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土浦駅ビル「ペルチ」、テナント撤退相次ぐ-1月には11店撤退、「観光施設転用」も視野

JR土浦駅ビル「ペルチ土浦」のテナント撤退が相次いでいる。
2017年1月には食品売場も閉鎖、営業区画は半分以下・1階は大部分が閉鎖となり、空きフロアを観光施設などに転用する案も生まれている。
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ペルチ土浦。

つくばエクスプレス開業で利用客減、一度は「駅ビル閉鎖」に

ペルチ土浦の前身となる「ウイング土浦」は1983年4月に開業。地上6階、地下1階建、売場面積7,358㎡。
2004年以降はデパ地下テイストの和洋菓子フロア「スイーツガーデン」を設けるなどJR東日本が得意とする「ルミネ」「アトレ」などをお手本とした改装を進めたが、2005年のつくばエクスプレス開通とその沿線開発の進展により、2000年ごろには4万人を超えていたJR土浦駅の乗降客は3万人ほどにまで大幅に減少。
ウイング土浦は2008年7月に閉店してしまった。

イオンが経営に参画、「ペルチ」として再生はかるも…

その後、土浦駅ビルはJR東日本グループとイオンモールとの共同運営により、2009年7月に「ペルチ土浦」として生まれ変わった。当時は折しも2009年5月には「イオンモール土浦」が開業したばかりで、当時はイオンによる駅前地域衰退の危惧を払拭するためでもあったと言われている。
ペルチとは「止まり木」という意味で、当初のキャッチフレーズは「ツチウラ ライフ コンビニエンス」。約60店が出店した。
しかし、当初の計画発表で予定されていた「イオングループが駅の立地特性の中で新たに展開する生活提案型の店舗」は自転車店「イオンサイクルショップ」1店舗に留まり、再びテナントの撤退が相次いだため、2011年12月にはイオンモールが運営から撤退、JR東日本グループのアトレが運営管理者になり、再改装を実施した。

土浦駅改札に面したエントランス。

この改装に合わせて1階に生鮮食品売場「旬鮮市場」が新設され、青果「九州屋」、精肉専門店「ニュー・クイック」、前身のウイング時代に地階食品売場で営業していたスーパー「Tマート」などが出店。2階には銘菓・銘店街が導入されるなど、ウイングの頃のテナント構成に近づいた。また、常磐線史料館を併設した鉄道模型店「ポポンデッタ」、「ヴィレッジヴァンガード」、「未来屋書店」、「100円ショップセリア」なども新たに出店し、一度は賑わいを見せた。
しかし、その後は再びテナントの撤退が相次ぐこととなる。

11店舗が閉店に-案内所も閉鎖

2017年1月中に閉店することになったのは、以下の店舗。

  • 旬鮮市場(Tマート、九州屋、ニュークイック、魚のサントー)
  • 3COINS
  • スタジオプリモ
  • ポポンデッタwith常磐線ギャラリー
  • アントステラ(ステラおばさんのクッキー)
  • とんかつ和幸
  • たごさく
  • 日本一
  • ペルチインフォメーションカウンター(案内所)

ほとんどが契約(5年間)の満了による撤退で、跡地の利用は決まっていないという。これらの閉店により、ペルチ土浦は半分以上が空き店舗となり、総テナント数は20店舗台となってしまった。
土浦駅前では1997年に開店した再開発ビル「ウララ」(イトーヨーカドー)が2011年に閉店、2013年には市役所に転用されるなど空洞化が深刻であるものの、ウララ(市役所)内にはイオングループの食品スーパー「カスミ」、100円ショップ「ダイソー」などが出店しているため、ペルチの食品売場閉鎖により土浦駅周辺から食品スーパーが無くなる訳ではない。
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駅とも直結されるウララビルは市役所に転用された。

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同じく土浦駅前にある旧・マルイ土浦店。
パチンコ店などが入居する雑居ビルとなっている。

サイクリングロード(旧・筑波鉄道)の「観光拠点施設」に?

