昨年5月に閉店した川崎駅前の百貨店「さいか屋川崎店」の建物の解体工事が2015年度中にも開始される。

さいか屋川崎店。
川崎駅前で唯一の百貨店だったさいか屋
さいか屋は1867年に創業した呉服店系百貨店。東証2部上場で、筆頭株主は京浜急行電鉄。現在は横須賀店(創業店舗)、藤沢店、町田ジョルナ店の3店舗が営業している。
さいか屋川崎店は1956年の開店、地上8階、地下1階、売場面積は約21,000㎡の規模。
川崎店の土地・建物は長年に亘ってさいか屋が所有していたが、2009年に固定資産税や維持管理費などの軽減のため投資ファンドに売却、その後は賃借入居して営業を続ける方針であったが、投資ファンドと条件が合わず、建物賃借を延長できずに2015年5月31日を以て閉店。さいか屋跡のビルは空き店舗となっていた。

東京・横浜の百貨店と比較して庶民的な雰囲気だった。
川崎駅東口にはかつて「さいか屋」のほかにも「小美屋(現在の「さくら野百貨店」)」、「岡田屋」、「川崎西武」などの百貨店があったが、小美屋、西武は既に閉店、岡田屋モアーズは複合商業ビルに業態転換しており、さいか屋の閉店で全ての百貨店が姿を消した。現在、川崎市の百貨店は武蔵小杉駅前のショッピングセンターに入居する「西武そごう 武蔵小杉」のみとなっている。
なお、閉店後にさいか屋は川崎日航ホテル3階にサテライトショップ・ギフトサロンを開設している。

市内唯一の百貨店「そごう西武 武蔵小杉」も規模は大きくない。
跡地の活用方法は?
さいか屋跡は現在投資ファンドの保有であるが、具体的な跡地活用方法については発表されていない。
その一方で、川崎市は今年「川崎駅周辺総合整備計画改定案」を策定しており、さいか屋跡地やその周辺地域において建築制限を実施、パチンコ店、風俗店などの遊興施設や、一般住宅などの新規建設は行えなくなる。
解体後は超一等地に大きな空き地が現れることになり、今後が注目される。

駅前一等地に生まれる空き地に注目が集まる。
外部リンク:「川崎駅周辺総合整備計画改定(案)」について(川崎市)
イズミヤ、阪急阪神百貨店と電子マネーを共通化
阪急阪神百貨店傘下の大手スーパー「イズミヤ」は、2月24日から新たなクレジットカード「ソレーナSTACIAカード」、ポイントカード「Hinatas(ヒナタス)」の募集を本格的に開始し、2017年からは阪急阪神グループの新たな電子マネー「litta(リッタ)」を導入する。
イズミヤ。
従来より高還元、阪急阪神の電子マネーとも共通化
「STACIAカード」は阪急阪神グループのクレジットカードの名称で、イズミヤで新たに導入される「ソレーナSTACUAカード」は、従来のイズミヤカードの5倍となる「高いポイント還元率」(100円=1ポイント)、「クレジット利用者の実質年会費無料」、「阪急阪神東宝グループを中心とする1800施設での優待」など、グループのスケールメリットを活かした利便性の高いカードとなっており、更に、2017年春以降サービスを開始予定の阪急阪神百貨店・イズミヤ共通電子マネー「litta(リッタ)」にも対応する予定。
なお、ソレーナSTACUAカードの「ソレーナ」とはイズミヤの太陽を意味しているほか、関西弁の「ソレエ~な」を掛けているものと思われる。
店頭ではカードに関する案内が告知されている。
「ソレーナSTACIAカード」は1月中旬より申込を受付しており、1月27日からは店頭でのSTACIA会員サービスを開始している。
従来のイズミヤのポイントカード「ヒナタスカード」からの切り替えは一部先行実施地域を除き2月下旬から開始する。また、クレジットカード「イズミヤカード」は11月10日を目処に廃止する予定。
迷走の末のカード統合
阪急阪神百貨店とイズミヤは、2014年6月の経営統合時に「百貨店MDの取り込み」、「システムの共通化」に加えて「カード事業の統合」を目標に掲げてており、イズミヤは独自性を保ちながらも、阪急フーズが取扱う「輸入食品コーナー」の充実や、新店舗への100円均一パン「阪急ベーカリー」を導入するなど「阪急流の改革」を進めていた。
阪急百貨店うめだ本店。
一方で「カード事業の統合」(電子マネーの導入)に関しては、当初は阪急阪神グループで使用されているカード式乗車券「PiTaPa」のシステムを用いたものになると思われていた一方で、2013年10月にはイズミヤが独自の電子マネー「miyoca」を導入、統合が進んでいなかった。
現在は「miyoca」も新規加入を終了、今後は電子マネー「litta」を搭載した「Hinatasカード」に置き換えられることになっている。
外部リンク:ソレーナSTACIAカード
外部リンク:イズミヤ
アウガ、ショッピングフロア閉店へ-ほぼ全館が公共施設に
青森市は、経営難に陥っているJR青森駅前の複合商業ビル「フェスティバルシティ・アウガ」について、1~4階のショッピングフロアを閉鎖し、公共施設としての再生を行う方針を発表した。
フェスティバルシティ・アウガ。
注目を集めた「商業+公共+駐車場」という新業態
「アウガ」は2001年1月に第三セクター企業「青森駅前再開発ビル」の運営する複合商業ビルとして開業した。
当初は核テナントとして地場百貨店の「松木屋」(西武系、2003年倒産)、「ダックシティカネ長武田百貨店」(現:さくら野百貨店)などの出店も検討されたが、景気の減衰などにより百貨店を核とすることを断念。
結局、商業ゾーンは独自のファッションビル業態とすることになった。
現在、アウガは4つのゾーンに分かれており、地階はアウガ建設前にあった商店街の店舗が主に出店する食品ゾーン「新鮮市場」、1階から4階は「ショッピングフロア」(主にファッション)、5階から6階は「青森市男女共同参画プラザ・カダール」と催事ホールなど、6階から9階は「青森市民図書館」となっているほか、立体駐車場も設けられている。
地階~4階の商業床の売場面積は約14,300㎡。

