JR土浦駅ビル「ペルチ土浦」のテナント撤退が相次いでいる。
2017年1月には食品売場も閉鎖、営業区画は半分以下・1階は大部分が閉鎖となり、空きフロアを観光施設などに転用する案も生まれている。
ペルチ土浦。
つくばエクスプレス開業で利用客減、一度は「駅ビル閉鎖」に
ペルチ土浦の前身となる「ウイング土浦」は1983年4月に開業。地上6階、地下1階建、売場面積7,358㎡。
2004年以降はデパ地下テイストの和洋菓子フロア「スイーツガーデン」を設けるなどJR東日本が得意とする「ルミネ」「アトレ」などをお手本とした改装を進めたが、2005年のつくばエクスプレス開通とその沿線開発の進展により、2000年ごろには4万人を超えていたJR土浦駅の乗降客は3万人ほどにまで大幅に減少。
ウイング土浦は2008年7月に閉店してしまった。
イオンが経営に参画、「ペルチ」として再生はかるも…
その後、土浦駅ビルはJR東日本グループとイオンモールとの共同運営により、2009年7月に「ペルチ土浦」として生まれ変わった。当時は折しも2009年5月には「イオンモール土浦」が開業したばかりで、当時はイオンによる駅前地域衰退の危惧を払拭するためでもあったと言われている。
ペルチとは「止まり木」という意味で、当初のキャッチフレーズは「ツチウラ ライフ コンビニエンス」。約60店が出店した。
しかし、当初の計画発表で予定されていた「イオングループが駅の立地特性の中で新たに展開する生活提案型の店舗」は自転車店「イオンサイクルショップ」1店舗に留まり、再びテナントの撤退が相次いだため、2011年12月にはイオンモールが運営から撤退、JR東日本グループのアトレが運営管理者になり、再改装を実施した。
土浦駅改札に面したエントランス。
この改装に合わせて1階に生鮮食品売場「旬鮮市場」が新設され、青果「九州屋」、精肉専門店「ニュー・クイック」、前身のウイング時代に地階食品売場で営業していたスーパー「Tマート」などが出店。2階には銘菓・銘店街が導入されるなど、ウイングの頃のテナント構成に近づいた。また、常磐線史料館を併設した鉄道模型店「ポポンデッタ」、「ヴィレッジヴァンガード」、「未来屋書店」、「100円ショップセリア」なども新たに出店し、一度は賑わいを見せた。
しかし、その後は再びテナントの撤退が相次ぐこととなる。
11店舗が閉店に-案内所も閉鎖
2017年1月中に閉店することになったのは、以下の店舗。
- 旬鮮市場(Tマート、九州屋、ニュークイック、魚のサントー)
- 3COINS
- スタジオプリモ
- ポポンデッタwith常磐線ギャラリー
- アントステラ(ステラおばさんのクッキー)
- とんかつ和幸
- たごさく
- 日本一
- ペルチインフォメーションカウンター(案内所)
ほとんどが契約(5年間)の満了による撤退で、跡地の利用は決まっていないという。これらの閉店により、ペルチ土浦は半分以上が空き店舗となり、総テナント数は20店舗台となってしまった。
土浦駅前では1997年に開店した再開発ビル「ウララ」(イトーヨーカドー)が2011年に閉店、2013年には市役所に転用されるなど空洞化が深刻であるものの、ウララ(市役所)内にはイオングループの食品スーパー「カスミ」、100円ショップ「ダイソー」などが出店しているため、ペルチの食品売場閉鎖により土浦駅周辺から食品スーパーが無くなる訳ではない。
駅とも直結されるウララビルは市役所に転用された。
同じく土浦駅前にある旧・マルイ土浦店。
パチンコ店などが入居する雑居ビルとなっている。
サイクリングロード(旧・筑波鉄道)の「観光拠点施設」に?
ペルチ土浦では今後の具体的な改装計画を発表していないものの、茨城県と土浦市はペルチ内にサイクリングロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」(一部は旧・筑波鉄道跡)の発着・観光拠点、自転車レンタル場などを設置することを検討しており、計画がまとまり次第、国に対して補助金を申請する予定だという。
さらに、地元紙・茨城新聞の報道によれば、ペルチの上層階をサイクリング客向けの宿泊施設、スパ併設のリゾート施設などに改装する案もあるといい、もし計画が実現すれば、ペルチ土浦はその姿を大きく変えることになる。
外部リンク:perch tsuchiura :: ペルチ土浦(アトレ)
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