JR延岡駅前に建設中の複合商業施設「エンクロス」の開業が、新市長の方針で延期されることになった。
建設中のエンクロス。
市が設置、蔦屋書店など出店予定-市長「費用対効果検証」
「エンクロス」はJR延岡駅に隣接して建設されるビルに出店する複合商業施設で、延岡市が設置、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となっている。
CCCは、核店舗として地域最大級の大型書店「蔦屋書店」を出店させるほか、カフェ「スターバックスコーヒー」、図書閲覧室(蔵書2万冊と小規模のもの)を開設。さらに、「NOBEOKA100マイルプロジェクト」と題した特産品販売施設、市民の活動スペースなども設けるとしており、2階建ての建物は4月1日の開業に向けてほぼ完成状態となっていた。
また、JR九州もこれに合わせて延岡駅舎の全面改装をおこない、駅舎内に新たにコンビニエンスストア「ファミリーマート」を開業させていた。
エンクロスのエントランス。
1月28日におこなわれた延岡市長選で初当選した読谷山洋司市長は、2月20日の記者会見で「エンクロス」の企画・運営に当たるCCCへの年間委託料が1億3500万円(光熱費除くと約1億円)であることを明らかにしたうえで、2月27日に開会する定例会に開館を延期する条例改正案を提案すると発表。費用対効果を検証して今後の方針を決めるとしている。
施設の開業時期については完全に未定だという。
東西連絡通路。こちらは予定通り供用開始される。
地域おこし、子育て拠点施設、博物館再整備も見直し
延岡市長はこのほかに、前市長時代からおこなわれてきた大分県佐伯市と共同でおこなう食をテーマとした観光振興策「東九州バスク化構想」、養護学校跡に子育て支援の拠点「子どもの城(仮称)」を作る計画、建て替えのため休館中の市立博物館「内藤記念館」を再整備する事業も見直しを含め検討するとしており、延岡市政は「事業見直し」「緊縮」へと大きく舵を切るかたちとなりそうだ。
佐伯市と延岡市は海産物が有名で、共同で観光振興策を行っていた。
待望の新ビル、当面は「ほとんど閉鎖」か
延岡駅前にはかつて「アヅマヤ百貨店」と「延岡寿屋百貨店」という2つの大型店があったものの、両店ともに経営破綻により閉店、民間再開発ビルの「ココレッタ」も空き店舗が目立つ状態で、さらに改装前のJR延岡駅は駅舎も古く、「駅を降りても休息する場所がない」と言われてきた。
それだけに、久々の新施設となる「エンクロス」に期待する市民は多かったものの、新駅は待合室など一部施設以外は閉鎖された状態での開業となる見込みだ。
(伊勢海老以外の写真は2017年12月に撮影したものです)
追記:4月13日に開業することが発表された。
外部リンク:エンクロス(延岡市)
関連記事:MEGAドン・キホーテ延岡店、11月28日開店-ドンキ、宮崎県北初出店
関連記事:新・徳山駅ビル「蔦屋図書館」、2月3日開業-「駐車場1時間無料」で活性化に期待