現在のアウガのフロア構成(青森市ウェブサイトより引用)。
開業当初は「商店街+ファッションビル+公共施設+駐車場」という独自の業態が注目を集め、全国から視察が相次ぎ、いわき市(開発主体は民間)や福井市などの駅前再開発においても類似の複合商業ビルが建設されたり、また、全国の大型空き店舗再生の際に参考にされることもあった。
地階の商店街「新鮮市場」。
当初は賑わったファッションフロア、12年に黒字化したが…
開館当時のアウガは青森市初のファッションビルとして大いに賑わい、中心市街地の活性化に一役かったものの、当初(2001年度、12ヶ月間)の売上は予想の半分程度となる23億円、全館での集客数は約282万人。
更に、市内の郊外スーパーや市外の大型ショッピングモール(イオンモールつがる柏、エルムの街など)との競争に加え、少子高齢化、鉄道利用客の減少などにより経営が悪化。2008年には「青森駅前再開発ビル」の債務を青森市が買い取り、青森市が運営主体となっていた。
その後、経営効率化などにより2012年上半期には初の黒字を計上したものの、2011年の東北新幹線青森駅開業後の青森駅の地位低下も重なり、同年からは空き床が1割を超える状態が続いていた。
2013年度の年商は約16億円、全館での集客数は242万人となっている。

アウガの集客数変化(青森市ウェブサイトより引用)。
市庁舎建て替えが転機に-改装時期は未定
青森市では、以前より老朽化した市庁舎の建て替えが問題となっており、特に庁舎の最も古い部分は1956年に建設されたもので、新庁舎の整備が喫緊の課題となっていた。
そこに、アウガの経営問題が浮上。
青森市は、市役所の機能の一部をアウガに移し、新築する新庁舎の規模を縮小する考えを表明した。

