三越伊勢丹HD、エムアイフードスタイル再取得を2022年4月発表-クイーンズ伊勢丹・二幸など運営、4年ぶり完全子会社化

大手百貨店「三越伊勢丹ホールディングス」は、三菱系投資ファンドから食品卸売小売会社「エムアイフードスタイル」株の66.6%を取得し、同社を完全子会社化する方針を2022年4月26日に発表した。

首都圏を代表する百貨店系高級食品スーパー

エムアイフードスタイルの前身となる三越系の高級食品卸「二幸」は1927年7月に創業、伊勢丹系の高級食品スーパー「伊勢丹ストアー(多摩平会館/後のクイーンズ伊勢丹)」は1960年11月に創業。両社は2008年4月の三越伊勢丹HD設立にあわせて、2011年4月に三越伊勢丹HD傘下の食品中核会社「三越伊勢丹フードサービス」として経営統合した。
三越伊勢丹フードサービスは長らく、首都圏を代表する百貨店系高級スーパーの一角を占めており、近年は駅ビル向け小型店舗「クイーンズアイ」など新業態の開発にも取り組んでいたが、同業他社との競争激化や店舗網・ギフト需要の縮小が重なり、2016年度の売上高は497億円と業績低迷傾向にあった。

クイーンズ伊勢丹大宮店。(現在は閉店)

そのため、2017年10月に三菱系投資ファンド「丸の内キャピタル」(三菱商事・三菱UFJ銀行出資)設立の現法人への事業譲渡と将来的な株式再取得方針(5年後目処)を発表。2018年からは丸の内キャピタル系ファンドが株式の66%、三越伊勢丹が株式の34%を出資する現体制となり、成城石井の再建を手掛けた丸の内キャピタル主導のもと、店舗運営の効率化やリモデル、商品開発強化を打ち出した。

再取得する新たな提携先の選定も視野に

エムアイフードスタイルの2021年3月期の売上高は428億円。
2022年4月現在は主力業態の高級食品スーパー「クイーンズ伊勢丹」18店舗に加え、グローサラント型食品スーパー「FOOD&TIME ISETAN」品川店1店舗、惣菜専門店「harvest deli」1店舗、百貨店内生鮮・グロサリーショップ「精肉の二幸」「鮭と魚卵の二幸」「魚勢」など5店舗13ショップを展開する。また、同業高級食品スーパー(北野エースなど)のPB商品受託開発や自社開発商品(新宿二幸ブランドなど)の外販など行っている。

クイーンズ伊勢丹横浜店。
横浜のFOOD&TIME ISETANは2021年に三越伊勢丹直営となった。

三越伊勢丹HDによるエムアイフードスタイルの再取得は「事業再生計画に一定の目処が立った」「(同社グループ中期経営計画“高感度上質”戦略に基づく)高感度上質“拠点ネットワーク”に寄与する」ためとしているが、同社はこれにあわせて「更なる発展・飛躍を目的に、最適な事業パートナーの選定などあらゆる選択肢についての検討を開始」する方針を示している。エムアイフードスタイルの売上高は旧体制から引続き減少傾向にあり、業績改善に向けた新たな提携先との資本業務提携も考えられるだろう。

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