愛知県名古屋市中区栄の老舗百貨店「丸榮」(丸栄)跡地に、大型ショッピングセンター「マルエイガレリア」が2022年3月31日に開業する。
マルエイガレリア。
400年続いた丸栄、興和による再開発のため閉店していた
マルエイガレリアの前身となる百貨店「丸栄」は1615年に創業した「十一屋呉服店」を起源に持つ。
太平洋戦争最中の1943年、企業整備令に基づく百貨店整理統合により、当時大手百貨店であった「丸物」傘下の「三星百貨店」と合併して現在の屋号となった。1952年には建築家・村野藤吾の設計で、戦後に出来た建物を増築する形で現在の本館(地下2階、地上8階)が完成。外観にモザイクタイルの壁画(1枚目参照)や、1階エレベーターの扉にあしらわれた東郷青児の絵など、豪華な内外装は栄地区の名物となった。
百貨店営業終了日の丸栄。
2008年には製薬(コルゲンコーワ)などで知られる大手商社「興和」(名古屋市)と業務資本提携を締結し、経営再建を加速させた。
しかし、2017年2月期決算では3期連続の赤字を記録するなど慢性的な業績不振からは抜け出せず、2017年7月には興和の完全子会社入りし、2018年6月に閉店。将来的に近隣施設との一体的な再開発を目指すことが発表された。
マルエイガレリアはこの再開発までの「中継ぎ施設」となる。
パントリー、無印良品など出店-栄で貴重なスーパーに
マルエイガレリアは3階建て、店舗面積は7,784㎡。
建物は丸栄を買収した興和が所有し、運営はダイワハウスグループの大和ハウスリアルティマネジメントがおこなう。
「マルエイガレリア」の名称は「丸栄」の名前を残して欲しいという要望があったためだといい、ロゴの「MARUEI」部分は百貨店と同様のフォントとなる。
サカエチカにも丸栄のロゴやステンドグラスが保存されており、丸栄は再び400年もの歴史に新たな1ページを刻むこととなる。
マルエイガレリアのキービジュアル。
1階は「食のエリア」とし、核店舗として大阪市のスーパー「パントリー」が東海地区初出店する。
「パントリー マルエイガレリア店」のデザインコンセプトは「ナチュラルで上質」。自社オリジナルブランドに加え、野菜や肉、魚を店内加工で提供、関西地区の商品も取り揃え、出来立ての惣菜や弁当の販売もおこなう。
パントリー マルエイガレリア店。
そのほか、地場総菜店「デリカキッチン」、大手おはぎチェーンのカフェ「ohagi3 FLAGSHIP SAKAE」、岐阜の洋菓子店が運営する「メロウウィッチ」、新業態のグリーンコーヒーカフェ「榊珈琲」、スキンケアブランド「Aesop(イソップ)」、丸栄が運営するレストラン「KW THE KITCHEN WONDERLAND」などが出店。
2階は名古屋最大級の「無印良品」となる。なお、無印良品は隣接する「栄スカイル」にも出店している。
ohagi3 FLAGSHIP SAKAE。
3階は飲食店街、4階は駐車場となるが、飲食店街は4月以降の2期開業となる。また、外壁には大型のLEDビジョンが設置される。栄地区には複数の百貨店があるものの、それ以外の大型スーパーは2005年のダイエー栄店閉店以降存在していなかった。それゆえ、マルエイガレリアは地域の食を支える存在となることが大いに期待される。
大型再開発めざす栄、栄町ビルなどと一体開発か
マルエイガレリアの周辺では丸栄と同様に興和が取得した栄町ビルが2020年に営業を終了したほか、「ダイソー」「洋服の青山」や企業オフィスなどが出店する複合商業ビル「ニューサカエビル」、さらにメルサ・スカイルの再開発も検討されている。
マルエイガレリアはさらなる大型再開発に備えた暫定的な建物とされており、10年前後で解体される可能性が高い。
それゆえ、周辺地域の今後の再開発計画にも大きな注目が集まっている。
栄町ビル・名古屋国際ホテル。2021年に閉館した。
マルエイガレリア・3月31日1期開業テナント一覧
マルエイガレリア
住所:愛知県名古屋市中区栄三丁目3番地1号
営業時間:10時~21時(パントリー)
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