大沼、再び「地元資本」に-2019年3月から、企業再生ファンドとのトラブルで

企業再生ファンド「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(MTM社、東京都)の下で再建中であった山形県山形市の百貨店「大沼」の経営権を、2019年3月中に同社幹部が設立した新会社が取得したことが明らかになった。
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大沼山形本店。改装予定だったが計画どおりに進んでいない。

創業318年の百貨店、経営難でファンド傘下となったが…

大沼は1700年に創業。1950年に百貨店となった。
1970年には支店として米沢店、1971年には酒田店を出店し、経営規模を拡大した(酒田店は酒田大火により移転、その後ダイエーに譲渡され閉店)。
2019年現在、大沼は山形本店、米沢店、新庄ショップの3店を展開する。

大沼百貨店米沢店。

同社は仙台市の百貨店などとの競争に加えて耐震補強・店舗改装に多額の資金が必要になることから、2017年に企業再生ファンド「MTM社」の傘下となり、その資金を活用して支店である米沢店の改装などが行われていた。
しかし、最近はMTM社による資金供給が予定通り行われておらず、計画されていた本店の改装などができない状態であるとされ、大沼経営陣とファンド側との対立が起きていたという。
さらに、MTM社は資金面の問題から傘下に収めた盛岡市の複合商業施設「ななっく」(旧中三盛岡店)を6月2日に閉館させることも決めており、大沼についても今後が不安視されていた。

閉館を決めたななっく。

大沼幹部らが新会社を立ち上げ-再び地元資本に

大沼の経営権を引き継いだのは、同社の幹部ら9人が立ち上げた「大沼投資組合」。MTM社出身の社長ら5人は解任されることとなった。
再び地元資本に戻った大沼であるが、具体的な再生計画などはまだ発表されていない。特に稼ぎかしらである本店の早期改装は必須であると思われ、今後の動向が注目される。

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