快活CLUB運営「AOKI」、自遊空間運営「ランシステム」を2022年6月8日子会社化-複合ネットカフェ「快活一強」鮮明に

大手複合ネットカフェ「快活CLUB」運営企業を傘下に持つ大手紳士服店グループ「AOKIホールディングス」(AOKIHD/本社:横浜市都筑区)は、大手複合ネットカフェ運営会社「ランシステム」(店名:スペースクリエイト自遊空間/本店:埼玉県狭山市、本社:東京都豊島区)と資本業務提携を締結し、ランシステムを2022年6月8日付で連結子会社化する方針を同年5月23日に発表した。

AOKI傘下となる自遊空間(東京都大田区)。

AOKI傘下の業界最大手複合カフェ「快活CLUB」

快活フロンティアの現法人は1996年3月に大手紳士服「アオキインターナショナル」(現AOKIHD)の子会社として設立。2000年8月に社名を「コート・ダジュール」に変更し、同年10月にAOKIから同名のカラオケ業態を譲受し分社独立。2002年7月に社名を「ヴァリック」に変更し、2003年7月に現在の主力事業となる複合カフェ業態「快活CLUB」の出店を開始した。
2018年には全室完全個室の新業態「快活CLUB リラックスルーム」を出店開始、2019年10月に現社名に変更した。

快活CLUBとAOKI(東京都豊島区)。

同社は親会社と競合関係にある紳士服店(はるやま商事・メンズゼビオ)傘下のチェーンや同業地場中小チェーンに対するM&Aを進めつつ全店直営・共通のサービス展開を重視、同業では当時珍しかった南国リゾート風のフロアやモーニング無料化で客層の拡大を図った。
2020年初頭から拡大したコロナ禍においても、積極的な新規出店や既存店のスクラップ&ビルド(年間50~100店舗増)や完全個室フロアの拡大、親会社の資本を活かしたリモートワークサービスの提供により、2021年4月には全都道府県への出店を達成、2022年3月期の売上高はコロナ禍前と同水準の569億9300万円となった

快活の無料朝食サービス。
ポテトは「免費芋」とも呼ばれ人気を集める。

なお、2002年12月から2008年4月まで東証ジャスダック市場に上場していたが、2022年5月現在はAOKIHDの完全子会社化となっている。

無人業態の開発に強みもつ古参「自遊空間」

ランシステムは1985年6月にレンタルレコード店「友&愛」を展開する企業として創業。1988年12月に法人化した。1996年7月には複合アミューズメント施設運営事業(スペースクリエイト事業)を開始、1998年8月に漫画喫茶・ネットカフェを核とする主力業態「スペースクリエイト自遊空間」直営店を出店開始した。
2000年代には同業中小チェーンに対する積極的なM&AやFC契約で事業規模を拡大、2018年からは同業他社に先駆け店舗無人化システムの開発と導入を本格展開している。

自遊空間NEXT(東京都大田区)。

AOKIの快活とは異なり多くはFC店舗で、2022年5月現在は主力業態に加えて無人入退場セルフ接客業態「自遊空間SELF」、鍵付き防音個室業態「自遊空間NEXT」を約140店舗展開。2022年6月期の売上高は43億2000万円。(同年5月23日修正後の業績予想)

AOKI、自遊空間取込みでさらなる多角化へ

AOKIホールディングスの2022年3月期の売上構成比は祖業である「ファッション事業」(メンズプラザAOKI)が56.1%、「エンターテイメント事業」(快活CLUBなど)が36.1%、「アニヴェルセル・ブライダル事業」が5%を占めるなど、同業紳士服チェーン各社が課題とする多角化戦略に成功を収めている。
AOKIHDは同社傘下かつランシステム既存株主の結婚式場・パーティ会場運営会社「アニヴェルセルHD」からの株式譲受、ランシステムによる第三者割当増資引受により株式の50.71%(議決権所有割合)を取得。ランシステムが得意とする無人化・リモート接客システムノウハウの取込みを図る。
AOKIHDは資本業務提携により、シナジーの最大化新コンテンツの開発店舗効率化をはじめとする業態の進化などにより事業展開を加速させるとしている。

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