JR九州は北九州市若松区の筑豊本線(折尾駅-若松駅間の愛称は「若松線」)の「若松駅」を2017年3月に全面リニューアルする。
石炭を連想させる黒色の外装に全面リニューアル
若松駅は1891年に筑豊興業鉄道の駅として開業。1907年に国有化された。かつては大正時代に建てられた洋風の大型駅舎があったほか、駅に隣接して大規模なヤード(操車場)が存在し、隣接する若松港とともに石炭輸送の一大拠点として活況を呈した。
国鉄若松駅旧駅舎(北九州市広報室報道課「時と風の博物館」より)
しかし、石炭産業の衰退に伴い駅規模は縮小。1982年には貨物輸送が廃止、1984年には旧駅舎は現在の簡素な造りの駅舎に建て替えられたほか、ヤードも撤去され、跡地は住宅団地「久岐の浜ニュータウン」、JR九州グループが開発した商業施設「ベイサイドモール若松」(核テナント:ハローデイ)などへと生まれ変わった。
一方で、かつての若松駅舎が保存できなかったことに対する反省は大きく、そのことがのちの旧古河鉱業若松ビルをはじめとする若戸大橋周辺・若松南海岸地区の近代建築保存・再活用の動きに繋がったとも言われる。
現在のJR若松駅。
今回の若松駅舎のリニューアルでは、既存駅舎の躯体をそのまま活用。タイルも一部のみ残しつつ、外装は「石炭」を連想させる黒を基調とした姿に一新させる。
また、内装には白系の塗装を用いることで、黒と白とのコントラストが鮮やかな駅舎となる。
改装後のJR若松駅イメージ(JR九州サイトより)
蓄電池車投入など投資続く若松線、一方で無人駅化検討も
JR九州は2016年10月19日に、架線下で充電し非電化区間ではバッテリーで走行する819系(BEC819系)架線式蓄電池電車「DENCHA」を若松線に投入して話題となった。
819系「DENCHA」(JR九州サイトより)
2017年春からは若松線の車両が819系に統一され、福北ゆたか線と直通運転が開始される予定で、今回の若松駅リニューアルにおいても、DENCHAの起点駅として「過去から現在、未来へのつながる駅」をコンセプトとするなど、新型車両の投入によるイメージアップを意識したものとなっている。
その一方で、JR九州では合理化策の一環として、若松線の中間駅3駅の無人化に加えて若松駅でも閑散時間帯の駅員サービスの廃止(無人化)が検討されているなど、同線では様々な面で「改革」がもたらされようとしている。
外部リンク:筑豊本線(若松線) 若松駅をリニューアルします!
外部リンク:DUAL ENERGY CHARGE TRAIN 架線式蓄電池電車 DENCHA 運行開始日決定!
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