改装後のアウガのフロア構成案(青森市ウェブサイトより引用)。
また、青森市はアウガの公共施設化に伴い、地権者床を青森市が買い取り、青森市に対する「青森駅前再開発ビル」の債務は、土地と建物で代物弁済させ、アウガは土地・建物ともに青森市の所有とする計画。
これにより、アウガの債務の圧縮を図るとともに、市庁舎の建築費を圧縮、更に、駅前の賑わいも維持したい考えだ。なお、地階の商店街は現状のまま存続させる方針。
ショッピングフロア閉館や改装を行なう時期は未定で、分庁舎として入居する部門の検討や、買収に向けての詳細な不動産鑑定などは今後実施する。
青森市唯一のファッションビル、消滅の影響は大きく
一方で、アウガは隣接する青森駅ビル「ラビナ」(土産品店に加えて無印良品、ハニーズ、宮脇書店など出店)以外では青森市で唯一のファッションビルであり、青森市中心部で唯一のゲームセンターがあるほか、「index」、「PAGE BOY」、「ESPERANZA」、「ヴィレッジヴァンガード」、「ジ・エンポリアム」(2月閉店)など、青森市周辺では当ビルが唯一の出店となっている店舗やブランドも数多くある。
青森市では、2006年より「コンパクトシティ」を目指した郊外大型店の出店規制を行っており、例え有名テナントであっても青森市内の郊外型商業施設への再出店余地はあまり多くない。つまり、政策によって郊外の商業施設が規制された上に、政策によって造られた中心部の商業施設も、また政策によって消えてしまおうとしていることになる。
昼間はお年寄りの、夕方は学校帰りの若者の憩いの場ともなっているアウガ。ショッピングフロアの全面閉店は、駅前の賑わいや、中心市街地全体への集客に大きな影響を与えることは必至であり、入居テナントの近隣地域への移転を進めるなど、何らかの対策が必要になろう。

アウガ・ファッションフロア(公式ウェブサイトより引用)。
外部リンク:Festival City AUGA | フェスティバル シティ アウガ
外部リンク:新生アウガを目指して(案)(青森市、PDF、概要版)
外部リンク:新生アウガを目指して(案)(青森市、PDF、詳細版)
新しい記事はこちら:アウガ・ショッピングフロア、2017年3月末閉店へ-経営問題で市長辞任、混迷深まる活用方法
西武HD、所沢駅に新駅ビル-2020年完成目指す
「西武の顔」である所沢駅が大きな変化を遂げる。
西武ホールディングスは、2020年の完成を目指して所沢駅東口に建設する新たな駅ビルの概要を発表した。

現在の所沢駅前(東口)。

所沢駅ビル完成予想図(西口から)(西武HD公式サイトより)。
「西武の顔」にふさわしい駅に-120店舗が出店
西武所沢駅東口には西武ホールディングスや西武鉄道の本社、西武百貨店所沢店(ワルツ所沢、現在は資本関係なし)があり、まさに「西武の顔」とも言うべき地。

西武鉄道ビル。所沢駅東口に立地。
新たな所沢駅ビルは地上5階、地下2階建で、延床面積は116,000㎡(そのうち既存棟:49,600㎡)。新築部分は既存の駅ビル「エミオ所沢」と接続し、線路を覆う形で建設される。

駅ビル建設図(西武HDウェブサイトより一部加筆)。
商業床は約18,500㎡を予定しており、店舗は主に1階から3階に展開。
テナントは食品、ファッション、大型書店、レストラン街など約120店舗が出店するほか、4階には行政のサービス窓口も設けられる予定。
構内に自由通路が開設され、駅ビルに直結する改札も設置。
線路上の吹き抜けには憩いの場となるテラスが設けられる。
更に、防災対策として、防災備蓄倉庫、非常用電源なども完備される。

既存改札前(西武HDウェブサイトより)。
また、5階と屋上には500台の駐車場と1600台の駐輪場も設置。
総投資額は約268億円で、第一期工事は2018年春に完成する予定。
全面オープンは2020年夏ごろの完成を目指している。

2階、北側吹き抜け(西武HDウェブサイトより)。
所沢駅西口の再開発も予定
西武ホールディングズは、このほかにも2023年ごろの完成を目指して
所沢駅西口の元車両基地跡の再開発も計画しており、拠点である所沢駅周辺の再開発を通じて、沿線の魅力アップと人口増加に繋げたい考えだ。

東口から見た完成予想図(西武HDウェブサイトより)。
外部リンク: 「所沢駅東口ビル計画」の事業内容決定について(西武HD、PDF)
阪急百貨店、台湾から2016年3月に撤退-統一グループとの契約満了で
台湾・台北市に店舗を構える百貨店「統一阪急百貨」は、2016年3月2日に阪急百貨店との提携契約満了を迎えることに伴い、提携契約の更新を行わず、店名を「統一時代百貨」に変更することを発表した。

