セブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区)は、2019年10月10日から15日にかけて総合スーパー「イトーヨーカ堂」の構造改革を発表した。
イトーヨーカドーの店舗(大森店)。
ヨーカドー、衣料・住居を大幅縮小-テナント化へ
今回の構造改革による大きな変化は、衣料・住居などといったライフスタイル事業の自営MDを大幅に縮小すること。
ライフスタイル事業は長年にわたって赤字であるといい、2022年までに2018年度比で半分にまで縮小し、テナントの導入を進める方針だという。
これにより、人員削減も進める。
イトーヨーカドーは古い総合スーパーを多く抱える(沼津店)。
食品館を分社化-新たな「中核事業」にしたい考えか
さらに、2022年を目途に「イトーヨーカドー食品館」の分社化を視野に入れ、人口の増加が続く首都圏での食品スーパー事業を強化していく考えも発表した。
イトーヨーカドー食品館(上大岡店)。
それに先駆け、2019年10月21日付けで、販売事業部の「食品館ゾーン」(食品スーパー「イトーヨーカドー食品館」)と、「プライスゾーン」(ディスカウントスーパー「ザ・プライス」)を、「食品館・プライスゾーン」へと統合する。
ザ・プライスの店舗(閉店した西川口店)。
食品館と部門統合される。
33店舗の業態転換・閉店も検討-国内全店の3割弱
このほか、イトーヨーカドーの国内全158店のうち、約2割以上に当たる33店を「自力再生が難しい店舗」とし、他社との連携などにより複合施設化を進め、経営状態が改善しなければ閉店させる方針も示した。これらの店舗名については明らかにされていない。
閉店が続くイトーヨーカドー(新田店)。
永年総合スーパーの雄として君臨し、2000年代中盤までは経営規模の拡大をめざして九州への上陸も囁かれていたたイトーヨーカドーであるが、近年は地方の店舗や首都圏の老朽店舗を中心に店舗整理や食品スーパー化を進めているほか、兵庫県加古川市以西の全店舗を閉店させるなど、展開エリアの縮小もおこなっている。
イトーヨーカドーは首都圏駅チカという不動産価値の高い店舗も多く、将来的には「首都圏における食品スーパー事業」を収益の要としつつ、イオンモールのように不動産で収益を上げる事業モデルへと転換したい考えであろう。
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