ラスク販売大手の「シベール」(CYBELE、山形県山形市)が、2019年1月17日に山形地裁へ民事再生法の適用を申請、事実上倒産した。
シベールの「ラスクフランス」。
「ラスク」を銘菓へと育て上げたシベール
シベールは1966年に山形市で創業した老舗洋菓子店で、山形県や宮城県各地で洋菓子店やパン屋などを展開。1994年にそれまで売れ残ったフランスパンを加工して作っていた「ラスク」の通信販売を開始すると、贈答品やお取り寄せ商品として人気を呼び、売り上げを大きく伸ばすこととなった。
2004年10月には港区・南青山に直営のラスク販売店「麦工房」を開設して首都圏に進出、2005年7月にはジャスダックに上場。その後は日本橋三越本店や玉川高島屋といった有名百貨店にも出店し、店舗網をさらに拡大していくかに思えた。
シベール麦工房東京南青山店(閉店済み)。
ライバル店相次ぎ首都圏撤退-営業は継続へ
成長を続けていたシベールであったが、ラスク以外のヒット商品を生み出すことができない一方で、近年はシベールの後を追うかたちでラスク販売をおこなうライバル店も相次いで登場。
全体の売り上げは2008年8月期を、店舗売り上げは2013年8月期をピークに減少。2016年8月期から3期連続での赤字となっており、2018年3月には首都圏の店舗販売から完全撤退。首都圏で常設購入できる店は山形県アンテナショップのみとなった。その一方で、近年は地元・東北でのベーカリー併設店の展開に力を入れていた。
2016年9月に開業したベーカリー併設店「シベールの杜荒井店」(仙台市若林区)。
2018年8月期末時点の負債額は約19億6200万円。
同社が1月17日に行った記者会見によると、支援企業となる食品会社1社と協議中であり、従業員などは継続して雇用され、営業も継続する見込みであるという。
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