマート」、「手芸のいとや」などを導入。百貨店らしい売場も維持しつつも、一部を幅広い世代を対象とした店舗への改装を行うことにより、これまで百貨店にはあまり足を運ばなかった世代まで客層を広げることに成功した。
また、来店機会を増やすために、生鮮食品売場はトキハ系のスーパーマーケットに転換することで取扱い品目を拡大、デイリーユースの取り込みも図った。
人気の銘店、土産品についてはこれまで通り百貨店による販売を行っているが、銘店売場などにおいても個店ブースごとの販売員配置を廃止。準集中レジを導入し、百貨店らしい品揃えを損なうことなく売場の効率化が図られた。
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「ファッションセンターしまむら」は当店が百貨店初出店(2012年)。
しまむらはその後も百貨店やファッションビルへの出店を進めている。

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屋上ゲームコーナーは4階に移設され、屋上はフットサルコートに。

不採算売場は社員が独立して専門店化!

百貨店の買回り品売場のうち、不採算であった大型家具売場、家電売場、玩具売場などは廃止されたが、多くの売場は規模縮小の上で存続。廃止された売場の商品は、催事などで期間限定販売を行っているほか、トキハ本店からの取り寄せ販売も行っている。
また、少子化で売上が減少していた子供服・ベビー服に関しては、元店員が独立して運営する形で「セレクトショップ」を入居させるという方式を取っているのも珍しい。

1階はシャネル、資生堂など百貨店らしい売場。
この上がファストファッションとは思えない。


大手百貨店並に豊富な銘菓。品揃え維持しつつ人員削減。

このように、高級百貨店専業から大きく舵を切ったことで、最盛期に200億円近くあった年商は100億円を割り込んだが、売場整理と日常需要の開拓で、経営は安定するようになった。
更に、不採算売場をテナント化したことで、季節を問わず安定した家賃収入が入るようになったことも、経営の安定化に繋がった。
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百貨店らしい内装も維持されている。

「百貨店ならではの催事」を増加、入店しやすい店舗に

また、「百貨店ならでは」といえる集客力のある全国物産展は主に1階の吹き抜け「センターモール」で開催することにより、駅前通り商店街の通行客の入店機会を増やしたほか、お中元・お歳暮の時期でも物産展が実施できるようになった(ギフトコーナーは従来の催事場で実施)。
センターモール前の駅前通りには「センタープラザ」という広場があり、物産展や催事によってはそこにおいてもイベントを実施することで通行客の目を引き、入店機会を増やしている。
このセンタープラザは、店舗独自の催事のみならず、地域の祭りやイベントなどにも幅広く貸し出されており、トキハ・商店街の相互間の集客に大きく貢献している。
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1階の吹抜「センターモール」。
ここでの催事実施により入店機会を増やす。


駅前通り商店街に面したセンタープラザも活用。

徒歩圏に多数の競合店、回遊性の創出がカギに

トキハ別府店の徒歩圏内には総合スーパー「ゆめタウン別府」(約21,000㎡)、駅ビル施設「別府ステーションセンター」(全館合計で約12,000㎡、ヤマダ電機とマルミヤストアが核)、食品スーパー「マルショク流川通り店」(建替えで2016年再出店)があり、商業集積は大きい。店舗の魅力を増せば、各店舗の買い回りによる回遊需要が大きく見込めるなどといった利点も大きい反面、競争も激しい地区であると言える。
もちろん、電車で僅か10数分の距離である大分駅周辺の商業施設も大きな競争相手である。
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近接するトキハとゆめタウン。

トキハ別府店は、今後も物産展や大型文化催事の充実を行い、入店客の増加を図るほか、増加している外国人観光客への対応を強化させることにより、安定した黒字経営を維持していく方針だ。
トキハ5階
催事場を増やしたことで大型イベントが実施できるようになった。

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外国人観光客への対応も観光地の百貨店の責務。

これからも百貨店らしい全国物産展や、地域の祭り実施時の合同イベントはもちろん、2015年の夏には、アートイベント・現代芸術祭「わくわく混浴デパートメント」と、子供向けイベント「からくり忍者ランド~わくわく修行の巻~」、動物ふれあいイベント「ふれあいねこ展」を実施する。
2015年の年商は約55億円を見込んでいるという。

外部リンク:トキハ別府店
関連記事:2015年夏、別府市のトキハ百貨店で現代芸術祭

広島アンデルセン建替えへ-旧三井銀行の被爆建築

ベーカリー大手の「アンデルセングループ」(タカキベーカリー)は、広島市中区本通の旗艦店「広島アンデルセン」を、建て替えのため2016年1月中旬より長期休業させることを発表した。
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広島アンデルセンビル(旧三井銀行廣島支店)

商店街の被爆建造物、外壁の一部は保存へ

広島アンデルセンは1925年に三井銀行廣島支店として営業を開始。
被爆後も銀行として使用されたのち、1967年にアンデルセングループが購入、「広島アンデルセン」となった。
その後の増築により、戦前の外壁が維持されているのは主に北側と東側の2階部分のみとなっているものの、天井装飾や冷蔵庫となった金庫室など、内部にも銀行時代の面影が残っており、広島本通商店街におけるランドマークの1つとなっている。

アンデルセングループは新店舗の建設に際し、戦前の外壁の残存部分をできるだけ保存する方針。
新店舗の完成は2018年の予定。
(担当記者:W)

外部リンク:広島アンデルセンの建物の歴史
外部リンク:パンからはじまる、ヒュッゲな暮らし。ベーカリーアンデルセン

内容が新しい記事はこちら:本通りのアンデルセン、建て替えで2月27日閉館