統一阪急百貨台北店(公式サイトより引用)。
日系百貨店としては後発だった阪急、9年で撤退
統一阪急百貨は、阪急百貨店と台湾の食品製造・流通・物流大手「統一企業」との提携により、阪急百貨店のフランチャイズ店舗として設立。台湾の日系百貨店としては最後発だった。
キャッチフレーズは「美人は made in Hankyu」で、2007年に高雄店が、2010年に台北店が開店。しかし、高雄店は2013年に隣接するショッピングセンター「統一夢時代」の一部となり、百貨店業態を廃止。現在は台北店のみで営業していた。
台北店には「ユニクロ」、「サマンサタバサ」、「LIZ LISA doll 」、「OLIVE des OLIVE」など、日本の人気店も数多く出店している。

店舗のファザードも阪急百貨店と共通(公式サイトより引用)。
高雄の阪神百貨店は営業を継続
「阪急百貨店」としては台湾から撤退するものの、阪急阪神百貨店では高雄市において漢來グループとの提携による「漢神百貨(HANSHIN)」を2店舗展開しており、こちらは営業を継続する(漢神百貨店はこの他に中国・西安市にも出店)。

漢神百貨。
外部リンク:漢神百貨
「すき家」百貨店初出店-スズラン高崎店、2月24日開店
大手牛丼チェーンの「すき家」が百貨店に初出店する。
すき家を展開するゼンショーは、2月24日に群馬県高崎市の「スズラン百貨店高崎店」に「すき家 スズラン百貨店高崎店」を出店することを発表した。

スズラン百貨店高崎店。
大手チェーン店の百貨店初出店、牛丼でも
「すき家」はゼンショーが展開する牛丼チェーン店で、出店するのは「スズラン百貨店高崎店」の地階。
スズラン百貨店は以前より専門店の導入が盛んであり、高崎店でも別館に「シューラルー」「キャンドゥ」などを導入している。

「すき家 スズラン百貨店高崎店」完成予想図。
(すき家ウェブサイトより引用)
「百貨店仕様」で和牛弁当の販売も
「すき家 スズラン百貨店高崎店」は、お弁当の販売が中心で、群馬県産黒毛和牛を使った「和牛弁当(1,080円)」を導入するなど、独自の価格設定・メニュー構成となる予定。

百貨店仕様の「金色」ロゴも導入。
弁当の販売が主ではあるが、イートインコーナーも設置される。
また、一般の牛丼も通常店舗より高質の肉を使用するため、他店舗より20円ほど高い価格となる。
営業時間はスズラン百貨店と同様の10:00~19:00。
2月24日・25日には、開店記念として対象の弁当の購入者先着100名に「すき家」の金のロゴ入り湯のみがプレゼントされる。
新業態の実績によっては他の百貨店への出店も予想され、今後が注目される。
外部リンク:1,080円の「和牛弁当」を新発売 「すき家 スズラン百貨店高崎店」2/24(水)オープン
外部リンク:スズラン百貨店高崎店
紀伊國屋書店そごう川口店、2016年3月16日開店-丸善跡
紀伊國屋書店はJR川口駅前の百貨店「そごう川口店」(埼玉県川口市)に、3月16日に「紀伊國屋書店そごう川口店」を出店させることを発表した。

そごう川口店。
丸善書店の後継、丸善の倍以上の規模に
そごう川口店9階は「憩いのある街」として、丸善書店、催事場などが入居。しかし、丸善は2016年1月31日を以て閉店していた。
紀伊國屋書店の出店規模は約230坪(約760㎡)と、丸善(約300㎡)の2倍以上となる。
関連記事:丸善、そごう川口店から撤退-後継店舗は未定
隣接するそごう催事場を活かしたイベントも
「紀伊國屋書店そごう川口店」の店舗コンセプトは「居心地良く、本が選べる空間の演出」。
川口店は紀伊國屋書店としては小規模なものとなるものの、そごうの催事場が隣接しているため、連携したイベントも実施。 開店記念として、そごう9階催事場で「弱虫ペダル原画展」を開催する。
原画展の会期は3月16日(水)から3月21日(月・祝)までで、入場券は限定特典付きで2種類、各1000円となる予定。
外部リンク:紀伊國屋書店そごう川口店を2016年3月16日新規開店
関連記事:丸善、そごう川口店から撤退-後継店舗は未定
鞆の浦、広島県が埋め立て免許取り下げへ-架橋中止に
広島県は、福山市の景勝地「鞆の浦」の埋め立て免許を取り下げる方針を固めた。
2月15日に広島高裁(広島市)で行われた鞆の浦の埋め立て架橋工事をめぐる控訴審の進行協議において、被告側の広島県は免許交付申請を取り下げる意向を示し、原告側の埋め立て反対派も訴えを取り下げることで合意した。

