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千葉三越、2017年3月20日閉店-33年の歴史に幕、”上得意様向け”小型店開設へ

千葉県千葉市中央区のJR千葉駅近くにある「三越千葉店」が2017年3月20日に33年の歴史に幕をおろした。
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千葉三越。

「奈良屋」からの300年近い歴史に幕

三越千葉店(千葉三越)は1743年に創業した呉服店「奈良屋」を前身とする百貨店。
現店舗は1972年10月に「奈良屋」と三越が合弁で運営する百貨店「ニューナラヤ」として千葉駅前の「塚本千葉第2ビル」に開業した。
三越からの商品調達や商品券の相互利用を開始、外壁に「ライオンレリーフ」を設置するなど、千葉を代表する三越系百貨店として営業を続けていた。
1984年10月には奈良屋が経営から撤退するとともに屋号を「千葉三越」に改称。それ以降は、ラグジュアリーブランドの強化やライオン像の設置など、三越色をより一層強めていった。(詳細は前記事を参照)

地域密着路線で生き残り目指した千葉三越

2016年9月に閉店が発表されて以降、1階ライオン口にニューナラヤ時代外壁に設置されていた「ライオンレリーフ」を復活させたほか、大通側の催事スペースでは猪熊弦一郎氏が手掛けた三越の包装紙「華ひらく」をモチーフにしたアート作品や、千葉三越閉店記念グッズ、震災チャリティ商品の販売が行われるなど、長年の買物客に向けたイベントが次々と開催された。

三越「華ひらく」コレクション。
(ティファニー跡・プロモーションスクエア)

また、3月からは「千葉三越と地域の歩み写真パネル展」と題して、千葉三越の前身「奈良屋百貨店」のみならず、イオンの前身の1つである「扇屋百貨店」、千葉パルコの前身であった「田畑百貨店」など、千葉県内の地場百貨店各社を取り扱った写真・案内板を設置。買物客からもかつての店舗を懐かしがる声が多く聞かれるなど、フィナーレに相応しい空間がつくられた。

千葉三越と地域の歩み写真パネル展。

営業最終日となった3月20日午後7時30分から閉店記念式典が行われ、北條司店長を始めとする10人ほどのスタッフが大通り西側玄関に集結、式典を見るべく玄関前は千葉市民で溢れかえった。

最終日を迎えた千葉三越。

閉店式典において、百貨店の顔であったルイ・ヴィトン、ブルガリ、ティファニーといったラグジュアリーブランドが千葉三越から相次ぎ撤退、その多くがライバルの千葉そごうに移転したこともあり、「ここ数年間においては商品面や売場店内の環境面においても皆様を十分ご満足いただくことはできなかった」と語った一方、「地域の皆様と密着したイベントの開催や、販売員一人一人がお客様ご指名いただくような販売員になろうと皆で努力した」「(励ましの言葉が)この半年間商売を続けてくるなかで私たちの大きな心の支えとなりってまいりました」「明日から皆様たちのお役に立つことは叶いませんが、私たちはこれまでご愛顧いただきました多くのお客様、そしてこの千葉の地域の皆様のことを決して忘れることはございません」と、奈良屋時代から遡った買物客やスタッフへの感謝を語り、33年の集大成ともいえる式典を締めくくった。

33年の歴史に幕を下した千葉三越。

「富裕層」「ギフト」「学生」に特化した小型店を開設

千葉三越は3月20日の百貨店閉店以降、隣接する塚本大千葉ビル(旧・千葉そごうBee-One館)5階に常設の学生服取扱店舗「三越スクールユニフォーム 千葉」(約100㎡)を、9階にお中元・お歳暮時期限定の贈答品専門店「三越日本橋本店 千葉ギフトカウンター」(約135㎡)を、そごう千葉店に隣接したJPR千葉ビル5階に富裕層・外商利用客を対象とした「お得意さま向けのサロン」(約140㎡)を順次開設。百貨店閉店後も上得意客の囲い込みを図る。

お得意さま向けのサロン。

また、現段階では詳細は発表されていないが、今後の動向を見て2018年に全面開業予定のJR千葉駅ビル「ペリエ千葉」に、「エムアイプラザ」「イセタンミラー」などの小型店を出店する可能性もあるという。
千葉三越の閉店により、千葉市内の百貨店はそごう千葉店(千葉そごう)のみとなる。
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千葉そごう。

外部リンク:三越千葉店
外部リンク:ココリア多摩センター
関連記事:千葉三越、2017年3月閉店
関連記事:多摩センター三越、2017年3月閉店-旧そごう、ココリア多摩センターの核店舗
関連記事:JR千葉駅、11月20日リニューアル-駅機能は3階に
関連記事:イオンモール幕張新都心前のJR京葉線新駅基本計画発表-開業は約10年後?

