山梨県甲府市の中心部・紅梅通りにある県内唯一の老舗百貨店「岡島百貨店」が老朽化による再開発のため2023年2月に一旦閉店し、ほぼ空き店舗となっている再開発ビル「ココリ」(正式名:紅梅地区再開発ビル)の商業床内に2023年3月に移転する。
岡島百貨店。
甲府市唯一の百貨店・岡島
岡島百貨店は1843年に創業。現店舗は1938年に移転開業したもので、1988年の増床リニューアルにより現在の姿となった。
館内はフルラインの百貨店であり、三越と提携。建物は8階から地階、店舗面積は29,520㎡となっている。
岡島百貨店1階。
なお、岡島百貨店はかつて東京都八王子市、長野県茅野市にも出店していたがいずれも閉店しており、甲府本店が唯一の店舗となっている。
現在は百貨店のほかケーズデンキ、カインズなどをFCで運営している。
空き店舗が多かった再開発ビル、岡島が全館に出店
ココリは再開発ビルとして2010年8月に開店。総事業費約107億円のうち半分を甲府市と山梨県、国がそれぞれ補助金として負担しており、高層階は(大京のタワーマンション「ライオンズマンション」)、中層階は専門学校、下層階は商業施設で構成される。
ココリ甲府。
開店当初のココリは地元の宝石産業をアピールするために「アウトレットジュエリーモール」が核となっており、不振を極めた。そのため、2011年12月には2階を「アニメイト」などが出店する「ホビータウン甲府」に改装することで活性化を図ったが、ホビータウンの来客がビル全体の集客不振を解消するには至らず、ジュエリーモールを核店舗に決めた行政の責任が問われる事態となっていた。
ホビータウン甲府。
その後「イオンモール」が「イオンモール甲府昭和」の増床に合わせて2014年末にココリのプロパティマネジメント契約を締結。下層階にスーパー「イオン」を核にイオンリカー、未来屋書店などのイオン系店舗が出店したが、コロナ禍のなか地方のイオンとしては非常に狭小店舗であったことを理由に2020年11月までにこれらは閉店。その後も店舗の撤退が相次ぎ、2022年7月には2階「ホビータウン」の店舗が移転していた。
一方で、徒歩圏にある岡島百貨店の建物は北側の一部を除いて築50年以上が経過している部分が多く老朽化が進行。地元メディアでは再開発が検討されていることが報道されていた。そのため、ココリから一気に店舗が移転したことは再開発などへの布石ではないかともいわれていた。
岡島百貨店、現店舗を売却してタワマンに
岡島は、現店舗を大手ディベロッパー「タカラレーベン」(東京都千代田区)に売却、現店舗を解体して再開発をおこなう。総事業費は約220億円。
岡島跡のタワーマンション。
再開発後に建てられる建物は地上28階建てで、約360世帯規模のタワーマンションを核に、立体駐車場と商業施設となる。オリオン通り側と低層部屋上には広場も設置。2028年7月の完成をめざして工事がすすめられる。
新たな建物に岡島百貨店が出店するかどうかは、7月時点は発表されていない。
一部は商業施設となる。
ココリ、岡島百貨店がほぼ全館に入居
岡島百貨店は2023年3月にココリに移転する。ココリの商業施設面積は4,500㎡であり、岡島は現店舗の7分の1の面積となる。
コンセプトは「地域共創型上質スペシャリティストア」で、フロア構成は以下のとおりとする計画。
岡島百貨店・新店舗。
2階 | 新しいライフスタイルのフロア | リビング・服飾・催事場など |
1階 | 上質ファッションのフロア | デパコス・服飾など |
地階 | 上質な日常を提供する食のフロア | 生鮮・明治屋など |
一方で、飲食店や淳久堂書店などの再出店計画は発表されていないほか、先述したとおりココリに出店していた「アニメイト」などの人気チェーン店も郊外へと移転しているため、どれだけの集客力を維持することができるのかは未知数だ。
ココリ甲府・岡島1階。
ココリのテナントの移転先
- アニメイト:イオンモール甲府昭和(8月5日開店)
- らしんばん:イオンモール甲府昭和(8月5日開店)
- カードラボ:閉店
- スタジオプリモ:近隣のトラストワンビル(プリ機のみ)
イメージ画像はタカラレーベン・岡島HPより。
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