アークスとオータニ、経営統合に向け2020年11月17日に合意書締結-北海道大手、栃木のスーパーを傘下に収め「首都圏初進出」

大手流通グループ「アークス」(北海道札幌市中央区)は、栃木県地盤の地場大手食品スーパー「オータニ」(栃木県宇都宮市)を完全子会社化する形での経営統合に向けた基本合意書を2020年11月17日に締結した。
今回の基本合意に基づき、両社は経営統合の具体的な方法やスケジュールを協議・検討、2021年1月を目処に最終契約を締結、同年3月を目処に経営統合をめざす。

北海道・東北を代表する流通大手、栃木地場大手を傘下に

アークスは、1961年10月に北海道札幌市で「ダイマルスーパー」(大丸スーパー)として創業。1989年3月の「丸友産業」(金市舘)との経営統合により「ラルズ」に社名変更、2002年11月の「福原」との経営統合に伴う「アークスグループ」発足により現社名に変更、純粋持株会社に移行した。
創業以来長らく北海道内のみに店舗を展開していたが、2011年10月の「ユニバース」買収を機に東北地方に進出。2019年9月の「伊藤チェーン」(本社:宮城県)買収により、南東北での店舗網強化を図るなど、さらなる南下に向けた足がかりを築いていた。
2020年2月時点では、北海道・東北地方で総合スーパー「ラルズプラザ」「東光ストア」(旧札幌東急ストア)、食品スーパー「スーパーアークス」「ラルズマート」「ビッグハウス」など345店舗を展開する。

アークスラルズプラザ。(北海道札幌市)

オータニは、1946年6月に栃木県宇都宮市で「大谷商店」として創業。1970年にスーパー1号店を出店、1982年9月に現法人を設立した。
2020年11月現在は、スーパー創業当初からの業態「スーパーオータニ」13店舗、”本物志向”ニーズへの対応を謳う「フードオアシスOTANI」18店舗、あわせて31店舗(栃木30店舗、埼玉1店舗)を展開する。

フードオアシスOTANI。(埼玉県幸手市)

同社は栃木県内において、エコス28店舗(たいらや26店舗含む)、とりせん20店舗、かましん20店舗、ベイシア15店舗を大きく上回る30店舗を展開するが、消費増税や新型コロナ感染拡大を発端とした消費行動・ライフスタイルの変容により、経営環境を見通すことが困難な状況となったことから、経営基盤や企業体質強化を目的に経営統合の検討に至ったという。
経営統合により、アークスが持つ商品調達力や店舗運営力、情報システムなどの経営インフラ、展開力といったグループシナジーの享受をめざすとしている。

アークス、首都圏初進出へ-更なる拡大は?

アークスグループは、2018年12月に緩やかな資本業務提携を柱とした「新日本スーパーマーケット同盟」を東海地方地盤の「バローHD」、西日本地盤の「リテールパートナーズ」とともに設立。同盟発足以前と同様に、各社は各地域の地場流通大手として、それぞれ積極的な事業拡大を打ち出していた。
アークスは同盟に参加する他2社に先駆け、栃木地場大手のオータニを買収することで、スーパーマーケット業態ではいち早く関東進出を果たすことになる。
関東地方・首都圏においても、出店地域や影響力の拡大を図ることができるか、オータニとの経営統合は今後の鍵となりそうだ。

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