鞆の浦の風景。
この写真の湾内を埋め立て、架橋する計画だった。

埋め立て・架橋による道路拡幅計画図。
(広島県の計画を基にGoogleマップを用いて作成)
数多くの作品の舞台となった景勝地-観光客で渋滞も
「鞆の浦」は広島県福山市鞆の景勝地。
古代より「潮待ちの港」として知られ、瀬戸内海を行き交う商船や朝鮮通信使一行などの寄港地となっていた。
また、その景観の優美さから、万葉集の時代より様々な作品で取り上げられており、近年も「崖の上のポニョ」、「ウルヴァリン: SAMURAI」、「蒼穹のファフナー」など、数多くの有名作の舞台となったことで知られている。

福禅寺対潮楼から見た弁天島。
現在も常夜燈(江戸時代の灯台)や船宿が残り、江戸期の港町の面影を色濃く残す街並みが続く一方、中心部の道路は非常に狭隘で、幹線道路の県道であっても車両の離合(すれ違い)が困難であった。

鞆の浦の中心部を走る県道。非常に狭い。
埋め立て架橋計画から30年以上、議論に終止符
このような鞆の浦の交通事情の改善と防災のため、広島県は1983年より沿岸部を埋め立てて架橋し、それにより県道を拡幅する計画を進めてきた。
しかし、埋め立て架橋計画は鞆の浦の景観を大きく変えるものであり、2005年にはイコモス(国際記念物遺跡会議)は「景観を破壊する恐れがある」として計画の中止を勧告。
更に、2007年に反対住民が埋め立て中止を求めて広島県を提訴、2009年10月には、広島地裁が住民勝訴の判決を言い渡した。
これを受けて、広島県知事も架橋計画を中止、県道バイパスを建設する際には道路をトンネル化する方針を表明していた。
根本的な問題は解決されぬまま
架橋の中止により、鞆の浦の景観は維持されることになった一方で、鞆の浦では特に映画「崖の上のポニョ」公開後は観光客が増加し、観光シーズンには慢性的な渋滞が発生している。
先述の通り、架橋に変わってトンネルによりバイパスを建設する計画もあるが、開通までは数十年の期間を要することが予想される上に、交通事情に詳しくない観光客は鞆の浦の狭い路地まで車で乗り入れることが多いであろう。
福山駅から鞆の浦まではかつて鞆鉄道があり、現在も同社のバスが日中1時間に3本前後運行されているために交通の便が悪いとは言えないが、バス車内には観光客の姿はそれほど多くない。
JR福山駅前に並ぶ鞆鉄道バス(奥は中国バス)。

狭い街路を走る鞆鉄道バス(写真:しののめちゃん)。
また、鞆の浦では2月に唯一のスーパーマーケット「セルコ鞆店」が閉店。高齢化が進んでいる鞆の浦の住民にとって、公共交通の維持は喫緊の課題となっている。
唯一のスーパーも閉店してしまった(写真:しののめちゃん)。
鞆の浦では、地元NPO法人が空き家バンクを創設、空き家再活用の努力を行っているが、既に空き家となっている旧家も目立つようになってきている。埋め立ては中止された一方で、今後「誰も住まない港町」となってしまえば、鞆の浦の景観が守られるはずはない。
環境維持や緊急時の交通確保のためにも、また公共交通維持のためにも、パークアンドライドの実施や観光客の自家用車乗入規制を行うなど、将来に亘って住民が住みやすい街づくりをしていくための更なる努力が必要になろう。
トランジットモール化された金沢市の商店街。
自家用車の乗り入れ規制を行っている。
(撮影:金沢まちゲーション)
「イオンモール徳島」着工-2017年春開業目指す
イオングループは、2月14日に徳島市南末広町の沖洲川北岸に建設する大型ショッピングセンター「イオンモール徳島」の起工式を行った。
イオンモール徳島(イオンモールウェブサイトより引用)。
「ジャスコリバーシティ徳島」閉店から7年、ようやく再出店
「イオンモール徳島」の建設地には、1981年から2009年までジャスコ徳島店を核としたショッピングセンター「リバーシティ徳島」が立地していた。

