大手ドラッグストア「マツキヨココカラ&カンパニー」(本社:東京都文京区)は中間持株会社「アンドカンパニー」(本社:同上)を介して、福岡地場大手ドラッグストア「新生堂薬局」を2025年10月1日付で買収(完全子会社化)する方針を8月13日に発表した。
福岡地場大手として着々と事業拡大進めた「新生堂」
新生堂薬局は1978年11月に福岡市南区大橋で創業、1984年3月に法人化した。同社は長らく福岡県を中心にドラッグストア「ドラッグ新生堂」「くすりのハッピー」と調剤薬局「新生堂薬局」「ハッピー薬局」を展開する地場企業であったが、2018年4月にアウトレット新業態「エコレットプラス」事業を開始するなど事業領域を多角化。
同月中に東京都葛飾区に調剤薬局首都圏1号店を開店し、2023年7月には大田区の「アサヒ薬局」を系列下に収めるなど拡大戦略に取組んでいる最中であった。一環として、同年9月には九州最大級のオープンモール「トリアス」にアウトレット旗艦店「エコレットプラストリアス久山店」を開店している。
新生堂薬局大津店(熊本県菊池郡大津町)。
新生堂薬局と同様、九州を本拠とする独立系ドラッグストア各社のなかでも「コスモス薬品」(2025年5月期/売上高:1兆113億9,000万円)、「ナチュラルHD」(2025年3月期/売上高3,118億円/ドラモリ単体売上高2,127億円)、「大賀薬局」(2024年9月期/売上高346億5,800万円)と比べれば事業規模は小さいもの、福岡地場大手として高い知名度を誇っている。
同社の2024年9月期の売上高は287億3100万円(子会社との単純合算)、2025年8月現在の店舗数は119店舗(ドラッグ+調剤+エコレットで151店舗)。
新生堂、マツキヨココカラ新設中間持株会社介して傘下に
マツキヨココカラ&カンパニーは2021年10月1日の「マツモトキヨシ」「ココカラファイン」経営統合の一環として設立。2024年4月には東京都区部の同業「ケイポート」を買収、同年12月に化粧品メディア運営会社「AppBrew」を買収、2025年5月に京王線沿線地盤の同業「ティー・エム・シー(屋号:丘の上薬局)」を買収したが、現体制への移行後は同業と比べM&Aに出遅れていた。
同社による新生堂薬局の買収(完全子会社化)は、2025年8月1日付で新設した中間持株会社「アンドカンパニー」を介して行うもので、アンドカンパニーが新生堂薬局創業家2名(水田怜・水田かおる)及び創業家資産管理会社「SHIP」(本社:福岡市南区)より新生堂薬局全株式(1,438株)を取得するかたちで系列下に収める。
旧マツキヨ系/ココカラ系と異なる独自性維持
マツキヨココカラ&カンパニーは新設中間持株会社に関して「アンドカンパニーは、マツモトキヨシグループ、ココカラファイングループの両中間持株会社とは異なるグループ」「各社の独自性を発揮していただくため、一定の地域における優位性を持った仲間(企業)を当社グループに迎え入れる組織」と位置付けており、マツキヨココカラ系による新生堂薬局の完全子会社化後も旧マツキヨ/旧ココカラ系買収企業と異なり、一定の独立性が維持される見込みとなっている。
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