西武百貨店筑波店、32年の歴史に幕-2017年2月28日閉店、跡地問題長期化か

茨城県つくば市の「西武百貨店筑波店」(筑波西武)が2月28日20時を以て閉店し、32年の歴史に幕を閉じた。
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西武百貨店筑波店。

万博に合わせた「セゾンショールーム」としての開店だった

西武百貨店筑波店は、つくば科学万博に合わせて1985年3月に新治郡桜村(現・つくば市)に開業。
当時、村にある大手百貨店は日本唯一で、開店当初は周辺人口が少なかったために西武セゾングループのショールーム的な存在の店舗だった。
開店時は日本初のスパイラルエスカレータが導入されたことでも話題を呼んだが、現在は撤去されている。

スパイラルエスカレータ、ポーターロボット…かつての西武には「近未来」があった。 (閉店時のパネル展より)

入居する「クレオスクエア」(売場面積30,832㎡)は、筑波都市整備株式会社が所有。そのうち、西武百貨店は売場面積16,688㎡を占める。
クレオスクエアは総合スーパーの「イオン」(売場面積6,681㎡)と2核1モールを形成している。

改装直後、真新しい外装に「閉店」の文字-静かな閉幕に

最終営業日を迎えた28日は、店舗の別れを惜しむ客で混雑した。
新築かと見紛うような建物は、実は半年ほど前に補修されたばかり。閉店発表時も外壁補修中であったため、真新しい外装に掲げられた「閉店」の文字は、余計に物悲しさを印象づけるものとなった。

真新しい外観。

2階の正面口では、開店した1985年にちなんで先着1985名にデンファレの花が贈られたほか、入口には開店からの歩みや、客から寄せられた西武の想い出が掲示された。
パネル展では、ロボットが働くという開店当時の写真を見ながら「未来的だな…」との驚く客の様子も見られた。

西武の想い出メッセージコーナー。

筑波西武は筑波大学にも近いことから、かつて大学に在籍した人の「お名残り訪問」とおぼしき姿も多くあった。
閉店セールに訪れた60代男性は「一つの時代が終わった。ネットで何でも買えるからなあ」と語ったほか、様々な世代の客から「跡地は何になるんだろう…」との声が多く聞かれた。また、「化粧品を買うところがなくなるから困る」という20代女子学生もいた。
閉店を迎えた20時すぎにシャッターが下ろされると、客から拍手が起きた。
「安全性」を名目に閉店セレモニーなどは実施されず、閉店挨拶もない静かな閉幕だった。

跡地は未定-茨城県の百貨店は1店のみに

閉店を迎えた西武百貨店筑波店であるが、跡地の活用方法は未定となっている。オフィスビルとして再活用を目指すクラウドファンデイングが実施されたこともあったが、不成立に終わっている。
西武百貨店の閉店により、クレオスクエアは半分以上が空きビルとなってしまう。館内に出店するイオンについては、今後も営業を継続する。
また、西武百貨店に出店するテナントのうち、ハウスオブローゼ、ファンケル、第一花壇、JTB(交通公社)は隣接する「Q’t」に、ブックセンターリブロはクレオのエスカレータ横の空きスペースに移転する。
(リブロは売場面積が狭いため、仮店舗と思われる)

感謝の挨拶が掲げられた。

かつて県内最大手であった伊勢甚をはじめとして、各地に多くの百貨店が立地していた茨城県であるが、西武百貨店筑波店の閉店により、県内の百貨店は水戸京成百貨店のみとなる。

外部リンク:西武筑波店
関連記事:西武百貨店八尾店、36年の歴史に幕-2月28日閉店、新施設に期待の声も
関連記事:
筑波西武・八尾西武、2017年2月末閉店-百貨店リストラに突き進むセブンアイ
関連記事:筑波西武跡の再活用に向けたクラウドファンディング開始-オフィスビル化目指す
関連記事:そごう柏店、43年の歴史に幕-9月30日、西武百貨店旭川店も閉店

西武百貨店八尾店、36年の歴史に幕-2017年2月28日閉店、新施設に期待の声も

八尾市の近鉄八尾駅前にある百貨店「西武百貨店八尾店」(八尾西武)が2017年2月28日20時を以て閉店し、36年の歴史に幕を閉じた。

西武八尾ショッピングセンター。

ショッピングセンターとして開業、現在はアリオと連結も

西武百貨店八尾店」は「西武八尾ショッピングセンター」の核店舗として1981年5月に開店。建物は八尾市都市開発と八尾ビルディングが所有している。売場面積は37,536㎡。
八尾西武は、高槻西武、大津西武、つかしん西武などとともに従来の百貨店に専門店を加えた「ショッピングセンター」として開業した(当時は百貨店としての出店申請が難しかった背景もある)。
現在も、ユニクロ、ロフト、エディオン、無印良品、ABC-MART、山野楽器、JINSなど数多くのテナントが出店している一方、近年は類似したテナントが出店するショッピングセンターとの競争も激しかったと思われる。
また、隣接する「アリオ八尾・イトーヨーカドー八尾店」(2006年12月開業)と連絡通路で接続されたことは、西武百貨店のセブンアンドアイホールディングス入りを印象づける出来事であった。八尾西武の広告塔屋には「アリオ」の名前も記されている。
 
閉店セール中の八尾西武。
最終営業日には多くの看板が撤去されていた。

また、通常は屋上にあることが多い稲荷神社が8階のレストラン街に設置されていることも特徴となっており、現在、神社は向かいの大手お好み焼きチェーン「千房」などが管理をおこなっていた。この千房は、千房の百貨店出店1号店でもあった。

8階レストラン街の稲荷神社と千房。

天候に恵まれた最終日、新施設に期待の声も

最終営業日となった28日は、朝から天候にも恵まれ多くの買物客が店に訪れた。既に建物外壁に設置されていた「SE[I]BU」看板の大半が取り外されており、広告塔屋や日除けに描かれたロゴもシールなどで覆われるなど閉店前とは思えない異様な光景が見られた。

