新風館、2016年3月閉館-歴史的建造物「旧京都中央電話局」、再活用めざし改装へ

京都府京都市の烏丸御池にある歴史的建造物を活用したショッピングセンター「新風館」が3月27日に閉館し、15年の歴史に幕を閉じた。
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新風館。

逓信建築の面影を色濃く残したショッピングセンター

新風館の前身となる「京都中央電話局」は1926年に竣工。
設計は「東京中央郵便局」(KITTE)、「大阪中央郵便局」、「別府市公会堂」、「別府電報電話局電話分室」などで知られる吉田鉄郎によるもので、建築的価値が高い建物として京都市登録有形文化財の第1号として指定されていた。
1990年代初頭までNTTの関連施設(京都電電ビル西館)として利用されており、バブル期には大規模な再開発も計画されていたが、不況のあおりから、歴史的建造物を活かした低層の商業施設として活用されることが決定した経緯がある。

烏丸御池地区の商業施設のさきがけ

新風館」はNTT都市開発により2001年に開業。隣接する京都市役所前駅周辺に1997年に開業した地下街「ゼスト御池」とともに、従来オフィス街として位置付けられていた烏丸御池地区における大型商業施設のさきがけ的存在だった。
館内にはセレクトショップ「ビームス」を核に、アルマーニのセカンドライン「A/X Armani Exchange」、「ヴィレッジヴァンガード」、「crocs」、「DIESEL」などといった高感度なテナントが入居している。2010年からは新風館と同じくNTT都市開発が運営する「LAQUE四条烏丸」ともポイントカードの一体化といった共同販促を実施していた。

閉店を惜しむ声で埋め尽くされたヴィレッジヴァンガード

アートイベントも実施

「新風館」は四条河原町、京都駅など既存の中心商業地と離れていることから、アートなどのイベントを実施することで集客を図っていた。

Re-Cueホールでは多彩なイベントが開催されていた

施設中央部分の円形のステージ「Re-Cue(りきゅう)ホール」では、開業当初から地元FM局「α-STATION(FM京都)」による公開録音やライブイベント、更にはウェディングパーティーを開催。最近では現代芸術家として著名な村上隆の主宰するアート集団・カイカイキキの「ポップアップギャラリー」や、写真集やクラシックカメラを販売するアートセレクトショップ「PHOTO SQUARE」を開設しているほか、ローカルアイドルのライブも行われており、イベントを重視する商業施設として有名になっていた。

15年分の伝えたい

外壁を残しつつ再開発へ-再生めざす

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「近畿電気通信局管内自動式電話交換創始ゆかりの地」

閉館後の「新風館」は再開発される予定となっている。
再開発工事は2016年中に着工され、文化財指定を維持するために外観の大部分を保存しつつ、建物を増築する。
2019年度中には、外観はほぼそのままに、ホテルを核とする複合商業施設として生まれ変わる予定となっている。

外部リンク:新風館
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