スーパー玉出、スマホ決済「PayPay」を2019年10月13日から全店導入-「脱・現金」でインバウンド需要獲得目指す

大阪府南部地盤の地場大手食品スーパー「スーパー玉出」(大阪市西成区)は、YahooとSoftbankが主導するスマホ決済サービス「PayPay」を2019年10月13日から導入した。

スマホ決済導入を告知するスーパー玉出公式ウェブサイト。

西成を代表するスーパー、2018年に新体制に移行していた

スーパー玉出は1978年に大阪市西成区で創業。
日本一の安売王」を自称し、「1円セール」(一部商品は条件有)を代表する廉価販売や多くの店での24時間営業を実施。
創業者である前田託次氏が持つインパクトの強さやパチンコ店を彷彿させるネオン管を多用した内外装、道頓堀への広告出稿などで、全国的な知名度を誇っていたが、競争激化による経営悪化のため、2013年以降新規出店の凍結と不採算店舗の整理を開始していた。

天下茶屋店に掲示された「玉出名物1円セール」のPOP。
24時間営業と合わせてセール実施の見直しが検討されている。

その後、スーパー玉出は2018年7月に鶏卵業界国内最大手「イセ食品」伊勢彦信会長が代表取締役(当時)を務める「アイセ・リアリティー」(台東区)傘下となる新会社「フライフィッシュ」(大阪市西成区)運営に移行したが、同年12月に同業者である前田託次氏が犯罪収益の収受の容疑で逮捕されたこともあり、2019年1月にアイセ・リアリティーが新会社の株式を「第三者へ全株譲渡」していた。
なお、2019年11月現在もアイセ社湯本正基代表取締役がスーパー玉出社長を兼任、アイセ社柳喜之代表取締役がイセ食品グループの社長を兼任するなど、各社間の資本関係が消滅した現在も人的交流が行われている。

スマホ決済導入で訪日外国人観光客のさらなる獲得目指す

スーパー玉出は2018年7月の新体制への移行以降、経営不振の一因ともなった24時間営業店舗の縮小(18年7月当時41店舗→19年11月現在35店舗)を進めている。
その一方で、訪日外国人観光客のインバウンド消費需要に対応した「外貨両替機設置店」の設置や全国的な知名度を持つブランドイメージを活かしたオリジナルエコバッグの販売、大阪のご当地おばちゃんアイドルグループ「オバチャーン」のMV撮影協力など、積極的なメディア戦略や観光客取込み施策を打ち出している。

スーパー玉出の24時間営業店舗。(大阪市北区)

スーパー玉出はPayPayの導入に合わせて、中国で高いシェアを誇る阿里巴巴(Alibaba)グループのスマホ決済「支付宝(Alipay)」も導入しており、今後も「スーパー玉出らしさ」を残しつつ、客層拡大に向けた戦略を推し進めていくものとみられる。

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