閉店当日の八尾西武。

また、1階ではアクセサリー売りつくしセールが開催されるなど、館内は大いに賑わいを見せた。

閉店セールで賑わう館内。

8階レストラン街には、閉店を記念した「メッセージボード」が設置された。開業当時の写真やチラシ、紙袋、記念品など様々な資料が公開され、当時を懐かしむ客の涙腺を刺激した。
「キラッキラの、八尾。」「おや、おや、やおや。」などのセゾンらしいキャッチコピーも並ぶメッセージボード

買物客からは「子供の頃からなぁ、遊び場だったもんなあ、かくれんぼしたよなぁ」(10代男性学生)、「親が子供の頃からあったのにつらいなあ」(10代男性学生)など、閉店を惜しむ声が多く聞かれたほか、「ただただ寂しい、でも建物は残るみたいで安心やねぇ、若い子が寄るような店は残る?無印は閉店するのねぇ」(60代女性)、「H&Mが入ると嬉しい」(30代男性)、「ロフトが残るの初めて知ったんだけど!」(学生団体)といったような、新施設への期待の声も多くきかれた。
また、地階食品売場でも、食品スーパー、惣菜専門店の営業継続について店員に尋ねる買物客が多く、西武閉店後の買物場所を心配したり、一部テナントの営業継続に安堵する様子も見られた。

店頭に掲げられた閉店カウントダウン。

式典なく静かな閉店に

閉店間際となった午後8時、「お客様の安全性」を名目に閉店記念セレモニーなどは実施されなかったもの、多くの買物客が閉店の瞬間を見届けるべく1階玄関前に集まっていた。買物客の一部からは「大の西武なのに安全上の理由もせんとか、せやから西武潰れるんやで」(50代男性)といった不満の声も聞こえたが、午後8時10分にシャッターが閉まった瞬間拍手が巻き起こった、
その後店員の1人が「ありがとうございました」といい、八尾西武は36年の歴史に幕を下ろした。

多くの人が詰めかけた。

新たな施設として再生へ-多くのテナントが営業継続

八尾都市開発と八尾ビルディングは、不動産会社「ザイマックス」とともに西武百貨店跡を新たな商業施設として再生する計画を発表している。
3月1日以降は西武百貨店運営フロアを除く多くのテナントが営業を継続。2017年9月ごろの全面リニューアルオープンを目指して工事が進められる。

営業継続の案内を掲げる八尾ロフト。

3月1日以降も営業を続けるテナント
地下1階
  • パントリー(食品スーパー)
  • おきな昆布(乾物・惣菜)
  • 花屋敷(洋菓子)
  • 三都屋菓子舗(和菓子)
  • 千鳥屋(和菓子)
  • 播彦(和菓子)
  • 桃林堂(和菓子)
1階
  • E.R.G(婦人服)
  • ハニーズ(婦人服)
  • フリースタイル(婦人服)
  • ミューゼ(婦人服)
  • ラナンキュラス(婦人服)
  • リップスター(婦人服)
  • 靴下屋(靴下)
  • ブランハンナ(フラワーラウンジ)
  • ラフィネ(リラクゼーション)
  • ミスターミニット(靴の修理・合カギ)
  • すまいSelect(住宅相談)
  • 八尾自動車教習所カウンター
  • カフェJr.(カフェ)
  • カラダファクトリー(リラクゼーション)
  • 八尾 チャンスセンター(宝くじ)
1階別棟
  • 八尾市ワークサポートセンター(就労支援)
  • 小学館英語教室(スクール)
  • フタバクリーニング(クリーニング)
2階
  • アミティエ(婦人服)
  • ミューゼ(婦人服)
  • 資生堂(化粧品)
  • 宝飾サロン(宝石)
  • アールズステージ(婦人カラーフォーマル)
  • 香里乃港(仏壇・仏具・線香)
  • アンフィドゥ(婦人肌着)
3階
  • エムニバイ・センソユニコ(婦人服)
  • 京都ふうや(婦人服)
  • タケオニシダ(婦人服)
  • ブティックエコー(婦人服)
  • ブティック・キュア(婦人服)
  • ブティック サラン(婦人服)
  • プレタセレクト(婦人服)
  • ベルミラン(婦人服)
  • リサルトジョカーレ(婦人服)
  • ルートアン(婦人服)
  • ビーズリー(パンツショップ)
  • フォーマルサロン(婦人フォーマル)
  • 京のきもの屋 四君子(呉服)
  • クラフトハートトーカイ(毛糸・生地・手芸)
  • リフレッシュサロン(リラクゼーション)
  • マジックミシン(洋服のお直し)
4階
  • ライトオン(カジュアル衣料)
  • ユニクロ(カジュアル衣料)
  • ABCマート(靴)
  • かんかん(エスニック雑貨)
  • イケダペットファーム(ペット)
  • ヴァンカウンシル(美容室)
  • 小学館幼児教室ドラキッズ(スクール)
5階
  • ロフト(生活雑貨・文具)
  • JINS(メガネ)
7階
  • メガネの三愛(メガネ・補聴器)
  • 保険ひろば(保険コンサルティング)
  • もりかわ歯科(歯科)
  • エディオン(家電・携帯・リフォーム)
  • 山野楽器(音・映像・楽器・音楽教室)
  • リブロ(書籍)
  • カフェ・ド・クリエ(カフェ)
8階
  • とんかつ 八尾 花(とんかつ)
  • 串のアイワ(串揚げ専門店)
  • 千房(お好み焼)
  • 五旬(季節料理)
  • にっこりマッコリ(韓国食彩)
  • 占い開運館(占い)

