大分パルコ跡、病院建設中止に-大分中村病院の経営再建で

大分中村病院(社会医療法人恵愛会)は、経営難のために自社で購入した大分駅前の「大分パルコ」跡地への新病院建設を断念し、土地を売却する方針を固めた。

大分パルコ跡・全景。

大分中村病院、経営不振で土地売却へ

土地の売却方針は、大分中村病院の経営再建を支援する政府系ファンドの「地域経済活性化支援機構」(REVIC)が発表したもの。
大分中村病院は債務超過の状態が続いており、大分パルコ跡地を売却し、別の土地で新病院の建設を進める方針だという。

パルコ九州1号店だった

大分パルコは1974年に九州西武が運営する「西友大分店」として大分駅前の銀行跡地に開業。1977年にパルコの九州一号店「大分パルコ」に業態転換した。
(数年間、西友は地階で営業を継続した)
しかし、福岡パルコの開業(2010年)、大分駅ビルの建設(2015年開業)を受けるかたちで、2011年の賃貸契約満了時に契約を更新せずに閉店した。核テナントであったロフトは「トキハわさだタウン」に、無印良品、ヴィレッジヴァンガードは「大分フォーラス」(現在建替え中)に移転するなどしたが、6割ほどのテナントが大分県から撤退することとなった。

大分パルコ。

その後、ビルはカリーノ(旧・ラララグループ寿屋)などが再生させる計画を示したが断念。
高層階にホテルが入居しているという特殊な造りであることから再活用も進まず、建物は解体された。

地価上昇続く大分駅前、購入時よりも高額で売却か

大分中村病院は、大分県庁近くにある現在の病院が老朽化しているため新病院の建設予定地として2012年にパルコ跡地を購入。
その後、暫定的に駐車場として活用しつつ2015年度中に新病院を開業する予定としていたが、工事は行われておらず、現在は駐車場として利用されていた。
大分駅前は再開発が進み、地価の上昇が続いているため(2018年には2012年の地価を上回る可能性)、購入時よりも高い価格での売却も予想される。
土地の売却は三井不動産を通じて行われ、応募のなかからコンペを実施して売却者を選定することになるという。

再開発つづく大分駅前(JRおおいたシティ)。

大分県では、主要都市である大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、宇佐市の全てで中心部の大型店跡地の活用方法が決まっていない状態となっている。
別府市(近鉄百貨店跡地、タワーマンション建設予定→ディベロッパーの経営再建で中止)に続いて大分市でも駅前の大型再開発計画が中止となったことで、改めて地方都市における大型店跡地再開発の難しさを露呈するかたちとなった。

外部リンク:社会医療法人恵愛会に対する再生支援決定について
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