出店予定地図。
(Googleマップを基に作成)
2004年にジャスコ鳴門店(現:キョーエイ鳴門駅前店)が閉店してからは徳島県内唯一のジャスコとなっていたが、全館で約9,600㎡という比較的狭い売場面積と店舗の老朽化により閉店。
その後、店舗跡地にイオングループが再出店するという話がありながら、7年間に亘って更地となっていた。
シネコン併設、徳島市最大規模のショッピングセンターに
「イオンモール徳島」の計画延床面積は約76,800㎡(駐車場含む:116,600㎡)、総賃貸面積(≒売場面積+バックヤード)は約50,000㎡。
徳島県最大の商業施設「ゆめタウン徳島」(藍住町、延床面積約125,000 m²)とほぼ同規模で、徳島市で最大の商業施設「そごう徳島店・アミコ専門店街」を抜き、市内最大となる。
先述の通り、現在徳島県には総合スーパー「イオン」は出店しておらず、また「イオンモール」としても徳島県初出店となる。

ゆめタウン徳島(藍住町)。
開発コンセプトは「“ココロおどるベイフロント”~新たな街の創出徳島の文化・流行の発信拠点~」。
店舗は川沿いという立地を生かした造りになる予定で、館内には8スクリーンを備えるシネマコンプレックスも出店。建物は隣接する「スエヒロボウル」とも空中連絡通路で結ばれる。シネマコンプレックスの出店は徳島市初。徳島らしく、LEDを用いたライトアップを行う。
また、徳島市大和町の旧徳島東工業高校跡地も、イオングループが徳島県と徳島市から借り上げ、駐車場として利用する方針。
イオンモール徳島は2017年春の開業を目指している。
外部リンク: 「(仮称)イオンモール徳島」の開発計画について
イオン姶良店、2016年2月14日閉店-旧サティ、イオンタウンに3月移転
鹿児島県姶良市のショッピングセンター「イオン姶良ショッピングセンター」(旧・姶良サティ)が、イオンタウンへの店舗移転のため2016年2月14日に閉店する。

イオン姶良ショッピングセンター。
旧・姶良サティ、28年の歴史に幕
イオン姶良ショッピングセンターは、1988年11月に加治木町のスーパー「ヱビスヤ」と「ニチイ」(後のマイカル)が共同開発したショッピングセンター「サンシティリブレ」(sun city libre)を前身とする。
3階建で、売場面積は約16,000㎡。同地方では数少ない郊外型ショッピングセンターであり、大いに賑わったという。

旧・姶良サティ。
1994年には支店として「国分隼人サティ」(現:イオン国分隼人店、霧島市)を出店し、その後、サンシティリブレも「姶良サティ」に改名。
2000年のマイカルグループの経営破綻とイオングループ入りを経て、2011年に「イオン姶良ショッピングセンター」に改名していた。
(ヱビスヤ加治木本店は現在も営業中)
「イオンタウン姶良」の核として移転-3月10日に1期開業
今回の閉店は、イオンの店舗移転に伴うもの。
隣接地では「イオンタウン姶良」の建設が進んでおり、イオンタウンのうち半分は3月10日に開業予定。イオン姶良店はイオンタウンの核店舗として出店する。なお、この土地は元々「ラララグループ」(寿屋、熊本市)が出店表明していた土地だった。
現在のイオン姶良店は解体され、跡地にもイオンタウン姶良の建物が増築される予定。

イオンタウン姶良(イオンタウンウェブサイトより)。
「イオンタウン姶良」は、全面開業時には現イオン姶良店の約3倍の売場面積45,000㎡となり、鹿児島県内でも有数の規模のショッピングセンターとなる。1期開業部分の112のテナントのうち「バーガーキング」など27店舗が鹿児島県初出店となる予定。
イオンタウン姶良は2017年春ごろの全面開業を目指しており、全面開業時には4Dシアターを備えたシネマコンプレックスも併設される。
外部リンク:イオン姶良店
外部リンク:イオンタウン姶良(未開設)

