吉野家グループ、はなまるうどん・京樽など含め最大150店舗閉店-2020年度中に、新型コロナの影響で

大手外食チェーン「吉野家ホールディングス」(本社:東京都中央区)は、傘下の牛丼チェーン「吉野家」、セルフ式讃岐うどんチェーン「はなまるうどん」、持ち帰り寿司・回転寿司チェーン「京樽」を、2020年度中に最大150店舗閉店する方針を2020年7月28日に発表した。
吉野家×はなまるうどん。

主力事業への経営資源集中進めていた吉野家HD

吉野家は1899年に東京・日本橋で創業。1958年12月に牛丼店のチェーン化を目的に法人化した。
1980年7月には急速な店舗網拡大による経営悪化を理由に会社更生法を適用、西武セゾングループ傘下となり、1988年には社名を「吉野家D&C」に変更していた。同社は長らく、西武セゾン系の大手牛丼・ドーナツチェーンとして、吉野家とダンキンドーナツを中核事業に据えていたが、西武セゾングループ解体の影響を受け、2001年に伊藤忠商事傘下となった。(2011年1月提携解消)

吉野家の牛丼。

吉野家は1997年の京樽買収をきっかけに、はなまるうどんやどんを相次ぎ買収するなど、総合外食チェーンとして事業の多角化を図ったが、2004年の米国産牛肉BSE問題拡大を発端とした牛丼販売休止を機に業績が低迷。2007年10月には持株会社に移行するなど経営改革をめざしたが、M&Aによる多角化戦略は失敗に終わり、2008年9月には牛丼業界首位の座をゼンショー傘下のすき家に明け渡すこととなった。
その後も経営不振から脱却できず、2009年8月には激安ラーメン店「R1(びっくりラーメン一番)」を廃業、2011年4月には首都圏地盤の焼肉店「牛繁」株の3割超を売却、2020年2月には安楽亭に「アークミール(ステーキのどん・フォルクス)」全株を売却するなど、主力事業への経営資源集約を推し進めている。

テイクアウトやデリバリーの拡充で立て直しめざす

吉野家HDは、新型コロナ感染拡大により2020年4月~5月にかけて国内1,000店舗の営業時間を短縮・臨時休業、大規模なディスカウントキャンペーンを実施した影響もあり、2021年2月期第1四半期(3月~5月)連結売上高は396億8100万円(前年同期比24.8%減)、純利益も40億8700万円の赤字(前年は10億9700万円の黒字)となった。
今後は新規出店の抑制やテイクアウト・デリバリーのさらなる強化、冷凍食品部門の拡大(チルド弁当の開発)など新型コロナに対応した事業展開を図るという。
吉野家HDは業績低迷を受け、役員報酬の減額と無配の方針も決定したが、株主優待の縮小・廃止などについては現時点では行わないとしている。

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