ペルチ土浦では今後の具体的な改装計画を発表していないものの、茨城県と土浦市はペルチ内にサイクリングロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」(一部は旧・筑波鉄道跡)の発着・観光拠点、自転車レンタル場などを設置することを検討しており、計画がまとまり次第、国に対して補助金を申請する予定だという。
さらに、地元紙・茨城新聞の報道によれば、ペルチの上層階をサイクリング客向けの宿泊施設、スパ併設のリゾート施設などに改装する案もあるといい、もし計画が実現すれば、ペルチ土浦はその姿を大きく変えることになる。

外部リンク:perch tsuchiura :: ペルチ土浦(アトレ)
関連記事:筑波西武跡の再活用に向けたクラウドファンディング開始-オフィスビル化目指す
関連記事: 土浦市役所、商業ビル「ウララ」に移転

ルクア・伊勢丹食品館「フードホール」、営業最終日賑わう-2017年1月26日で閉店に

大阪府大阪市北区の大阪駅・ノースゲートビルディング西館「ルクアイーレ」(LUCUA1100)地下2階にあるジェイアール西日本伊勢丹(本社:京都市下京区)のデパ地下フロア「イセタン フードホール」が2017年1月26日に閉店した。
これにより、ルクアイーレからいわゆる”デパ地下”が消滅した。
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賑わう営業最終日のイセタンフードホール。

開店から人気の高かった食品売場、惜しまれつつ閉店

イセタン フードホールはJR大阪三越伊勢丹地下2階食品フロアを引き継ぐかたちで2015年4月に開業。
三越伊勢丹として開業した当初は東京の店舗を多く取り入れ「伊勢丹らしい」デパ地下だったが、ルクアイーレへ改装された際には、梅田初進出となる高品質スーパー「北野エース」、素材専門店「富澤商店」を新たに導入。飲食店・イートインも、「和酒空間TASHINAMI」、「銀座天一」に加え、「燻製バルOSAKA」、「堂島カレー」、「姫路 竹善」の麺料理店が新規出店、ジャンル面・価格面双方において充実が図られた。 また、「大阪産(おおさかもん)」認定商品の取扱拡充や、大阪・天満の中華バル「黒龍天神樓」、上新庄の「オーサムベーカリー」を入店させるなど、伊勢丹らしい東京の銘店に加えて地元銘店も重視した売場に生まれ変わっていた。
さらに、閉店時間を競合百貨店より30分~1時間程度長い午後9時として仕事帰り客の獲得にも成功。自社カード会員ラウンジなどを改装して開業した飲食街・バルフロア「バルチカ」とともに大きな集客力があった。
しかし、この「バルチカ」は、運営が軌道に乗ると週末を中心に大きな混雑を見せるようになった。その結果、食品売場は改装から僅か2年でバルチカの更なる増床をおこなうため閉店するに至ったという。

「東京の伊勢丹」ならでは、大阪・関西から撤退する店舗も

イセタンフードホールの営業最終日となった1月26日には、関西から全面撤退となるベーカリー「ジョアン」や、ヒレカツ弁当の特価販売を実施した「とんかつ和幸」では長蛇の列が発生。ワインや惣菜、グラスなどを販売する「ヴァン・コラージュ」では入場制限も行われた。
生鮮食品売場は夕方前にはほとんどが売り切れ、ギフト解体商品も陳列数分で姿を消すなど、大きな賑わいをみせた。
賑わう最終日、ヴァンコラージュ(写真左側)では入場制限も。

大阪唯一の店舗として営業していた銀座天一では、店員に近隣店舗の情報を聞く客も見られるなど、「東京の伊勢丹」を売りに関西・大阪唯一の銘店が多かった同店ならではの光景があった。

商品の大半が夕方には売り切れた生鮮食品コーナー。

伊勢丹ギフトサロンも閉店-バルチカ増床へ

イセタンフードホールの閉店後は以前の記事で紹介した通り、2017年秋から2018年春にかけて、好調な飲食街「バルチカ」の拡張を中心とした改装をおこない、新たな専門店ゾーンに生まれ変わる予定だ。
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飲食街「バルチカ」は増床される。

イセタンフードホールが営業していた地下2階フロアではJR西日本伊勢丹によるインフォメーションカウンター、商品券・ギフトサロンも営業していたが、今回のフードホール営業終了に合わせて業務を終了。直営売場を縮小しつつも「百貨店業態」を維持してきたルクアイーレであったが、今後は百貨店とは言い難い構成になる。
梅田における三越伊勢丹のギフト拠点は、三越大阪ギフトサロン(11階)のみとなる。

