トスク本店、2023年9月30日18時閉店-Aコープ系・鳥取生活センターから55年の歴史に幕、全店閉店

鳥取県鳥取市のJR鳥取駅近くにあるJA鳥取いなばグループ(本社:鳥取市)の大型総合スーパー「トスク本店」が2023年9月30日午後6時をもって閉店した。

鳥取県内有数の複合施設だった「鳥取生活センター」

トスク本店は1968年11月に鳥取市農協(現JA鳥取いなば)の複合商業施設「鳥取生活センター」として開業。開店当初の建物は地上4階建で売場面積は約1,800㎡。
鳥取生活センター本店は当時の鳥取市内では珍しく、物販機能に加えて食堂や結婚式場、料理教室、友の会、著名タレントによる歌謡ショーといったサービスを提供。あわせて、婦人服フロアの刷新や家電量販店(ベスト電器→エディオン)のFC展開、駐車場の整備など、時代の変化に応じたリニューアルを実施することで、鳥取を代表する地場流通大手の旗艦店として発展することとなった。

鳥取市中心部では貴重な100円ショップ「ダイソー」大型店も。
農協内だけあって園芸用品が豊富だった。

店名も「Aコープトスク」から「トスク」へ

鳥取生活センター本店では店舗設備に加え、1988年3月の新装開店を機に新ブランドを冠した「TOSC鳥取生活センター本店」に、1995年10月の鳥取県東部農協経営統合にともない「Aコープトスク本店」に、2001年8月の店舗部分社化にあわせて「トスク本店」に店名変更する。
トスク本店は運営母体の再編や消費生活者の需要の変化にあわせて店舗イメージを刷新を繰り返したもの、鳥取県民の生活を支える場所としての役割を一貫して担い続けた。

最盛期20店舗超抱えたトスク、全店閉店

トスクは1972年7月の稲葉店を皮切りにチェーン展開を開始。1995年10月の鳥取県東部農協経営統合により各農協系食品スーパー「Aコープ」を引継ぐことで、鳥取県東部に20店舗超という店舗網を敷くこととなったが、店舗の大多数が競争力に乏しい狭小店舗であったため、2000年代以降店舗整理を余儀なくされた。

店舗整理の過程で市中心部に近い支店は吉成店のみとなった。

その後、JA鳥取いなばグループによるトスク廃業の方針により、2023年7月31日には「トスク佐治店」「トスクふなおか店」の2店舗が閉店。同年9月31日午後1時には「トスク吉成店」「トスク丹比店」「トスク用瀬店」「トスクちづ店」「トスク若桜店」「フレッシュライフいわみ」の6店舗が閉店していた。

地域に愛されたトスク、55年の歴史に幕

トスク本店閉店当日となる2023年9月30日は、昼過ぎから雨模様となったが、店内では催事イベントの服飾雑貨発掘に勤しむ若者や衣料品フロアでのマネキンや事務用品の処分販売を気にする女性客、子供連れで記念写真を撮るファミリー、閉店を惜しむ常連客で賑わいをみせた。

閉店当日昼過ぎのトスク本店。

トスク本店では閉店時刻となる18時に閉店式典を開催。夕方から激しい雨となるも大勢の買物客に囲まれ、55年の歴史に幕を下ろした。

大雨のなか大勢の買物客に囲まれ、55年の歴史に幕を下ろした。

一部専門店営業継続するも解体後の活用方針は未定

トスクは2023年度中に閉店する全9店舗のうち、7店舗の譲渡交渉を進めているが、道の駅きなんせ岩美隣接の「フレッシュライフいわみ」(岩美町)と旗艦店である「トスク本店」(鳥取市)に関しては譲渡交渉対象外としている。
トスク本店では2024年の建物解体まで家電量販店「エディオントスク本店」(トスクFC)を始めとする専門店の一部に加え、母体である農協窓口「JA鳥取いなば行徳本店」が営業を継続する方針を発表しているが、現時点において跡地活用の具体的な方針は定まっていない。

JA鳥取いなば行徳本店貯金課による営業継続の案内。

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