※無印良品は閉店する。

外部リンク:西武八尾店
関連記事:西武百貨店筑波店、32年の歴史に幕-2月28日閉店、跡地利用長期化か
関連記事:
筑波西武・八尾西武、2017年2月末閉店-百貨店リストラに突き進むセブンアイ
関連記事:そごう柏店、43年の歴史に幕-9月30日、西武百貨店旭川店も閉店

グランベリーモール南町田、2017年2月12日閉館-都内有数のアウトレット、再開発で

東急モールズデベロップメント運営する東急南町田駅前のアウトレットモール「グランベリーモール」(東京都町田市)が2017年2月12日に閉館し、16年の歴史に幕を下ろした。

賑わう最終日のグランベリーモール。

「暫定利用」として開業した駅直結アウトレットモール

東急田園都市線南町田駅は1976年10月に開業。周辺の住宅団地の開発に合わせたものであったが、商業施設としては長らく「東急ストア」など小規模のものしか立地しておらず、あくまでベッドタウンとしての役割しか持っていなかった。
しかし1990年代に入ると、1993年に駅北口にアメリカの街並みを再現したアミューズメント施設「キャノンボールシティ」が、1998年には南口にニトリが開業するなど、集客施設の開発が進んだ。
そうしたなか、「開発が進むまでの10年間程度の暫定利用」として、2000年4月にグランベリーモールが開業する。
南町田駅に直結し、約87,000㎡の広大な敷地のなかに複数の建物が建つ造りで、売場面積はA館フレッシュベリーマーケット(東急ストアなど)が3,869㎡、B館ホームライフガーデン(モンベル、GAPなど)が4,176㎡、C館ホームライフガーデン(コムサなど)が8,639㎡、D館アウトレットが2,822㎡、E館アウトレットが2,822㎡、F館アウトレットが2,858㎡。このほかに、映画館が入居するオアシススクエアなどがある。
アウトレットモールにはラグジュアリーブランド「COACH」やセレクトショップ「BEAMS」、「URBAN RESEARCH」、靴専門店「ABC-MART」、丸井のアウトレット業態などが出店。そのほか、アウトドア用品専門店「mont-bell」やインテリア雑貨「Francfranc」の大型店舗、食品スーパー「東急ストア」、カジュアル衣料品店「GAP」、書店「リブロ」なども出店していた。
また、グランベリーモールの開業が呼び水となり、2001年には外資系スーパー「カルフール」(現・ケーズデンキ)が進出したほか、大手不動産ディベロッパーによる分譲マンション建設も進められ、南町田駅周辺は急速な発展を遂げた。
米国登山用品大手R.E.I(レクリエーショナル・イクイップメント)も出店していたグランベリーモール(現在はモンベル)

当初は10年間程度の暫定利用として開設されたグランベリーモールであったが、2006年には三井不動産や三菱地所グループなど競合他社による首都圏近郊への相次ぐアウトレットモール開業に対抗するかたちでシネマコンプレックス「109シネマズ」などが入居する新館「オアシススクエア」を増設するなどし、客層を拡大していった。

「暫定利用」開始から16年、再開発で閉館へ

グランベリーモールは渋谷から東急田園都市線で約30分という立地を活かし、都内有数のアウトレットモールとして休日には混雑を見せるようになった。一方で、普段から近隣住民がペットを連れて散歩する姿も見られるなど地域に根付いた施設にもなっていた。
しかし、「暫定利用」として開業した建物は老朽化が進んでいたこともあり、2016年に東急電鉄と町田市が共同で立ち上げた駅周辺大規模再開発プロジェクト「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」の一環として、再開発の対象となることが決まった。

閉店を記念してペットボトルのキャップで作られたアート作品。

賑わう営業最終日、入場制限も

営業最終日となった2月12日は、南町田駅からは長蛇の列ができ、閉館を惜しみイベント会場で記念撮影する客などで溢れかえった。
開業以来営業を続けていた「アウトバックステーキハウス」の日本1号店や、最大50%OFFを打ち出した「COACH」では入場制限も行われた。

アウトバックステーキハウス。

閉館45分前となる午後5時15分からは、閉館記念セレモニーとして「イルミネーション消灯式」が開催され、積水ハウスのCMソングで知られる「アルケミスト」によるライブ、即興のコーナー、町田市立鶴間小学校生徒との合唱が披露された。
アルケミストはtvkテレビ神奈川の人気長寿番組「あっぱれKANAGAWA大行進!」のレギュラーを務め、グランベリーモールのイベントにも約14年間出演し続けるなど、当モールにゆかりのあるアーティストとして知られている。アルケミストは閉館するグランベリーモールを意識した替え歌を作り、消灯式参加者誰もが一体になるような世界観づくりを目指した。
この閉店記念ライブはインターネット上で同時生中継され、岐阜県からも「即興コーナー」に参加するファンがいるほどの注目ぶりであった。

東急モールズデベロップメント社員一同による挨拶。

閉館10分前には東急モールズデベロップメント安田龍司事業部長による買物客や従業員、店舗スタッフへのお礼、ねぎらいの言葉が語られ、「(再開発の完了後に)ワクワク、ドキドキする施設をご覧いただけるように、精一杯努力することを約束する」という言葉で締めくくられた。
閉館6分30秒前(消灯1分30秒前)には、安田龍司事業部長と小学校生徒2名による消灯準備が行われ、消灯10秒前に急ぎ足でのカウントダウンが実施され、イルミネーションが消灯された。

