岐阜県岐阜市の柳ケ瀬商店街にある百貨店「岐阜高島屋」が、建物の老朽化のため2024年7月31日午後7時半に閉店した。
岐阜高島屋。
岐阜高島屋、100億円以上の売上があり黒字だったが…
岐阜高島屋は1977年9月に開業。建物は地上11階・地下1階で店舗面積は20,390㎡。高島屋子会社の岐阜高島屋が運営しており、建物は平和ビルが所有する。開店当時は柳ケ瀬商店街周辺で最も高いビルの1つであり、柳ケ瀬商店街のシンボルとして知られていた。2006年には別館に無印良品が開業している。
閉店の大きな理由は建物の老朽化のため。老朽化した建物の電気設備などといった改修工事を巡り合意に至らず、安全性が確保できないためとしている。2023年2月期の年商は約132億円、黒字運営だったという。
柳ケ瀬商店街・劇場通りと高島屋。
かつて高島屋の場所にも映画館があった。
猛暑の最終営業日、御座候に大行列
閉店当日となった7月31日は、猛暑のなか朝から多くの人が詰めかけた。とくに地階の回転焼き「御座候」は大きな人気を集め、3階まで行列ができていた。
行列ができた御座候。
また、アーケード内の柳ケ瀬グラッスル35広場では「都心の懇談会」と題し、商店街関係者が高松丸亀町商店街振興組合の古川康造理事長理事長を招いて高島屋閉店後についての議論がおこなわれた。
午後になると多くの商品が品切れとなった。
閉店時間を過ぎた19時28分ごろ、柳ケ瀬商店街アーケード内で閉店セレモニーが始まった。「La Vie en rose」(ラヴィアンローズ)の曲が流れるなか、最後に岐阜高島屋の橋本逸郎社長が、開店当時の記念品を持ち寄った客や包装紙で作った千羽鶴を持った客が来店したことなど閉店セール中の思い出に触れつつ「まことに残念ではございますが、本日を持ちまして岐阜高島屋はこの地から無くなりますが、これからもずっと皆様の思い出のなかに生き続けましたらこれ以上の幸せはございません」「長年に亘るご愛顧をありがとうございました」と挨拶をし、割れんばかりの拍手を浴びて岐阜高島屋は47年間の歴史に幕を下ろした。
商店街で閉店セレモニーを見守る人々。
なお、地元紙・中日新聞によると、御座候は客がさばききれず20時すぎまで営業を続けたという。
柳ケ瀬の街づくりに打撃、無印良品は営業継続
岐阜高島屋の閉店にともない、同店を運営していた高島屋の子会社「株式会社岐阜高島屋」は解散する。
同社が別館でFC運営していた柳ケ瀬商店街の無印良品は9月1日から直営店として営業を再開。地元紙・岐阜新聞の報道によると、高島屋に出店していた地元銘菓「恵那川上屋 栗市栗座」も無印良品の建物に入居して営業を継続するとしている。また、レストランのみわ屋は商店街内に移転するほか、御座候も市内へ再出店する方針だとしている。
無印良品は「無印良品岐阜柳ケ瀬」として9月1日に営業を再開する予定。
岐阜高島屋は最盛期より下がっているとはいえども近年でも約130億円の売上があった。この売上の多くは柳ケ瀬エリアから名古屋方面などへ流出することになるとみられる。
岐阜駅から見たグラッスルと柳ケ瀬地区。
柳ケ瀬エリアでは近年再開発が進んでおり、2023年3月には高島屋の隣接地に複合ビル「柳ケ瀬グラッスル35」が完成。長崎屋跡地などでも再開発計画が持ち上がっており、新たなマンションの建設などによって居住者が増えつつあった。こうしたなかでの高島屋閉店は、柳ケ瀬の街づくりに大きな影響を及ぼすことは必至だ。
東海3県の百貨店、名古屋・四日市・津だけに
東海地方は全国的に商業施設の競争が激しい地域として知られており、近年は百貨店も閉店が相次いでいる。
岐阜高島屋の閉店により、東海3県で大型の百貨店が残る都市は、愛知県名古屋市・三重県四日市市・三重県津市の3都市のみとなった。
(取材協力:トレイヤさん🚢)
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