香椎ビッグマートビル、2021年4月閉館-旧・ダイエー、ヤマダはベスト電器跡に移転

福岡県福岡市東区千早の西鉄香椎宮前駅・国道3号線沿いにある福岡地所グループの複合商業ビル「香椎ビッグマートビル」が2021年4月中旬を目処に全館閉店する。
香椎ビッグマート(家電住まいる館YAMADA)とベスト電器

旧ダイエー、香椎一の商業ビル「ビッグマート」

香椎ビックマートは1980年5月に開業。建物は地上5階地下1階建、店舗面積は12,419㎡。2020年時点では福岡地所グループのエフ・ジェイ・エンターテインメントワークスが運営する。
開業当初は福岡市東区で最大の大型店であり、総合スーパー「ダイエー香椎店」を核に「ベスト電器」や地場文具・事務用品店「ピットまつや」などの専門店、福岡地所系の「TNC西日本文化サークル」「九州スポーツ振興・福岡イトマンスイミングスクール」(ともに本社機能併設)といったカルチャー施設に加え、当時福岡地所の大株主だった「福岡シティ銀行(現・西日本シティ銀行)」の支店が出店していた。
さらに、隣接地には福岡地所グループの大規模分譲マンション「サンライフ香椎」や飲食店街「香椎ファミリープラザ」(ドムドムなど出店)、香椎駅前には旧・ユニード系の総合スーパー「ダイエー香椎駅前店(ユニード香椎アピロス)」(1973年開店/2000年閉店)が出店しており、福岡地所・ダイエーともにドミナントを形成していた。
しかし、2000年代に入ると近隣にイオン香椎浜、ゆめタウン博多など大型ショッピングセンターが相次ぎ出店。その影響もあり、福岡イトマンが香椎本店を閉校(本社は南区長住に移転/香椎スポーツガーデンフェニックスが居抜き出店)、2005年10月には核店舗のダイエーが閉店するなど、テナントが相次ぎ撤退した。
そのため、ダイエー閉店直後の同年12月に家電量販店「ヤマダ電機テックランド福岡香椎本店」と食品スーパー「ハローデイ香椎店」を核とする施設にリニューアル。地階には「ダイソー」と「サンドラッグ」が新規出店、高層階には福岡イトマンの受け皿となった「ブリヂストンスイミングスクール」がフェニックスを買収するかたちで再出店するなどして再生を果たした。
香椎ビッグマートのエントランス。

核店舗であり、ヤマダ電機テックランドから業態転換した「家電住まいる館YAMADA福岡香椎店」の営業フロアは地上1~2階、売場面積は9,421㎡。
ヤマダグループの福岡旗艦店であり、テックランド時代は家電製品に加えて書籍売場やカー用品売場を導入するなど幅広い品揃えであった。一方で、2012年12月にヤマダがベスト電器を子会社化したことで、近接するベスト電器(→ビックカメラ→B・B香椎本店)とのグループ間競合が生じることとなった。
そこで、ベストには同社と提携関係にあった「ゲオ・セカンドストリート」に加えて2015年7月に地場手芸店「サンカクヤ」、2016年12月に「西松屋」を導入。また、ヤマダは2018年5月に家電住まいる館YAMADAの九州1号店に業態転換、2019年4月には「ヤマダ不動産」を導入するなどして、棲み分けが図られた。

ビッグマートは解体、ヤマダはベスト跡に移転

築40年を迎えた香椎ビッグマートは近年老朽化が進んでおり、再開発計画が始動していた。
2020年11月にヤマダ不動産が路面店として香椎駅前に移転。12月にはブリヂストンスイミングスクールと地階フードコートが閉鎖。さらに、ダイエーに代わるかたちで施設の核店舗となったヤマダとハローデイも2021年3月31日をもって現店舗を閉店することを発表している。

ひと足先に閉店した西銀跡。

残るサービス系店舗も4月中旬を目処に閉店する予定で、建物は全館閉鎖となる見込み。5月以降解体工事が予定されているが、3月時点では跡地の活用方法などについては発表されていない。
このうち、ヤマダは近接するベスト電器の建物への移転を発表している。ベスト電器は2021年3月7日をもって閉店、テナントの西松屋やゲオ・セカンドストリートも3月中に閉店している。

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