筑波西武・八尾西武、2017年2月末閉店-百貨店リストラに突き進むセブンアイ

セブンアンドアイホールディングス(本社:東京都千代田区)が、傘下の百貨店「そごう・西武」が運営する「西武百貨店筑波店」(茨城県つくば市)と「西武八尾ショッピングセンター・西武百貨店八尾店」(大阪府八尾市)を2017年2月末を目途に閉店させる方針であることが分かった。
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西武百貨店筑波店。

筑波西武・八尾西武閉店、本年度中にも

両店の閉鎖は、2017年2月末にも実施される見込み。
セブンアンドアイホールディングスは、2016年2月に「西武百貨店春日部店」を、9月に「西武百貨店旭川店」と「そごう柏店」を閉鎖させる一方で、他店は黒字経営であるために閉店の検討は行っていないとしていた。

筑波西武-
イオンと2核1モール、日本唯一「村にある大手百貨店」だった

西武百貨店筑波店」は、つくば科学万博に合わせて1985年3月に新治郡桜村(現・つくば市)に開業。
当時、村にある大手百貨店は日本唯一で、開店当初は周辺人口が少なかったために西武のショールーム的な存在の店舗だった。
開店時は日本初のスパイラルエスカレータが導入されたことでも話題を呼んだが、現在は撤去されている。
入居する「クレオスクエア」(売場面積30,832㎡)は、筑波都市整備株式会社が所有。そのうち、西武百貨店は売場面積16,688㎡を占める。
クレオスクエアは総合スーパーの「イオン」(売場面積6,681㎡)と2核1モールを形成している。
かつては各地に多くの百貨店が立地していた茨城県であるが、筑波西武が閉店した場合、県内の百貨店は水戸京成百貨店のみとなる。
なお、筑波西武では7月ごろに外装の大規模改修を行っており、閉店の方針はまさに「寝耳に水」だったと思われる。
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イオンと2核1モールを形成する。今夏は外壁補修中。

八尾西武-
 ショッピングセンターとして開業、現在はアリオと連結

西武百貨店八尾店」は「西武八尾ショッピングセンター」の核店舗として1981年5月に開店。建物は八尾市都市開発株式会社が所有している。売場面積は37,536㎡。
八尾西武は、高槻西武、大津西武、つかしん西武などとともに従来の百貨店に専門店を加えた「ショッピングセンター」として開業した(当時は百貨店としての出店申請が難しかった背景もある)。2016年現在も、ユニクロ、ロフト、エディオン、無印良品、ABC-MART、山野楽器、JINSなど数多くのテナントが出店している一方、近年は類似したテナントが出店するショッピングセンターとの競争も激しかったと思われる。
また、隣接する「アリオ八尾・イトーヨーカドー八尾店」(2006年12月開業)と連絡通路で接続されたことは、西武百貨店のセブンアンドアイホールディングス入りを印象づける出来事であった。八尾西武の広告塔屋には「アリオ」の名前も記されている。
八尾西武の閉店は、接続するアリオ八尾・イトーヨーカドー八尾店にも大きな影響を与えるであろう。
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西武八尾ショッピングセンター。

2017年2月追記:八尾西武跡は9月ごろに専門店街として生まれ変わる予定。
(後日、新記事を配信予定)

続く「突然の閉店」、百貨店の信頼を損ねる結果にも

今回の閉店は、今年5月にセブンアンドアイグループのトップに就任した井阪隆一社長が主導する「100日プラン」と呼ばれる構造改革案によるもので、経営資源をコンビニエンスストア事業に集中するとともに、2013年に買収した通信販売「ニッセン」をセブン&アイの完全子会社にすることで、合理化を図るという。
「そごう・西武」は、西武鉄道との再合流を検討していたともされるなか、2005年に買収防衛のために大手流通傘下に入る道を選び、電撃的なセブンアンドアイホールディングス入りを果たした。
一方で、近年のセブンアンドアイホールディングスは、総合スーパー事業(イトーヨーカドー)の不振もあり、自らが進んで買収した「そごう・西武」や「ニッセン」の急速な合理化(リストラ)を推し進める一方で、経営資源をコンビニエンスストア事業(セブンイレブン)に集中させようとしている。
特に、2016年以降に閉店となる「旭川西武」、「春日部西武」、「柏そごう」、そして今回閉店を発表した「筑波西武」、「八尾西武」は、その立地や競合環境からすれば、他社百貨店の経営であれば即刻閉店するような環境の店舗ではなく、経営努力や店舗の改装、業態転換などをおこない存続を図っていた可能性も高いと考えられる。
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9月30日で閉店となる柏そごう。

セブンアンドアイホールディングス傘下入り後の「そごう・西武」の多くの店舗では、合理化により「百貨店らしい」内装や販売手法さえも大きく変化してしまった。
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名物だった「からくり時計」も合理化の対象となり、稼働停止に。

それに加えて、今回のセブンアンドアイホールディングスによる百貨店の立て続けの閉店は、これまで百貨店が長年にかけて築いてきた「のれん」をも大きく傷つけることに繋がるのは必至であろう。

続報がある場合、記事更新・追加記事を掲載いたします。
(2016年8月4日更新、閉店時期を追加) 

外部リンク:筑波西武
外部リンク:八尾西武
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関連記事:そごう柏店、9月30日閉店-問われる経営判断

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