その後、東急モールズデベロップメント社員が「お兄ちゃん、お姉ちゃんになった3年後のみなさん、忘れずにまた来てくださいね」「3年後また皆様とここでこうしてお目にかかれることを楽しみにしております」と語りかけ、グランベリーモールは16年の歴史に幕を下ろした。

セレモニーでは南町田駅から長蛇の列が生じた。

東急ストア、郵便局など仮移転-再開業は2019年度末か

グランベリーモールの閉鎖後、跡地は約3年間をかけ「生活遊園地~くらしの『楽しい』があふれるエンターテイメントパーク~」をテーマとした全面再開発がおこなわれる。
東急グループでは、南町田を「第二の二子玉川」と位置付けているといい、新施設の誕生が期待される。
なお、グランベリーモール閉鎖後も、食品スーパー「東急ストア」は2月28日まで現店舗での暫定縮小営業を行い、3月10日以降は駅西側に近隣住民向け仮設店舗を開設する。
郵便局やATM、南町田駅前連絡所(リエゾン)も近隣への一時移転が予定されている。

今後の南町田再開発に関する記事はこちら

外部リンク:グランベリーモール 公式サイト
外部リンク:南町田拠点創出まちづくりプロジェクト|町田市・東急電鉄
関連記事:ダイエー町田店、2016年7月21日開店-3年ぶりに営業再開
記事関連記事:町田モディ、4月29日全館改装ー目玉は「ロフト」
関連記事:サンストリート亀戸、3月31日閉館-アイドルイベントの聖地、再開発で

ルクア・伊勢丹食品館「フードホール」、営業最終日賑わう-2017年1月26日で閉店に

大阪府大阪市北区の大阪駅・ノースゲートビルディング西館「ルクアイーレ」(LUCUA1100)地下2階にあるジェイアール西日本伊勢丹(本社:京都市下京区)のデパ地下フロア「イセタン フードホール」が2017年1月26日に閉店した。
これにより、ルクアイーレからいわゆる”デパ地下”が消滅した。
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賑わう営業最終日のイセタンフードホール。

開店から人気の高かった食品売場、惜しまれつつ閉店

イセタン フードホールはJR大阪三越伊勢丹地下2階食品フロアを引き継ぐかたちで2015年4月に開業。
三越伊勢丹として開業した当初は東京の店舗を多く取り入れ「伊勢丹らしい」デパ地下だったが、ルクアイーレへ改装された際には、梅田初進出となる高品質スーパー「北野エース」、素材専門店「富澤商店」を新たに導入。飲食店・イートインも、「和酒空間TASHINAMI」、「銀座天一」に加え、「燻製バルOSAKA」、「堂島カレー」、「姫路 竹善」の麺料理店が新規出店、ジャンル面・価格面双方において充実が図られた。 また、「大阪産(おおさかもん)」認定商品の取扱拡充や、大阪・天満の中華バル「黒龍天神樓」、上新庄の「オーサムベーカリー」を入店させるなど、伊勢丹らしい東京の銘店に加えて地元銘店も重視した売場に生まれ変わっていた。
さらに、閉店時間を競合百貨店より30分~1時間程度長い午後9時として仕事帰り客の獲得にも成功。自社カード会員ラウンジなどを改装して開業した飲食街・バルフロア「バルチカ」とともに大きな集客力があった。
しかし、この「バルチカ」は、運営が軌道に乗ると週末を中心に大きな混雑を見せるようになった。その結果、食品売場は改装から僅か2年でバルチカの更なる増床をおこなうため閉店するに至ったという。

「東京の伊勢丹」ならでは、大阪・関西から撤退する店舗も

イセタンフードホールの営業最終日となった1月26日には、関西から全面撤退となるベーカリー「ジョアン」や、ヒレカツ弁当の特価販売を実施した「とんかつ和幸」では長蛇の列が発生。ワインや惣菜、グラスなどを販売する「ヴァン・コラージュ」では入場制限も行われた。
生鮮食品売場は夕方前にはほとんどが売り切れ、ギフト解体商品も陳列数分で姿を消すなど、大きな賑わいをみせた。
賑わう最終日、ヴァンコラージュ(写真左側)では入場制限も。

大阪唯一の店舗として営業していた銀座天一では、店員に近隣店舗の情報を聞く客も見られるなど、「東京の伊勢丹」を売りに関西・大阪唯一の銘店が多かった同店ならではの光景があった。

商品の大半が夕方には売り切れた生鮮食品コーナー。

伊勢丹ギフトサロンも閉店-バルチカ増床へ

イセタンフードホールの閉店後は以前の記事で紹介した通り、2017年秋から2018年春にかけて、好調な飲食街「バルチカ」の拡張を中心とした改装をおこない、新たな専門店ゾーンに生まれ変わる予定だ。
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飲食街「バルチカ」は増床される。

イセタンフードホールが営業していた地下2階フロアではJR西日本伊勢丹によるインフォメーションカウンター、商品券・ギフトサロンも営業していたが、今回のフードホール営業終了に合わせて業務を終了。直営売場を縮小しつつも「百貨店業態」を維持してきたルクアイーレであったが、今後は百貨店とは言い難い構成になる。
梅田における三越伊勢丹のギフト拠点は、三越大阪ギフトサロン(11階)のみとなる。

