三越伊勢丹など7社が幹事を務める百貨店共同仕入機構「全日本デパートメントストアーズ開発機構」(A・D・O)が2020年3月31日付で解散した。
伊勢丹新宿本店。
国内最大の「百貨店共同仕入機構」
全日本デパートメントストアーズ開発機構(A・D・O)は1973年3月に、老舗百貨店である「伊勢丹」(新宿区)主導の仕入機構「十一店会」(1961年発足)と「松屋」(中央区)主導の仕入機構「エコー」(1963年発足)が統合して誕生。発足時の加盟企業数は41社、加盟店舗数は60店舗であった。
松屋銀座本店。
A・D・Oは加盟企業共同での商品調達やイベントの開催、贈答品カタログ(お中元・お歳暮など)の共通化、相互利用可能な商品券・プリペイドカードの発行(1997年まで)、県外配送優遇サービスなど加盟企業の連携に繋がる施策を推し進めたほか、共同販促事業もおこなっており、折込広告のスタイルや「小さいサイズの婦人服ストロベリー」など売場の名称を伊勢丹と統一した百貨店もあった。
共同仕入機構解散で厳しさ増す地方百貨店
全国各地の百貨店の成長を支えたA・D・Oであったが、2008年4月には実質の運営主体であった伊勢丹が三越と経営統合した。そのため、国内各地に店舗網を敷く三越や、三越を中心とする共同仕入機構「ジョイントバイインググループ」に所属する店舗と、A・D・O発足当初からの加盟企業である松屋や藤崎との間で競合が生じることとなった。そのこともあり、2010年代以降は商品の共同開発事業などが縮小されていた。なお、ジョイントバイイングに関しても三越伊勢丹の統合後に解散している。
日本橋三越本店。
一方で、近年もお中元・お歳暮などの食品ギフトや社員教育などの事業は継続されていたという。
今回の解散により、国内百貨店総売上の30%を占める百貨店仕入機構が消滅することとなり、地方百貨店の経営はより一層厳しいものとなることが予想される。
おもな加盟百貨店
- 藤丸
- 丸井今井
- 川徳
- 大沼(2020年破産)
- 藤崎
- スズラン
- 八木橋
- 丸広百貨店
- 東武百貨店
- 松屋
- 三越伊勢丹
- 京急百貨店
- さいか屋
- 浜松松菱(2000年破産)
- 津松菱(のちに離脱)
- 名鉄百貨店
- 名鉄丸越(エムザ)
- 山陽百貨店
- 天満屋
- 井筒屋
- 岩田屋
- 浜屋百貨店
- トキハ
- 鶴屋百貨店
- 山形屋
- リウボウ
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