イオングループの都市型食品スーパー運営会社「ダイエー」(本社:東京都江東区)は、系列総合スーパー運営会社「イオンリテール」(本社:千葉市美浜区)に近畿圏の一部店舗を2025年3月1日以降順次承継することを2024年11月1日に発表した。
再び「食品スーパー」回帰鮮明に
ダイエーは2015年9月に北海道・名古屋・九州全店舗をイオン系列各社に承継、2016年3月に首都圏・近畿圏の大型店をイオンリテールに承継することで、大都市圏を中心とした食品スーパー事業会社として転身を図った。
あわせて、2017年2月に旗艦店の神戸三宮店をOPA運営の「三宮オーパ2」として新装開業、生活提案型食品スーパー「イオンフードスタイル」への業態転換や直営衣料品フロアの専門店化(パレット・パーティハウスなど)に取り組んだが、依然として店舗面積1万㎡超の大型店(北野田店・おおとり店・池田駅前店・摂津富田店・光明池店など)が多数存続していた。
ダイエーが運営する「イオンフードスタイル神戸学園店」。
現在も直営肌着・雑貨フロアが存続している。
その後も、ダイエーは既存大型店に加えて、2019年3月には「山陽マルナカ」の近畿14店舗を承継したことで、都市型食品スーパー運営会社という企業コンセプトから懸け離れた総合スーパー業態の店舗(西宮店・東大阪店など)をさらに抱え込む結果となった。そのため、イオングループはダイエーの食品事業への経営資源再集中を目的として、イオンリテールにダイエーの近畿3店舗「ダイエー西宮店」「ダイエー東大阪店」「ダイエーおおとり店」を2025年3月1日以降順次承継する方針を決定した。
ダイエー近畿旗艦店として全面刷新した新・西宮店
ダイエー西宮店は、2000年11月に瀬戸内地場流通大手系総合スーパー「山陽マルナカ西宮店」として開店。建物は地上3階建で営業フロアは1~2階、店舗面積は10,165㎡。
山陽マルナカ西宮店は開店当初、マルナカグループとしては兵庫県内最大の店舗であったが、2011年11月に運営会社がイオン傘下に移行したため、2019年3月のイオングループ食品スーパー運営会社再編にあわせてダイエー運営に移行。2021年12月に現在の店舗名となった。
2022年4月のリニューアル時には「ダイエー近畿エリアの旗艦店舗」として、食品フロアの全面刷新やフードコートの新設を打ち出していた。
ダイエーは1977年に開店した「ダイエー西宮店(現イオン西宮店/店舗面積12,569㎡)」を2016年3月にイオンリテールに承継しており、同名の異なる店舗を8年ぶりに再び承継することとなった。
ダイエー西宮店を前身とするイオン西宮店。
オークワ系衣料スーパーとの複合店だった東大阪店
ダイエー東大阪店は、2001年1月に瀬戸内地場流通大手系総合スーパー「山陽マルナカ東大阪店」として開店。建物は地上4階建で営業フロアは1~2階、店舗面積は5,281㎡。
山陽マルナカ東大阪店(2021年当時)。
2025年3月のイオンリテールへの承継でイオンスタイルとなる。
山陽マルナカ東大阪店は西宮店同様、2019年3月のイオングループ食品スーパー運営会社再編にあわせてダイエー運営に移行。2021年12月に現在の店舗名となった。
ダイエー東大阪店は、運営会社再編や直営衣料品フロアの転換を背景として、オークワ系衣料スーパー「PHパーティハウス」や関西地場靴量販店「ヒラキ」、100円ショップ「ダイソー」九州地場系ゲームセンター「ふぇすたらんど」といった専門店が入居するなど、特殊な運営体制を採っていた。
カルフール東大阪が前身のイオン東大阪(2021年3月閉店)。
ダイエー東大阪店とは直接的には無関係の店舗だ。
実験的試み相次ぎ打ち出した「おおとりウイングス」
ダイエーおおとり店は、1980年10月に第一紡績工場跡地再開発施設「おおとりウイングス」の核店舗として開店。建物は地上3階建で直営売場面積は10,021㎡。
おおとりウイングスは開業当初、第一紡績(本社:熊本県荒尾市/現双日系)傘下のイチボウ商事による運営であったが、バブル期の多角化失敗が災いとなり、2024年11月現在はコーナングループ傘下のわたらせ温泉(本社:和歌山県田辺市)完全子会社による運営となっている。
同施設ではダイエーグループ(当時)のパチンコ店「パンドラ」やイオングループの文具店「ぶんぐのまち」を導入するなど、堺市内有数の大型店として実験的試みがたびたびみられていた。
ダイエー大型店のイオン化、今後も続く?
イオンリテールはダイエー近畿3店舗承継に関して「多様かつ変化し続けるお客さまニーズに応えるため」という理由を挙げており、総合スーパー業態改革を打ち出す同社主導のもと、ダイエー大型店の集客力改善を図る狙いがあるとみられる。
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