青森県南部地方でバスを運行する南部バス(本社:八戸市)は、2月15日を目処に岩手県の岩手県北自動車(本社:盛岡市)に事業譲渡する。南部バス。
南部地方の交通網整備に貢献も近年は赤字深刻化
南部バス株式会社は1926年に五戸電気鉄道として設立。1929年に南部鉄道(現:八戸駅〜五戸駅)を開業させ、1931年にはバス事業に参入するなど南部地方の交通アクセス拡充に貢献した。なお、鉄道は一度も電化されずに、1945年には社名も南部鉄道に改称している。
1969年に発生した十勝沖地震で南部鉄道が被災し廃線になると、1970年には社名を「南部バス」に変更しバス事業に一本化。
2001年からは八戸市郊外のショッピングセンター「ラピア」(サンバード長崎屋八戸店)に「八戸ラピアバスターミナル」を開設し、同社の路線バス、高速バスの発着拠点となった。
八戸ラピアバスターミナル。
しかし、近年はバス利用者の減少などに伴い売上高が低迷。 2015年3月期の債務超過額は約22億円にのぼるなど、慢性的な赤字が問題となっていた。
2016年11月、東京地裁に民事再生法の適用を申請。即日受理され、同社は事実上の倒産となった。申請時の負債総額は約26億円とみられている。
12月にはみちのりHD傘下の岩手県北自動車への事業譲渡契約を締結した。
みちのり傘下の岩手県北自動車に譲渡-バス名は維持
南部バスの全事業を引き受ける岩手県北自動車(岩手県北バス)は1943年設立。盛岡市をはじめ宮古市や岩手県北部などにバス路線を持つなど、岩手県交通とともに岩手を代表するバス事業者となっている。
一方の岩手県北バスの経営も厳しく、2009年に民事再生法の適用を申請、その後2010年4月からは「みちのりホールディングス」(千代田区)の傘下となった。岩手県北自動車。
みちのりHDは経営共創基盤傘下の公共交通事業者などの経営支援をおこなう持株会社で、岩手県北交通、関東自動車、茨城交通、会津バス、湘南モノレールを傘下に持っている。
なお、今回の事業譲渡に当たって「南部バス」のブランドは維持されるという。
外部リンク:南部バス株式会社
外部リンク:岩手県北バス
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