外部リンク:isetan Food Hall イセタン フードホール食料品
外部リンク:イセタンフードホールギフトサロン
関連記事:三越伊勢丹、さらに5店舗の百貨店閉店・業態転換・縮小など検討-対象は合わせて9店舗に
関連記事:三越伊勢丹、百貨店4店舗の閉店・業態転換・縮小など検討
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SAPPORO雪ミクWAON、2月13日発売-WAON×初音ミク、初コラボ

イオン北海道とマックスバリュ北海道は、新たな「ご当地WAONカード」として「SAPPORO雪ミクWAON」を2017年2月13日より発売する。
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SAPPORO雪ミクWAON。
(MV北海道プレスリリースより)

WAON、初音ミクと初コラボ!

「SAPPORO雪ミクWAON」は、イオングループが全国で発行しているご当地WAONの1つで、札幌市との「さっぽろまちづくりパートナー協定」に基づくもの。利用金額の一部が札幌市の文化芸術振興支援に活用される。札幌市のご当地WAONとしては2種類目となる。
デザインはKEI氏による雪ミクが表面に描かれたもので、裏面にも雪のデザインがあしらわれる。

「SAPPORO雪ミクWAON」の発行手数料は1枚300円。2月13日からは道内のイオングループの店舗、WAONに加盟するビックカメラグループの店舗でも販売され、通常のWAONカードと同様に全国のWAON加盟店で利用することができる。
また、「第68回 さっぽろ雪まつり」の開催にあわせ、2月6日より大通会場、つどーむ会場、新千歳空港内「雪ミク スカイタウン」において先行販売を実施する。

外部リンク:札幌市のご当地WAONが新たに誕生!「SAPPORO雪ミクWAON」の発行を開始します(マックスバリュ北海道)
外部リンク:【その他(お知らせ)】「SAPPORO*雪ミクWAON」発売決定!札幌市への寄付につながります♪(piapro)
関連記事:艦隊これくしょん×三越、11月23日抜錨
関連記事:渋谷マルイで「ご注文はOIOIですか??」開催-サブカル系コンテンツに注力する丸井

シエスタハコダテ、2017年4月22日開業-旧ホリタ・ダイエー五稜郭店跡の大型再開発ビル

北海道函館市の市電五稜郭公園前電停前に建設中の大型再開発ビル「シエスタハコダテ」が2017年4月22日にグランドオープンする。
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シエスタハコダテ。
(完成予想図・大和ハウス工業マンション販売サイトより)

旧ホリタ(グルメシティ)跡を再開発

シエスタハコダテは、函館市本町の丸井今井デパート向かい・ダイエーグルメシティ五稜郭店跡地に建設中の再開発ビル。
ダイエーグルメシティ五稜郭店は函館市のスーパー「ホリタ」の店舗として1970年に開店。地下1階、地上7階の規模で、出店当時は函館市最大の総合スーパーであったが、ダイエーグルメシティ五稜郭店となったのち2009年5月に閉店。その後、地元企業などが出資する「SPC函館本町開発」が取得し、新たなビルの建設を進めていた。再開発の総事業費は約46億円。

旧ホリタ・ダイエーグルメシティ五稜郭店(GoogleMapより)。
「Horita」のロゴが残っていた。

タワーマンション、商業施設の大型複合ビル-19階建て

シエスタハコダテは地下1階、地上19階建の規模で、地階~3階は商業施設、4階は函館市の市民交流プラザ「函館コミュニティプラザ・Gスクエア」、5階~19階は大和ハウス工業による分譲マンション「プレミストタワー函館五稜郭」(74戸)となる。また、このほかに立体駐車場が設けられる。
コミュニティプラザには、函館出身のバンド「GLAY」のシンボルアートが設置される。
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Gスクエア・ロゴ(公式サイトより)。


