大沼、企業再生ファンドに経営譲渡で再建へ

山形の老舗百貨店「大沼」(山形市七日町(なぬかまち))が、東京の企業再生ファンドに経営権を譲渡し、経営の立て直しを図る方針を固めた。
P1050047-
大沼百貨店山形本店。

創業318年の老舗百貨店

大沼は1700年に創業。1950年に百貨店となった。
1970年には支店として米沢店、1971年には酒田店を出店し、経営規模を拡大した(酒田店は酒田大火により移転、その後ダイエーに譲渡され閉店)。
2017年現在は、山形本店、米沢店、新庄ショップの3店体制となっている。

大沼百貨店米沢店。

しかし、近年は郊外店との競争に加えて、仙台市の百貨店との競争も激化。伊勢丹から役員を受け入れるなどの改革を行ったものの、2013年ごろから道路拡張のために本店の駐車場が大幅に縮小された影響もあり売り上げは低下。さらに山形本店(1956~1971年築)、米沢店(1970年築)はともに老朽化が激しく、耐震化の費用負担も重荷となっていた。
2016年度の年商は山形本店が約66億円、米沢店が約16億円。地元紙・山形新聞によると、全店舗合わせた2017年2月期の売上高は約85億円で4期連続の経常損失だった。

中三盛岡店など再生に関わったファンドに経営権譲渡へ

大沼に新たに出資するのは、企業再生ファンドの「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(MTM社、東京都)。
同社はこれまでも旧・中三盛岡店(現:ななっく)や、ヤマトヤシキ(姫路市、MTM社仲介のもとラオックス傘下で経営再建へ)といった百貨店の再生事業に関わって来た実績がある。
大沼はMTM社から数億円の増資を受け、同社に経営権を譲渡。MTM社主導で店舗の改装をおこなう。
山形市では、長年ライバル関係にあったダイエー傘下の百貨店「十字屋山形店」が建物の老朽化のため2018年1月で閉店することを発表しており、十字屋の閉店は大沼の経営にも少なからず影響を与えることになる。

閉店を発表している十字屋山形店。

大沼も老朽化のため大規模な改装が避けられない状況となっており、今後どういった手法での経営再建を行うのかが注目される。

外部リンク:大沼
ニュースリリース:株式会社大沼に対する事業スポンサー支援について
関連記事:十字屋山形店、1月31日閉店-全国最後の十字屋デパート

関連記事:山形セブンプラザ、再開発で解体へ-再開発に期待かける七日町(1)
関連記事:店舗撤退で公共化進む山形・七日町、AZも公共化検討へ-再開発に期待かける七日町(2)

このエントリーをはてなブックマークに追加