そごう・西武、中小10店舗を2017年夏までに閉鎖へ-仙台泉、葛西、上田、松本など

セブンアンドアイホールディングス傘下の百貨店「そごう・西武」は、全国に展開する百貨店の中小型店・サテライトショップのうち、10店舗を2017年夏までに閉鎖する。
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西武百貨店が出店する「アリオ仙台泉」。

規模拡大中のそごう西武中小店、一気に閉店・事業縮小へ

そごう・西武はかつて全国に中小型サテライト店を展開していたが、そごうは2000年の経営破綻後に、西武百貨店は2000年代の経営再建時にいずれも全店を閉鎖していた。
一方、そごう・西武がセブンアンドアイホールディングス傘下となってからは、全国に展開するイトーヨーカドー系のショッピングセンターへの中小型店出店を開始。2011年に「アリオ上田」(長野県上田市)に小型店再出店1号店となる店舗を開設した。
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小型店の中で最も新しい「そごう・西武柏」。この店舗は閉店しない。
なお、柏は他の中小店舗よりも規模が小さくなっている。

「オムニチャネル化推進」の弊害か-迷走する百貨店経営
広がった顧客の切り捨てにも繋がる可能性

近年、このような中小型店の展開に力を入れる百貨店は増えており、代表格である三越伊勢丹グループが展開する「エムエイプラザ」「イセタンミラー」などのみならず、地方百貨店においても天満屋(岡山市)、井筒屋(北九州市)などが小型店を急速に増やしている。
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エムアイプラザ(藤枝市)。

しかし、近年セブンアンドアイホールディングスでは、店頭にない商品をネットで注文して系列スーパーやセブンイレブンなどで受け取ることができるという「オムニセブン」に力を入れており、そごう・西武の商品をわざわざ店頭に並べなくともインターネットで注文すれば購入できると判断し、開設したばかりの殆どの中小店舗を閉鎖するに至ったものと考えられる。
一方、これらの中小店舗はショッピングセンターが従来販売できなかった百貨店向け商品を数多く取り揃えているほか、百貨店の顧客は高齢者も多く、それらを求める客はECサイトよりも店舗で実際の商品を見て購入することを好む傾向にあり、結果として顧客の利便性は大きく失われることになった。

閉店する「そごう・西武」中小型店
  • 西武 仙台泉(仙台市、アリオ仙台泉店内)
  • 西武 上尾(上尾市、アリオ上尾店内
  • 西武 鷲宮(久喜市、アリオ鷲宮店内)
  • 西武 葛西(江戸川区、イトーヨーカドー葛西店内)
  • 西武 拝島(昭島市、イトーヨーカドー拝島店内)
  • 西武 立場(横浜市、イトーヨーカドー立場店内)
  • 西武 橋本(相模原市、アリオ橋本店内)
  • 西武 大和鶴間(大和市、イトーヨーカドー大和鶴間店内)
  • 西武 上田(上田市、アリオ上田店内)
  • 西武 松本(松本市、アリオ松本店内)

これとは別に、そごう西武では西武百貨店旭川店の閉店に伴い「西武百貨店旭川空港ショップ」(旭川市、旭川空港内)についても閉店している。
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アリオ松本店に掲げられた西武百貨店の看板。

なお、各店ともに西武百貨店の売場のみの閉鎖となるため、核店舗であるイトーヨーカドーなどは営業を続ける。

閉鎖されない「そごう・西武」中小型店

これら3店はいずれも2014年以降の出店であり、「そごう西武武蔵小杉」は比較的規模が大きく、また地域に百貨店がないため、「西武三島」も1階と2階に展開するなど比較的規模が大きく、また閉店した「西武百貨店沼津店」の代替店舗となるため、2016年に出店した「そごう西武柏」は銘菓と贈答品中心の狭小店舗(他の西武ショップはアパレル中心)であり、また三島と同様に閉店する「柏そごう」の代替店舗となるため、当面は営業を続ける判断に至ったと考えられる。
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そごう・西武 武蔵小杉。

今回の縮小により、そごう・西武の中小店舗は3店のみとなる一方、そごう・西武では親会社であるセブンアイの方針により大型百貨店の規模縮小が続いており、今後も「百貨店の代替店舗としての出店」は行われる可能性があろう。

5月17日追記:武蔵小杉店も閉店を決めた。詳しくはこちら。

8月25日追記:西武百貨店船橋店・小田原店、2018年2月28日閉店 

外部リンク:そごう・西武
関連記事:そごう柏店、9月30日閉店-首都圏一等地、問われる経営判断
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