Gスクエアの案内(函館市ウェブサイトより)。

商業施設の核は無印良品-全国有数の規模の「旗艦店」

シエスタハコダテの商業フロアは地階~3階までの約3,600㎡。
そのうち、1階から3階までの2,700㎡に核店舗として「無印良品」が出店する。

公式サイトより。

無印良品は道内最大・全国でも有数の規模の店舗で、喫茶店「Cafe&Meal MUJI」(200㎡)やコミュニケーションスペース「Open MUJI」も設置される。 無印良品はこの店舗を「地方都市における大型店展開のモデル」としたい考えで、地域貢献として4階の市民交流プラザ「Gスクエア」でのイベント企画・運営にも参画する。なお、函館駅前の百貨店「棒二森屋」の無印良品は3月で閉店となる。
また、地下1階の食品売場は、輸入食品雑貨店「ディーン&デルーカ」がプロデュースし、道内・全国各地の生鮮品店、グロサリーストア、銘菓店などが出店する「フードマーケットホール」となる。ディーン&デルーカは北海道初出店となる。

再開発すすむ中心部-和光跡「キラリス」も一部開業

函館市内では、このほかにもJR函館駅前の和光デパート跡に大型再開発ビル「キラリス函館」(高層階は分譲マンション「函館マークス」)が2016年夏に一部暫定開業したばかり。
新幹線開業に沸く函館の街は大きく姿を変えることになる。

キラリス函館。

外部リンク:「無印良品シエスタハコダテ」オープンのお知らせ (良品計画)
外部リンク:無印良品シエスタハコダテ
外部リンク:Gスクエア
外部リンク:キラリス函館
関連記事:苫小牧駅前プラザegao(旧ダイエー)、自己破産正式決定-市が取得へ
関連記事:セイコーマート、社名を「セコマ」に改称

ルネスアベニュー、2017年3月31日閉店-弘前のファッションビル、道路拡幅後に再建へ

弘前市土手町のファッションビル「ルネスアベニュー」が、道路拡幅工事に伴い2017年3月31日で一時閉店する。IMG_1549ルネスアベニュー。

弘前市中心部を代表するファッションビル

ルネスアベニューは1980年2月に「ルネス街」として開業。2006年9月に全面リニューアルし、現在の姿となった。
地下1階、地上3階建てで、売場面積は2,489㎡。弘南鉄道中央弘前駅前に立地し、建物は呉竹産業が所有、地元不動産賃貸会社のスコーレが運営する。
中三百貨店弘前店とともに土手町を代表する商業施設として長年親しまれており、若者向けファッションテナントや飲食店などが軒を連ねていたほか、1階にあったカフェ「ハウル」では、市内の洋菓子店などで提供されるアップルパイ6種が食べ比べ出来る「アップルパイ食べくらべプレート」が好評を博した。(2016年1月に提供終了)
また、館内には商店街振興組合なども入居している。
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好評だったアップルパイ食べ比べプレート。
(弘前観光コンベンション協会ガイドマップより)

道路工事のため一時閉店、リニューアルへ

今回の閉店は、ルネスアベニュー南側(中央弘前駅前)の敷地が都市計画道路「山道町樋の口線」のルート上にかかるため。山道町樋の口線は中央弘前駅前を通るものの非常に狭く、歩道も設けられていなかったため、弘前市が拡幅工事を実施することとなった。
ルネスアベニューの再オープン時期は明らかになっていない。
同施設は弘前市の中心市街地活性化事業のなかで「(仮称)ルネスアベニューリノベーション事業」の計画地として指定を受けていることもあり、北東北屈指の繁華街である土手町エリアに活気をもたらすリニューアルが期待される。

外部リンク:ルネスアベニュー
外部リンゴ:弘前アップルパイガイドマップ(弘前観光コンベンション協会公式サイト)
関連記事:南部バス、2月15日めどに岩手県北自動車に事業譲渡-事実上倒産でみちのりHD傘下に
関連記事:ユニバース十和田東ショッピングセンター、11月11日開業-旧・十和田市駅跡地
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スーパー江南小林店跡地に再開発ビル、2017年1月22日着工-松栄ストアー出店へ

宮崎県小林市中心部の核店舗だった「スーパー江南小林店」の跡地に建設される再開発ビルが1月21日に着工された。
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再開発ビル・完成予想図。
(小林まちづくり株式会社サイトより)

