兵庫県神戸市の総合スーパー「ダイエー神戸三宮店」が2月24日に全面リニューアルし、改装工事が行われていた2~9階が「三宮オーパ2」(三宮OPA 2)となって2月24日にグランドオープンした。
新たなフォントのロゴを掲げた三宮OPA2。
新生OPA1号店、ダイエーのお膝元に誕生
三宮OPA2の延床面積は17,600㎡、総賃貸面積は11,700㎡(2~9階)。
施設コンセプトに「今日が、明日が楽しくなる“ゴキゲンCHARGE STATION”」を、店舗広告に「マイニチ ヨリミチ」を掲げ、駅前立地を活かし、デイリーユースを想定した女性ターゲットの施設を目指した。
三宮駅とペデストリアンデッキを通じて接続する2階「ファッション&ライフスタイルグッズ」のフロアには、グロサリー専門店久世福商店が展開する和カフェ「久世福茶寮」が近畿初出店。「万能だしのだし玉うどん」や「老舗あんこのあんみつ」など、日本全国のうまいものを取り揃えるという久世福のコンセプトを体現したようなメニューが提供される。
衣料・雑貨テナントとしてはワールドの「groove」、アダストリアの「studio clip」(スタジオクリップ)、芦屋のインテリア雑貨店「ル・グラン・トレザワ」が手掛けるヨーロッパのアンティーク雑貨専門店「Dentelliere」(ダンテリエール)などが出店する。
2階のダイエー神戸三宮店管轄フロアには「スターバックス」「サンマルクカフェ」などが出店しており、一大喫茶店ゾーンが形成されることとなった。
久世福商店を併設する和カフェ「久世福茶寮」。
3階「ビューティケア&リラクシング」のフロアには、美と健康に特化した品揃えが特徴の「イオンボディ」、化粧品通販会社「Kagami」の直営店、オーダーメイド枕専門店「ピロースタンド」が近畿初出店。三重発のインテリア雑貨「ルナワールド」も出店する。
4階「ベーシック&カジュアル」のフロアには「ASBee」「Right-on」「Honeys」など比較的低価格志向のアパレル、シューズテナントが出店。三宮OPA2の客層に合わせた売場づくり、商品展開が行われる。
開放感あるフロアづくりが特徴の4階。
5階「ホームコーディ(ホームファッション&クラフト)」のフロアには、イオンが新たに専門店化を推し進めるホームファッションブランド「HomeCoody」1号店と、手芸専門店「パンドラハウス」が出店。
HomeCoodyは、「ACCENTUATION(暮らしにアクセント)」をコンセプトに掲げ、生活雑貨や文具用品などを展開。パンドラハウスは三宮OPA2の客層に合わせ、「スイーツデコ」「DIY女子」などテーマ性のある講習会を開催するなど提案型の店舗を目指すという。
6階、7階には以前から出店していた登山用品に強みを持つアウトドア専門店「IBS石井スポーツ」、大型書店「ジュンク堂書店」がそのまま営業を続けている。
レストラン街は4倍の16店舗に
8階、9階はレストラン街「PATIO THE DINER」としてフロアを展開。
面積は改装前の約2倍に拡大し、店舗数は改装前の約4倍となる16店舗に増加した。
「お米の新しい可能性を探る」をコンセプトに掲げた「日本酒バル・米屋 イナズマ お米研究所」、健康バランスを重視した食事を提案する「おぼんdeごはん」、イオンモール堺鉄砲町に1号店を出店以降好評を博している「カプリチョーザ ピッツァ&ビュッフェ」など個性豊かなテナントが新規出店したほか、ダイエー時代から継続して「英國屋」「しゃぶ扇」なども営業する。
緑に包まれたレストラン街「パティオ・ザ・ダイナー」。
「マイニチ、ヨリミチ」目指したこだわりの店舗に
開業当日の記念式典でイオンモール吉田昭夫社長は「ホームコーディは生活雑貨、カルチャーのイオン1号店」「従前のダイニングの8階9階と、今回の8階9階を比べると全く違う施設になっている」と強いこだわりを見せており、神戸市担当者も「間違いなく役所の職員は、それこそマイニチ、ヨリミチして帰る」と冗談を交えながら語った。
開業当日の記念式典には多くの神戸市民が足を運んだ。
新しい「OPA」、ファッションビル・総合スーパーの未来担うか
新生OPA1号店「三宮OPA2」開業以前のOPAは、10~20代女性をメインターゲットとする渋谷109系、原宿系アパレル中心の店舗構成が特徴で、米国発のスタイリッシュな猫キャラクター「フレンチキティ」を各種広告に採用するなどし、現在でも関西圏のヤング層を中心に根強い支持がある。
しかし、今回の新店舗では既存店「三宮OPA」のような従来型OPAとは異なる食物販、デイリー重視のフロア構成となった。
こうした路線転換は、ファストファッションが台頭し、かつて隆盛を誇ったDCブランドなどのアパレルが次々と不振に陥るなかで、「ファッションビル」から「都市型ショッピングモール」への転換を図るというOPAの新戦略の象徴ともいえる。同じく「デイリーユース」重視の売場に転換した聖蹟桜ヶ丘OPA。
「ブックオフ」や「ニトリ」が出店する(東京都多摩市)。
近年はOPAの旗艦店「心斎橋OPA」でもこうした手法が採られており、2015年の改装時に地下2階の大部分をグロサリー、ベーカリー、スイーツ専門店により構成される「食物販ゾーン」、7階をアニメ専門店、リアル脱出ゲーム会場により構成される「サブカルチャーゾーン」に転換、8階の輸入古着店「HANJIRO」跡を旅行代理店「H.I.S」とするなど、アパレル比率を減らしつつある。
一方で、今回開業した三宮OPA2は、都市型総合スーパー「ダイエー神戸三宮店」の直営衣料・雑貨フロアからの転換であり、その流れとして、イオングループが「ホームコーディ」「パンドラハウス」「ASBee」などのテナントをフロアに再配置していることも特徴だ。
イオングループは、今後も業績不振が続く総合スーパーや従来型のファッションビルを、こうした都市型ショッピングセンターとしての「OPA」に転換する可能性もあろう。
三宮OPAは数年内に閉店-ダイエー・OPA2も再開発検討へ
現在、三宮地区ではJR西日本、阪急阪神HDによる再開発が行われており、JR三ノ宮駅に併設された「三宮OPA・三宮ターミナルビル」も2018年を目処に閉鎖する計画が持ち上がっている。
(詳細は前記事を参照)
数年以内に閉館するとみられる三宮ターミナルビル「三宮OPA」。
JR西日本グループでは大阪駅ビル「LUCUA」(ルクア)の成功以降、関西地区での駅ビル事業の拡充や高架下商店街の管理強化を進めており、三宮ターミナルビルも建替後はJRが自社系商業施設の開設を目指す可能性がある。
また、今回「三宮OPA2」が開業したサンシティビル(ダイエー神戸三宮店)も、2020年以降に神戸市主導による再開発が検討されていることから、OPAが従来通り営業を継続できる施設は「三宮VIVRE」1施設に限られる可能性が高い。
一方で、この三宮VIVREも築48年と老朽化が深刻であり、今後もOPAが創業の地である神戸での店舗を維持できるのかは不透明なものとなっている。
追記:三宮オーパ閉店の記事はこちら
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外部リンク:「三宮オーパ2」2月24日(金)AM10:00オープン