台湾発祥のスイーツ専門店「ICE MONSTER(アイスモンスター)」は、東京メトロ明治神宮前(原宿)駅1番出口前(イベントスペース「jing」の敷地内)にある催事店舗を2020年8月31日に、大阪駅前の「アイスモンスターグランフロント大阪店」を9月6日に閉店し、同日付で日本から撤退する。
ICE MONSTER GRAND FRONT OSAKA.(大阪市北区)
マンゴーかき氷を世界に広めた台湾の有名スイーツ店
アイスモンスターの前身となる「冰館 ICE MONSTER」は、1997年に台湾・台北市の東門・永康街で羅駿樺(Frank Lo)により創業。冰館は芒果冰(マンゴーかき氷)ブームの火付け役となり、日本人観光客にも知られるようになったが、御家騒動を理由に2010年をもって一時閉店した。
その後、2012年に「ICE MONSTER」として大安区忠孝東路に再開業し、台北市内の微風広場松高店や誠品西門店といった大型商業施設への出店を開始。2013年11月にはCNN「世界のスイーツトップ10(Best Desserts Around the World TOP 10)」認定を受けるなど知名度を高め、2014年には中国に、2015年には日本に、2019年には米国・ハワイに初出店するなど、店舗網を世界に広げることとなった。
台北市の店舗。
高級かき氷店として日本進出するもわずか5年で撤退に
アイスモンスターは、2014年11月にコンテンツ産業を手掛ける「トランジットジェネラルオフィス」と食品卸「片岡物産」が共同出資する日本法人「アイスモンスタージャパン」を設立する形で日本に進出。2015年4月に日本1号店「ICE MONSTER OMOTESANDO(アイスモンスター表参道店)」を開店した。
その後は、2016年3月にグランフロント大阪店を、2017年4月に名古屋ラシック店、2018年10月には那覇オーパ店を出店するなど、東名阪三大都市圏と沖縄に常設店舗を出店。トランジット社が展開するイスラエル発祥のチョコレートカフェ「MAX BRENNER(マックスブレナー)」で主力商品やコラボレーション商品を展開、三越伊勢丹と合弁で展開するイベントスペース「SHINJUKU BOX」(クリスピークリームドーナツ跡)や、パルコ(大津・福岡)に期間限定ショップ「ICE MONSTER POP UP SHOP」を出店するなど、トランジット社が展開する他飲食ブランドとのシナジーを活かした積極的な事業展開を打ち出していた。
ICE MONSTER OTSU PARCO POPUP SHOP(滋賀県大津市)。
一方で、日本では主力商品の「マンゴーかき氷」は1570円もするなど(台湾では180台湾ドル(約650円))、かなり高価なスイーツというイメージであり、また冬季限定でホットメニュー「ホットモンスター」の展開もおこなったものの日本では定着せず、夏季以外の集客は芳しくなかったと思われる。
MANGO SENSATION(マンゴーかき氷)。
2019年9月には表参道店をグループ他店舗(TOKYO BOX表参道)への業態転換のため閉店、12月には那覇オーパ店を閉店、2020年4月6日から残る2店舗についても新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令を受けて臨時休業、5月22日をもって名古屋ラシック店を閉店するなど、かき氷需要の高い夏期を待たずに経営規模を大きく縮小していた。
撤退を前に原宿で8月31日、大阪で9月6日まで催事出店
アイスモンスタージャパンは「新型コロナの感染拡大」を日本撤退の大きな理由だとしている。
日本撤退を前に「FINAL YEAR POP UP STORE」と題して、7月22日から9月6日まで大阪駅前のグランフロント大阪店を催事店舗に転換、7月31日から8月31日まで東京メトロ明治神宮前(原宿)駅1番出口前(イベントスペース「jing」の敷地内)にキッチンカーを催事出店する。
明治神宮前駅前のキッチンカー。
催事店舗では、オリジナルのカップで通常よりも小さいサイズの「カップマンゴーかき氷」(790円)、「カップいちごかき氷」(750円)を展開するなど「気軽に世界一のかき氷が楽しめる」としている。
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