西門紅楼、2018年3月1日リニューアルオープン-台北の市場建築、築110年で

台北市萬華区の西門町にある歴史的建造物を活用した複合商業施設「西門紅楼」(西門紅樓、西門町市場)が全面改装され、3月1日にリニューアルオープンを迎えた。

西門紅樓。

築110年の市場建築、2000年代から改装を進めていた

西門紅楼は1908年に竣工。設計は近藤十造。2階建て(一部3階建て)で、入口部分にあたる八角形の「八角堂」と奥側の「十字楼」の2つの建物が接続される形となっており、西門町市場(新起街市場)を核とした複合商業施設として活用されていた。
西門町は日本統治初期における台北市の中心街で、多くの日本人が居住しており、当初は敷地内に稲荷神社も設置されていたが、神社は1945年に米軍からの空襲を受けて焼失している。

西門町市場(西門紅楼の展示写真より)。

1945年に中国国民党から建物が接収されると八角堂は「紅楼劇場」となり、中国大陸の京劇(平劇)などを上演、さらに1963年には映画館「紅楼戯院」となっていた。1990年ごろからは廃墟化が進み、映画館は1997年に廃業。一方、同年には古跡として文化財指定されている。
西門紅楼の転機となったのは2000年に起きた大火で、火災により敷地内にあったバラックと紅楼(主に十字楼)の一部が焼失。その後は修復と再開発をおこない、劇場とショップが入居する空間として生まれ変わっていた。
2008年には台北市都市景観大賞の歴史空間活性化賞を受賞、2009年にはアートイベントが開催されるなど、再び西門町エリアの象徴的存在となっている。

現在の西門町。

台北市が1年半かけて全面改装-歴史紹介など充実

今回の全面改装は台北市が5000万台湾ドル(2億円弱)をかけて2016年8月から進めてきたもの。
 改装の目玉は十字楼部分にあるセレクトショップ「紅楼選品」エリアのリニューアル。ショップ内では、MIT(メイドイン台湾)製品を数多く取り揃えるほか、紅楼グッズを販売。また、故宮博物院のショップも出店している。
同エリアでは定期的にワークショップも開催されており、気軽に台湾アートなどに接することもできる。

十字楼部分。MITグッズ店や故宮ショップなどが出店。

また、八角堂1階にある西門紅楼の歴史などを紹介する展示空間は内装を含めて全面改装が行われており、創建当初の日本統治時代の設計図や写真が多く展示されるなど充実化。
八角堂1階にはカフェ「紅楼茶坊」もリニューアルオープンしたほか、オールジェンダートイレも設置された。

八角堂部分。以前より明るい雰囲気となり、展示スペースにカフェも。


八角堂では主に同館の歴史を紹介。日本時代の写真も多く展示。

今回の改装に合わせて屋上の看板が撤去され、入口看板は創建当時の市場の看板をイメージしたものへと改められた。

屋上にあった看板を撤去、日本時代の看板をイメージした形状に。

近年、西門紅楼の附近には若者向け、観光客向けの飲食店も増えて賑わいを増しており、同館のリニューアルにより歴史ある中心地・西門町はますます魅力を増すこととなろう。

西門紅楼

住所:台北市萬華區成都路10號(西門町)
営業時間:11:00~21:30、休日前は22時まで、月曜定休

外部リンク:西門紅樓
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