「スーパー江南」創業の地だった

スーパー江南は1949年に小林市で金物店として創業。
その後、スーパーマーケットに参入し、本社を宮崎市に移し、最盛期には6店舗を展開していたが、競争の激化により2013年に破産、全店を閉鎖していた。
スーパー江南小林店の最末期の店舗は1972年9月に開店。JR小林駅近くの商店街への出店で、売場面積は1,984㎡だった。
寿屋小林店(現:ダイレックス、だいわ、TSUTAYA)とともに永年に亘って小林市中心部の商業を牽引してきたが、破産とともに閉店。その後は活用されず、2015年に跡地を小林市が取得していた。
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スーパー江南小林店(再開発ビルの建設予定地)。

複合ビルは5階建て-松栄ストアーが出店へ

スーパー江南跡地に建設される再開発ビルは、「小林まちづくり株式会社」が運営する複合ビル。
小林まちづくり株式会社は地元飲食店などが共同出資したまちづくり会社で、中心市街地でのイベント開催などもおこなっている。
新たに建設される複合ビルは5階建てで、1階には核店舗としてスーパーマーケット「松栄ストアー」が出店。2階には、小林商工会議所、市民交流スペース、企業支援オフィスなどが入居。3階~5階は賃貸マンション(18戸)になるという。先述の通り、土地は市が取得しているため、土地は小林市から賃借する。
総事業費は約6億6000万円(うち行政の補助が2億2000万円)で、2017年12月の完成を目指す。

外部リンク:複合ビル(小林まちづくり株式会社)
関連記事:イオンタウン姶良・西街区、3月10日開業

御坊本町商店街、紀州鉄道の車両を保存・活用へ-紀鉄は1月22日の事故で一時運休

和歌山県御坊市の「御坊本町商店街」は、廃車となった「紀州鉄道キハ603」(旧・大分交通キハ603)を保存・活用することを発表した。
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紀州鉄道キハ603(紀伊御坊駅)。

レトロな気動車として人気だったキハ603

紀州鉄道はJR御坊駅から西御坊駅までを結ぶ2.7kmの路線。短いながら1時間に1~2本の運行本数が確保されており、地元の足として親しまれている。
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現在の主力車両・KR301(元・信楽高原鐡道)。

キハ603は1960年に新潟鐵工所で製造されたディーゼル気動車。発注元の大分交通耶馬溪線(通称:耶鉄)で1975年9月の廃線まで活躍したあと、紀州鉄道に移籍。同時に移籍したキハ604とともに、主力車両として活躍していた。
近年はレトロな車両として人気を集めていたが、車両の老朽化と冷房が無かったこともあり新型車両導入に伴い2009年に営業休止、2012年に廃車されていた。
なお、同僚のキハ604はキハ603とともに紀州鉄道に移籍したものの、
引退後に部品取りとなって2010年に解体。キハ601、602は大分県中津市の「汽車ぽっぽ食堂」で保存されている。
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大分県中津市で保存されているキハ602。宿泊施設となっている。

キハ603、御坊本町商店街で保存-店舗設置も検討

地元紙・日高新報によると、車両を移設するのは御坊市本町三丁目の御坊本町商店街内。
本町商店街は紀州鉄道紀伊御坊駅前の商店街で、車内に店舗を設置することも検討しており、今後、活用方法についてのアンケート調査などを実施。その後、6~7月ごろに設置場所の整地、車両の移設などをおこない、年内にもグランドオープンさせたい考えという。
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御坊本町商店街。

紀鉄線、1月22日に脱線事故-一時運休へ

一方で、紀州鉄道では1月22日午前11時ごろ御坊-学問駅間で脱線事故が発生。客5人と運転士に怪我はなかった。
運輸安全委員会は鉄道事故調査官を紀州鉄道に派遣。紀州鉄道は原因が判明するまで運行を一時休止する予定だという。

追記:紀州鉄道では、このほかにレールバル「キテツ2」の運行終了に合わせ、同車両の譲渡先を募集することも発表した。
なお、紀州鉄道は1月29日現在運休したままとなっている。

外部リンク:紀州鉄道:鉄道事業について
関連記事:南部バス、2月15日めどに岩手県北自動車に事業譲渡-事実上倒産でみちのりHD傘下に 
関連記事:南海和歌山市駅ビル、建替えへ