外部リンク:isetan Food Hall イセタン フードホール食料品
外部リンク:イセタンフードホールギフトサロン
関連記事:三越伊勢丹、さらに5店舗の百貨店閉店・業態転換・縮小など検討-対象は合わせて9店舗に
関連記事:三越伊勢丹、百貨店4店舗の閉店・業態転換・縮小など検討
関連記事:ルクアイーレ、2017年春から下層階を全面改装
関連記事:大阪駅南口に「スカイウォーク」2016年10月1日完成
関連記事:大阪駅「ルクアイーレ」に「梅田 蔦屋書店」、2015年5月8日開業

プランタン銀座、2016年大晦日に閉店-賑わう営業最終日、3月から「マロニエゲート」に

銀座三丁目の百貨店「プランタン銀座」が12月31日16時過ぎを以て閉店し、32年の歴史に幕を下ろした。 
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最終日を迎えたプランタン銀座。

かつて全国展開した仏百貨店「プランタン」、日本から姿消す

プランタン百貨店はフランスの大手百貨店「オ・プランタン」のフランチャイズ百貨店の経営を行っていたダイエーにより1984年4月に開店。
プランタン百貨店としては日本4号店で、読売新聞社が保有する「読売銀座ビル」への出店だった。売場面積は22,212㎡。
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オ・プランタン百貨店。パリを代表する百貨店の1つ。

その後、2002年にダイエーの経営不振によりプランタン銀座の株式が読売新聞社と三越に売却され、その後は高級服飾品中心から若い女性をターゲットとした百貨店への改装を進めた。 更に、近年は「ユニクロ」や「ニトリ」などといった大型専門店を導入することで、顧客層の拡大を図っていた。
その一方で、高級百貨店である「オ・プランタン」との経営方針の相違も生まれ、2016年末の商号使用契約の期限を以て「プランタン銀座」としては閉店することとなった。

営業最終日、朝から賑わう-閉店時には社員による歌も披露

プランタン銀座の営業最終日となった12月31日は、大晦日であったものの朝から多くの人が詰めかけ、夕方まで混雑した。img_20161231_7947

特に人気となったのは12月30日より販売を開始した「最後の福袋」で、社員のコンシェルジュサービスを受けながら自由に売りつくし特設会場内の商品から好みの服、雑貨などを7点選べる「プランタン銀座城 夢のウォーキングクローゼット福袋」、2階ケーキショップ「アンジェリーナ」のモンブランが365日味わえる「365日のモンブラン福袋」、プランタン銀座プロデュースのパリツアーなどプランタンならでは体験型の福袋が販売された。
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社員による歌も披露されたセレモニー、「フランス系百貨店ならでは」の光景だったのかもしれない。

閉店セレモニーではプランタン銀座の32年の歴史がスクリーンに映し出され、社員による歌も披露されるなど、長年の歴史に幕を下ろすとは思えないような「明るい式典」となった。

3月より「マロニエゲート」に統合-マロニエゲート3館体制に

今後、「プランタン銀座」は、隣接する専門店ビル「マロニエゲート」の一部となるべく、約30億円をかけて全面改装を行い、2017年3月15日に「マロニエゲート2」として再開業する。なお、本館の「ユニクロ」、「ニトリ」、「The 銀座 フットサル」、「バナナ・リパブリックを含むアネックス全館」は1月2日より営業をおこないながら改装を実施する。ビゴの店、アンジェリーナなどプランタン銀座を代表したベーカリー、スイーツショップの一部はマロニエゲート2に再出店する予定。
また、隣接する「プランタン銀座アネックス」は「マロニエゲート銀座3」に、現在の「マロニエゲート」は「マロニエゲート銀座1」に改称される。
新店舗についての詳細は前記事「プランタン銀座、2017年3月より「マロニエゲート銀座」に統合 」を参照。
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改装後の3館のイメージ。

三越伊勢丹グループからの離脱も決定

三越伊勢丹グループは2002年よりプランタン銀座の株式の3割を保有、社長を送り込むなどしてきたが、12月13日にプランタン銀座の株式をすべて売却すると発表。新会社は読売新聞の100%子会社となり、新社長には読売新聞東京本社の幹部である木村透氏が就任することが決まっている。

外部リンク:プランタン銀座
外部リンク:プランタン銀座 新店名「マロニエゲート銀座」
外部リンク:マロニエゲート銀座2&3 店舗詳細
関連記事:プランタン銀座、2017年3月より「マロニエゲート銀座」に統合 

そごう柏店、43年の歴史に幕-2016年9月30日、西武百貨店旭川店も閉店

千葉県柏市の柏駅前にある百貨店「そごう柏店」(柏そごう)が、2016年9月30日に43年の歴史に幕を下ろした。
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そごう柏店。

「緑の街にお城のような百貨店」

「柏そごう」は1973年10月に開店。地上14階、地下1階、3館体制で、売場面積は39,729㎡。 開店当時は千葉県最大の百貨店で、そのキャッチフレーズは「緑の街にお城のような百貨店」。
「柏髙島屋」、「丸井柏店」などと同年の開業であり(丸井は旧店からの移転開業)、それぞれが国鉄柏駅とダブルデッキ(ペデストリアンデッキ)で連結されるという、当時としては画期的な街づくりで注目を集めた。
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開店当時のチラシ。

