福岡市中央区の七隈線六本松駅前にあった九州大学六本松キャンパス跡地に、複合商業施設「六本松421」が2017年10月にグランドオープンする。
六本松421。
約90年の歴史に幕を下した学生街の再開発
九州大学六本松キャンパスは旧制福岡高等学校として1921年に開設。戦後、九州大学のキャンパスとなった。
六本松は長らく学生の街として栄えていたが、九州大学本部のあった箱崎キャンパス(福岡市東区)から離れていたことに加えて六本松キャンパス自体も老朽化が進んでいたことから、福岡市西区に新たに開設した伊都キャンパスに機能を集約・統廃合されることになり、2009年に88年の歴史に幕を下ろした。
施設東側に旧制福岡高等学校の碑が設置される。
六本松421、2017年春より順次開業
六本松キャンパス跡地のコンセプトは「青陵の街」。
再開発はUR都市機構の主導で、北側の西街区・東街区はJR九州が複合施設として整備。また、複合施設の南側は福岡市と国などにより、2018年度末までに裁判所(高裁、地裁、簡裁、家裁など)、検察庁、弁護士会館が整備される計画となっている。
施設構成図(ニュースリリースより)。
エリア全体地図。
MJR・SJRの南側には裁判所などが建設中。
そのうち「六本松421」は、低層階でJR九州が運営する商業ゾーン、福岡市科学館、九州大法科大学院を合わせた総称。それらの高層階には、JR九州の分譲マンション「MJR」、同社のシニアマンション「SJR」を配置する。
また、六本松421前には地下鉄七隈線六本松駅の出入口が整備されるほか、歩道の拡幅、公園整備なども実施される。
「六本松421」のうち、「MJR六本松」1階部分の店舗は2017年春より順次開業しており、JR九州グループがFC展開する「ファミリーマート」「シアトルズベストコーヒー&サブウェイ」など12店舗が出店している。
2017年春に開業したMJR下層階部分。
MJR南側には「六本松公園」も整備された。
秋開業の商業核は「蔦屋書店」と「ボンラパス」
10月までに開業する「六本松421」2期街区の商業施設は「SJR」の1~2階となる。
1階食物販ゾーン「六本松マルシェ」には、ハローデイが運営する高級スーパー「ボンラパス」や九州初進出のカフェ「ミカフィート」、フラワーショップ「青山フラワーマーケット」など10店舗の出店が、2階にはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛ける生活提案型ブック&カフェ「代官山 蔦屋書店」や、JR九州グループの学童保育施設、医療モールなど6店舗の出店が決定している。
追記:ボンラパス、蔦屋書店など主要店舗は9月26日の開店が発表された。
SJR下層階部分。蔦屋書店などが出店する。
このほか、中央部分の3階~6階には宇宙飛行士・若田光一氏が名誉館長に就任する「福岡市科学館」(旧・福岡市少年科学文化会館)、そして九州大学法科大学院が入居する。
追記:福岡市科学館は10月1日にグランドオープンする。
福岡市科学館。
CCC、六本松を九州地区の新たな蔦屋旗艦店に
六本松421の核テナント「代官山 蔦屋書店」を運営するCCCは九州地区への投資を進めており、2011年の丸善福岡ビル店跡への「ecobooks」強化店舗開設を皮切りに、2013年には武雄市図書館の運営を受託。さらに2015年から2016年にかけてグループ会社が運営する「蔦屋書店 イオンモール筑紫野」「蔦屋書店 熊本三年坂」を食物販・雑貨を充実させた生活提案型店舗に業態転換。同年7月には日本最大の中古書店を謳う「TSUTAYA BOOK GARAGE福岡志免」をホームセンターサンコー跡に開店させた。
今回、旗艦店と位置付ける「代官山モデル」の業態を開設させることで、CCCの九州地区強化の動きが鮮明なものとなった。
蔦屋書店熊本三年坂。
国体道路沿いのツタヤ、6月30日閉店−跡地にドンキ
六本松421への蔦屋書店出店に伴い、従来TSUTAYAが福岡都市圏の旗艦店として位置付けていた国体道路沿いの「TSUTAYA BOOK STORE TENJIN」は6月30日に閉鎖される(福ビル店は営業を継続)。
ツタヤの跡地には、2018年にドン・キホーテが出店する予定となっている。
外部リンク:新しい“まち”六本松にバラエティ豊かなお店が登場!-六本松地区開発 出店店舗のお知らせ-(JR九州)
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