2020年12月に廃業し、破産申請をおこなっていた北海道夕張市の旧JR夕張駅周辺にある大型複合リゾート施設運営「夕張リゾート」の破産手続きが、2021年2月1日に開始決定された。
夕張リゾート(公式サイトより)。
中国資本が買収、インバウンド誘致に力を入れていた
夕張リゾートを構成していた各施設は、近隣で炭鉱を経営していた大和鉱業によって冷水山の麓に1980年代から順次開業。その後、1988年に松下電器(現:パナソニック)傘下の「松下興産」が買収、バブル景気によってさらに整備が進み、1990年にはJR夕張駅(2019年廃線)がホテルマウントレースイ前に移転した。
しかし、バブル崩壊後の経営難から2002年に夕張市が主体の第三セクター「夕張観光開発」の運営となり、2007年に夕張市が財政破綻したのちは加森観光(札幌市)に経営委託された。
2017年には、中国系企業「元大リアルエステート」に売却、さらに2019年には香港ファンド「グレートトレンド」の所有となったが、以前と変わらず運営は続けられており、レストランでは夕張メロンなどの名物を食べることもできるとあって国内外の多くの観光客に親しまれた。
マウントレースイスキー場(公式サイトより)。
夕張リゾートは、2019年時点は夕張市内でスキー場「マウントレースイスキー場」、宿泊施設「ホテルマウントレースイ」、「ホテルシューパロ」、「合宿の宿ひまわり」などを運営。中国資本となって以降はインバウンド客の取り込みに力を入れており、近年はアジア系の外国人観光客からも大きな人気を集めていた。
また、夏は避暑地としても人気で、スキー場では夜景観賞ゴンドラの運行もおこなっていた。
位置図・スキー場案内図(公式サイトより)。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により経営環境が一気に悪化したとみられ、2020年春から一部休業。夕張メロン食べ放題ランチ等の企画をおこなっていたものの、2020年12月上旬にスキー場の営業再開延期を発表、12月24日に閉館・廃業、破産申請するに至った。負債総額は約5億円。
夕張市の「産業構造転換の象徴」は、炭鉱閉山から30年で幕を下ろすこととなった。
今後は土地や建物の売却などがおこなわれるとみられるが、コロナ禍での経営破綻ということもあり、先行きは不透明なものとなっている。
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