最盛期の1991年には年商590億円を記録、長年に亘って柏市の地域一番店であったものの、ライバルである高島屋の「ステーションモール化」による若者向けテナント導入・客層の拡大により、21世紀に入るころには柏高島屋と売上が逆転。
2015年2月期の売上高は、柏高島屋が358億円だったのに対し、そごう柏店の売上は121億円にとどまっていた。

最終日、閉店を惜しむ客で賑わう

閉店を迎えた9月30日には、朝から大勢の客が訪れた。駅前のダブルデッキでは最後のそごうの有志を写真に収める人が大勢おり、シンボルである14階の回転展望レストランも終日満席に。長年柏のシンボルとなっていたことが伺える。
館内では閉店記念として「そごう柏店と東口の歩み」パネル展とメッセージ展も開催され、最終セールを告げる店員の声が響くなか、かつてのそごうの写真に見入る客が多く見られた。あまりの行列に買い物を諦める客も多かったようだ。
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閉店カウントダウンを告げる看板。

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多くの客が店舗前で記念撮影をしていた。
エレベーターにはメッセージが。

20時13分ごろからは店舗前で閉店セレモニーが行われた。
ダブルデッキを埋め尽くす客のなか、そごう柏店を代表して浮橋店長が店舗の歴史を振り返り、柏商工会議所からの花束贈呈を受けた。そして、そごう柏店は43年の歴史に幕を下ろした。

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なお、そごう閉店後は、本館に出店するテナントは殆どが閉店するものの、スカイプラザ館ではビックカメラ、浅野書店など多くのテナントが営業を継続する。

西武百貨店旭川店も閉店-閉店つづくそごう・西武

また、9月30日には「西武百貨店旭川店」も同時に閉店した。
西武百貨店旭川店は1975年8月に開店。A館(地下1階、地上8階)とB館(地下1階、地上10階)の2館体制で、売場面積は約24,200㎡。
JR旭川駅ビルには2015年3月に「イオンモール旭川駅前」が開業。イオンモールは旭川西武の向かい側に位置しているため、旭川西武周辺の歩行者通行量は増加していた(旭川市の調査による)一方で、西武の売上増加には繋がっていなかったという。
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西武百貨店旭川店。

西武百貨店旭川店に関しては、ほぼ全館のテナント含め西武と同時に閉店する。雑貨店ロフトに加えて、シャネルなどの高級ブランドの全てが地域から完全撤退となる。

縮小続けるそごう・西武

そごう・西武は、2017年2月に西武百貨店筑波店、西武百貨店八尾店、そして2017年中に中小サテライト店10店舗を閉店させるほか、希望退職者350人を募ることを発表している。
そごう柏店、西武百貨店旭川店を含めて、これら4店舗の跡地の活用方法は決まっていない。

関連記事:西武百貨店旭川店、閉店を検討
関連記事:そごう柏店、9月30日閉店-首都圏一等地、問われる経営判断
関連記事:筑波西武・八尾西武、2017年2月末閉店-百貨店リストラに突き進むセブンアイ
関連記事:そごう・西武、中小10店舗を2017年夏までに閉鎖へ

外部リンク:西武旭川店ならびにそごう柏店の営業終了について(そごう・西武、PDF)
外部リンク:止まらぬセブンアイ系百貨店閉店ラッシュ、背後にあるものとは(都商研提供記事)

ダイエー碑文谷店、2016年5月5日閉店-41年の歴史に幕、「イオンスタイル碑文谷」に

東京都目黒区の大型総合スーパー「ダイエー碑文谷店」が5月5日21時を以て閉店、41年間の歴史に幕を下ろした。
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ダイエー碑文谷店。

時代を映した「日本を代表するスーパー」ついに閉幕

ダイエー碑文谷店は1975年4月に開店。
当初は全館があの横井英樹氏(のちにオーナーである「ホテルニュージャパン」火災により逮捕)経営の「トーヨーボウル」となる予定だったが、ボウリングブームの終焉とスーパーマーケットブームにより、ダイエーが賃借することとなった。建物には今も「横井産業」のロゴが残る。ダイエーは1972年に三越を抜き国内流通業界トップとなっており、碑文谷店は全盛期のダイエーの発展を支える一端を担った。
長年に亘ってダイエーの東京旗艦店として親しまれ、目黒という立地もあり「日本で一番芸能人に会えるスーパーマーケット」とも噂された。1980年代には単独店舗での年商が200億円を超え、自国産品の販売状況を視察する各国要人や中国残留孤児来日団が訪問するなど、まさに時代を映す鏡となり、日本を代表する大型スーパーとしてたびたびマスコミに登場した。1998年には隣接して別館も開店している。P1000432s
別館にはABCマートなどが入居。

2015年の時点で、館内にはスターバックスコーヒー、ヤマダ電機(旧サトームセン)、ABCマート、サーティーワンアイスクリーム、不二家、ケンタッキーフライドチキン系列の唐揚店など数多くのテナントが入居しており、近年はテナントの顔ぶれも「時代を映したもの」となっていた。
閉店時の本館は8階建、別館は3階建で、売場面積は約15,000㎡、延床面積は約27,000㎡だった。

最終日、閉店を惜しむ客で賑わう-閉店セレモニーも

閉店となった5月5日は朝9時の開店とともに先着500人に粗品が配られた。
店舗のショーウィンドウには「永年のご愛顧 ありがとうございました」の文字。店内は殆どの商品が割引価格となり、閉店を惜しんだ多くの買い物客で賑わった。
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商品が少なくなった店内。