いかりスーパー、ららぽーとEXPOCITYから1月22日撤退-「いかり」のショールーム的店舗、僅か1年で

大阪府吹田市千里万博公園の「ららぽーとEXPOCITY」(エキスポシティ)1階にあるいかりスーパーの食品店「いかりホームメイドショップ ららぽーとEXPOCITY」が1月22日閉店する。

いかりホームメイドショップ。

いかりの「ショールーム」-自社製品、対面販売重視だった

いかりスーパーマーケットは1961年に尼崎市塚口で創業した高級スーパー。
阪神間を中心に高級スーパーマーケットを25店舗を展開しているほか、中華料理店「愛蓮」などの飲食店を展開しており、いかりスーパーでは「いかり・芦屋」ブランドの洋菓子、豊富な輸入食品、中華惣菜が人気を集めている。
いかりホームメイドショップは2015年11月19日のEXPOCITY開業に合わせて出店したコンセプトショップで、地元で高い知名度を誇る「ikari」の紙袋デザインを外観にあしらい、自社製造・開発食品の販売に特化した「いかり」ブランドのショールーム的役割を果たしていた。
隣接する食品スーパー「デイリーカナートイズミヤ」との兼ね合いもあり生鮮食品は取り扱っておらず、また、対面販売による接客が行われていたのも特徴であった。

僅か1年で撤退-競合店の「高質化」影響か

エキスポシティでは開業当初より、いかりスーパー以外にも高級スーパー「北野エース」が出店。さらに、食品スーパー「デイリーカナート イズミヤ」、コーヒー・輸入食品店「カルディコーヒーファーム」、ワイン専門店「エノテカ」、和食グロサリー店「久世福商店」といった複数のスーパー・グロサリーストアが出店していた。
特にイズミヤでは、2014年以降、同じH2Oリテイリング傘下の百貨店系スーパー「阪急オアシス」で販売される輸入食品・付加価値商品を積極的に取り入れ「高品質化」が進んでいたこともあり、販売商品の重複が起きるようになっていた。その結果、いかりホームメイドショップは、高品質を掲げる他店舗との熾烈な競争に敗れた形となった。
1月時点では跡地に出店する店舗は発表されていない。

外部リンク:いかりホームメイドショップ ららぽーとEXPOCITY | いかりスーパー(いかりスーパーマーケット)
外部リンク:いかり ホームメイド ショップ|ららぽーとEXPOCITY|ショップガイド(三井不動産・ららぽーと)
関連記事:ららぽーとエキスポシティ11月19日開業 – エキスポランド跡

南部バス、2017年2月15日めどに岩手県北自動車に事業譲渡-事実上倒産でみちのりHD傘下に

青森県南部地方でバスを運行する南部バス(本社:八戸市)は、2月15日を目処に岩手県の岩手県北自動車(本社:盛岡市)に事業譲渡する。IMG_1190南部バス。

南部地方の交通網整備に貢献も近年は赤字深刻化

南部バス株式会社は1926年に五戸電気鉄道として設立。1929年に南部鉄道(現:八戸駅〜五戸駅)を開業させ、1931年にはバス事業に参入するなど南部地方の交通アクセス拡充に貢献した。なお、鉄道は一度も電化されずに、1945年には社名も南部鉄道に改称している。
1969年に発生した十勝沖地震で南部鉄道が被災し廃線になると、1970年には社名を「南部バス」に変更しバス事業に一本化。
2001年からは八戸市郊外のショッピングセンター「ラピア」(サンバード長崎屋八戸店)に「八戸ラピアバスターミナル」を開設し、同社の路線バス、高速バスの発着拠点となった。
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八戸ラピアバスターミナル。

しかし、近年はバス利用者の減少などに伴い売上高が低迷。 2015年3月期の債務超過額は約22億円にのぼるなど、慢性的な赤字が問題となっていた。
2016年11月、東京地裁に民事再生法の適用を申請。即日受理され、同社は事実上の倒産となった。申請時の負債総額は約26億円とみられている。
12月にはみちのりHD傘下の岩手県北自動車への事業譲渡契約を締結した。

みちのり傘下の岩手県北自動車に譲渡-バス名は維持

南部バスの全事業を引き受ける岩手県北自動車(岩手県北バス)は1943年設立。盛岡市をはじめ宮古市や岩手県北部などにバス路線を持つなど、岩手県交通とともに岩手を代表するバス事業者となっている。

