JR松戸駅前の伊勢丹通り商店街にある百貨店「伊勢丹松戸店」が、2018年3月21日に閉店する。
伊勢丹松戸店。
業績低迷で閉店-松戸市が支援模索も白紙に
伊勢丹松戸店は1974年4月に開業。
地上11階、地下1階建てで、売場面積は31,268㎡。建物は投資ファンドなどが所有する。この地にはもともと市立小学校があり、再開発は松戸市の主導で行われたものであった。
三越伊勢丹は、松戸店の業績低迷から直営売場を4階以下に圧縮するとともに、松戸市に4階の一部を10年間、計21億円で貸借させる案を打診。
松戸市は駅前立地という地の利を生かして旅券事務所、文化ホール別館など(1,672㎡)を入居させることで利便性の向上を図ることを検討していた。しかし、9月7日に行われた松戸市議会の総務財務常任委員会では市施設の入居が認めらず、案は「保留」に。その後、9月25日に全会一致で可決された一般会計補正予算案の修正案にも伊勢丹支援予算は盛り込まれることはなく、市による支援の道が絶たれたことが閉店の決定打になってしまった。なお、5階以上は建物所有者が新たなテナントを誘致する方針であった。
まちの「華」を失う松戸駅前、市は大きな痛手か
伊勢丹松戸店は、一時期よりも減ったといえども200億円近い年商があり、多くの地方百貨店からしてみれば羨ましいほどの売上規模で、やりようによっては長期的に百貨店として存続できた可能性も高い。
さらに、これだけの規模の大手百貨店が駅前から消えることは、松戸市自体にとって大きな痛手となろう。今後、中心市街地の地価下落・空きテナント増加による税制収入の減少なども避けられず、市が逃がした魚はあまりにも大きなものとなりそうだ。
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