21時過ぎからは閉店セレモニーが実施され、最後の店長となった福西店長が、昨年の開店40周年記念祭や地元の学校などのイベントに参加したことなど碑文谷での思い出を語り、「この冬にまたお目にかかれることをお待ち申し上げます」と締めくくった。
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店内で閉店の挨拶が行われた。

店舗跡に「イオンスタイル碑文谷」出店

ダイエー碑文谷店の建物を保有する「ユナイテッド・アーバン投資法人」によると、ダイエー閉店後の建物は耐震補強など大規模な改修工事に入る。工事は約半年間と長期に亘り、ビルの内外装なども現在とは大きく変わる可能性がある。
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特徴的な外装。

ダイエー碑文谷店跡の建物は11月よりイオンが賃借することが決まっており、冬ごろにイオンの新業態ショッピングセンター「イオンスタイル碑文谷店」となるとみられる。なお、ダイエー閉店後も別館(ABC-MARTなど出店)は、営業を続けながら改装を行なう。
改修後のイオンリテールの賃貸契約期間は2036年までとなっている。

外部リンク:テナントの異動(予定)に関するお知らせ(ダイエー碑文谷) (ユナイテッド・アーバン投資法人)
関連記事:2016年度に閉店予定の主な商業施設
関連記事:ダイエー「旗艦店級」28店舗、3月1日からイオンに転換

阪堺電車、住吉-住吉公園前が廃線に-2016年1月30日に最終運行

大阪ミナミと堺を結ぶ路面電車「阪堺電車」(阪堺電気軌道、本社:大阪府大阪市住吉区)は、1月30日の運行を以て上町線住吉電停住吉公園電停間200mを廃止した。
路面電車の廃線は名鉄岐阜市内線以来11年ぶりとなった。
P1020270-車内に掲示された廃線告知。

平面クロス、古い駅舎、防火用水、金魚-全てが過去帳に

廃線区間は1913年に開業。盲腸線であり、住吉公園電停から僅か100m離れた場所には阪堺線の住吉鳥居前電停があるため、2014年からは朝7~8時台しか電車が発着しない「日本一最終電車が早い」停留所となっていた。
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住吉大社と住吉鳥居前電停。奥に住吉公園前電停があった。

住吉公園電停は古い駅舎が有名であり、また、近くでは路面電車同士が平面交差する光景が見られることでも有名であったが、これも見納めとなった。
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住吉公園前電停入口。

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停留所内の様子。

最終運行日となった30日は、始発から多くの人が詰めかけ、別れを惜しんだ。
朝8時32分の最終電車には、1928年に製造されたモ161号が登場し、 お別れセレモニーに花を添えた。
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最終電車となったモ161号(撮影:ともさーん)。

なお、住吉公園電停の防火用水で飼われていた金魚は鶴見区の中学校に引き取られたという。

外部リンク:阪堺電車|暮らしがある。未来がある。ずっと息づく軌道がある。

大丸心斎橋店本館、2015年12月30日閉館-惜しまれた最終日、建替え始動へ

御堂筋のシンボルの1つがついにその灯を消した。
大阪市中央区の大丸心斎橋店本館(しんさいばしみせ、大阪市中央区)が建替えのため2015年12月30日を以て閉館した。daimaruss
大丸心斎橋店本館。

築93年、惜しまれつつ閉館

大丸心斎橋店は1729年に開店。現在の本館はアメリカ人建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で、1922年から1933年にかけて建設されたもの。
「docomomo 日本におけるモダン・ムーブメント建築」にも選定されており、保存を求める声が多くあった。P1020480-1-1
建築時の面影を色濃く残す1階の内装。

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孔雀のテラコッタは心斎橋筋のシンボルだった。

閉館を控えた12月2日からは「大丸心斎橋店回顧展」も開催。
最終日となった30日には閉館を惜しむ多くの人たちが詰めかけ、喫茶「サロン・ド・テ・ヴォーリズ」には長蛇の列ができた。
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大丸回顧展も開催された。

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閉館を直前に控えた大丸心斎橋店。
 
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閉じられたシャッター。多くのマスコミが詰めかけた。

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閉店後はショーウインドーの撤去などが行われた。

現本館は2月から解体-主な売場は旧そごうに

現在、本館の売場は北館(旧そごう心斎橋本店)と南館に順次移設中。百貨店の顔である化粧品・宝飾品や食品などといった主力商品の売場は北館に移設され、南館は主にインバウンド需要を見込んだ改装を行っている。
現在の本館は2016年2月より解体に着手される予定。
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多くの売場が移設される旧そごう本店(大丸北館)。

新たな本館は2017年に着工。御堂筋側の外観と一部の装飾を再現した形で建設される。
新本館の売場面積は約40,000㎡となり、多くのフロアで大丸北館(旧そごう心斎橋本店)と接続される。総投資額は約380億円。
新本館は2019年秋の全面オープンを、全館のリニューアルオープンは2021年ごろを目標にしている。
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新しい本館の完成予想図(大丸松坂屋ウェブサイトより)。

外部リンク:大丸心斎橋店本館建替え計画の概要に関するお知らせ(J.フロントリテイリング・大丸松坂屋百貨店/PDF)
関連記事:大丸心斎橋店で「回顧展」を開催
(一部写真は美留町まことさん)