一方の岩手県北バスの経営も厳しく、2009年に民事再生法の適用を申請、その後2010年4月からは「みちのりホールディングス」(千代田区)の傘下となった。P1040795岩手県北自動車。

みちのりHDは経営共創基盤傘下の公共交通事業者などの経営支援をおこなう持株会社で、岩手県北交通、関東自動車、茨城交通、会津バス、湘南モノレールを傘下に持っている。
なお、今回の事業譲渡に当たって「南部バス」のブランドは維持されるという。

外部リンク:南部バス株式会社
外部リンク:岩手県北バス
関連記事:盛岡バスセンター、9月30日閉鎖-盛岡市、跡地に複合施設検討

DCM、ケーヨーD2と資本業務提携-2017年1月締結、ホームセンター最大手の地位かためる

ホームセンター国内最大手の「DCMホールディングス」(本社:東京都品川区)は1月5日に、ホームセンター業界6位の「ケーヨーD2」(本社:千葉県千葉市)との資本業務提携契約を締結した。
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DCMの店舗・ホーマック。

国内最大手の地位をかためるDCM

DCMホールディングスは2006年、西日本地盤の「ダイキ」(本社:愛媛県松山市)、東海地方地盤の「カーマ」(本社:愛知県刈谷市)、東日本地盤の「ホーマック」(本社:北海道札幌市)の経営統合により発足。グループの総店舗数は633店舗(2016年11月時点)。
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大阪の都市型旗艦店であるDCMダイキなんば店。

当初、この3社はプライベートブランド(PB)商品の共同開発、共同調達などをおこなう程度の緩やかな提携関係であったが、2015年以降、傘下の運営会社・運営店舗の屋号に「DCM」を冠するなど、グループとしての一体感を強めつつある。
さらに、2015年から2016年にかけては流通大手「ユニー」が運営していたホームセンター「ユーホーム」の一部店舗を取得、青森県地盤の「サンワドー」(DCMサンワ)、山梨県地盤の「くろがねや」(DCMくろがねや)を傘下に収めるなど、同業他社の買収・統合による拡大を推し進めている。

2015年にDCM傘下となったサンワドー(現・DCMサンワ)。

一方の「ケーヨーD2」を運営するケーヨーは1952年に木更津市で創業。店舗数は183店舗。(2016年11月時点)
ケーヨーとは「京葉」のことで、首都圏からを中心に東海地方、関西地方にも出店しており、三大都市圏をカバーする店舗展開が強みだ。
今後は、「ケーヨーD2」への「DCMブランド」商品の供給も決まっている。

ケーヨーD2。 

 なお、今回の業務資本提携により両社は完全な経営統合をおこなう訳ではない。
もともと両社は2016年4月より業務提携、将来的な経営統合を目指すべく協議を行っていたが、今回はDCMによるケーヨー株の追加取得にとどまり、ケーヨーの東証一部上場も維持されることとなった。
DCMホールディングスのケーヨーに対する出資比率は20.1%となる。

DCM・ケーヨー両社に影響力を持つイオン、今後どう出るか

今回資本業務提携するDCM、ケーヨーD2はともに流通最大手「イオン」との結び付きが強く、DCMホーマックの前身企業である「石黒ホーマ」とは「イシグロジャスコ」を、ケーヨーD2とは「ケーヨージャスコ」を設立しスーパーセンター「メガマート」を、それぞれ共同運営していた過去もある。
イオンは現在もDCM・ケーヨー両社の株式の5%前後を保有する大株主として名を連ねており、両社の資本業務提携後も強い影響力を持つとみられる。
イオングループは東北を中心に展開するホームセンター「サンデー」、九州を中心に展開するホームセンター「ホームワイド」を子会社化しており、DCM、ケーヨーD2、そしてイオングループの3社が今後のホームセンター業界再編の中心的役割を担うことは間違いないであろう。

外部リンク:株式会社ケーヨーとの資本業務提携及び持分法適用関連会社の異動に関するお知らせ(DCM)
関連記事:ユニー、ユーホームを全店閉鎖-2016年8月中に