旧高千穂鉄道の廃線跡撤去が本格化し、高千穂駅も近いうちに解体される方針であることが分かった。
高千穂鉄道、撤去本格化
高千穂鉄道は延岡-高千穂間を結ぶ第三セクター鉄道で、旧国鉄高千穂線。熊本方面への延伸工事も行われていたが、水脈を分断したことによる大規模な出水事故と国鉄再建法により工事は中止され、1989年に第三セクター化された。
高千穂鉄道となったのちは快速列車やトロッコ列車の運行も行い、観光客に人気の路線となっていた。しかし、2005年9月6日の台風水害により全線不通となり、そのまま廃止となった。
旧高千穂駅。
現在も鉄道設備の多くはそのまま残されており、高千穂駅舎も地元住民の反対などにより解体が延期されていたものの、地元メディア・ケーブルメディアワイワイによると、老朽化が著しく、高千穂町は早ければ本年度内にも解体する方針を固めたという。
延岡側においても鉄道施設の撤去工事が進んでおり、行縢橋梁なども本年度内に撤去される予定。
当時のまま残る高千穂駅構内。
駅設備も、既に延岡駅、行縢駅、日向岡元駅、川水流駅の撤去が完了したほか、来年度は西延岡駅、上崎、早日渡駅の撤去が予定されており、2020年頃までに駅舎や線路、橋梁などの解体撤去はほぼ終了する予定。
一方で、解体された駅跡地の有効活用は進んでおらず、2015年現在は川水流駅跡が多目的広場として整備されたのみとなっている。
線路やホームが残る西延岡駅。
なお、温泉施設がある日之影温泉駅は撤去されずにそのまま利用されているほか、高千穂あまてらす鉄道による高千穂-天岩戸間のトロッコ列車運行は今後も継続して行われる。
また、日向八戸駅-吾味駅間は遊歩道として整備されており、土木遺産となっている吾味駅近くの第三五ヶ瀬川橋梁も撤去しない方針となっている。
高千穂駅は現在、トロッコの発着駅となっており、また、地元民や観光客からは解体しないで欲しいという声も大きいため、今後の推移が注目される。
※現地取材と「ウイング2015年9月号」(ケーブルメディアワイワイ発行)による。