東京都豊島区の池袋駅西口にあるファッションビル「池袋マルイ」(丸井池袋店・マルイシティ池袋)が、2021年8月29日午後6時30分過ぎに閉店した。
営業最終日の池袋マルイ。
池袋の丸井、69年もの歴史に幕
池袋への丸井の進出は1952年1月、池袋駅東口の都道池袋架線橋の降り口付近に6階建ての店舗として開業。その後、1963年11月には池袋駅西口にも店舗を開業し、東口・西口の2館体制で営業していた。
現店舗は池袋西口共同ビルに「丸井ニュー池袋西口店」として1977年2月25日に開店。開店時西口・東口に既存店があったため、このような名称で出店した。(東口の店舗は代替閉店)。
キャッチコピーは「半日遊びに来ませんか。新しい丸井です。」で、当時は丸井の店舗の中で最大の売場面積だった。建物は日本土地建物が所有する。売場面積は12,170㎡。かつては近隣の家具店「丸井インザルーム池袋」など複数の別館があったが、いずれも閉店している。
在りし日の池袋マルイ。
2021年現在は「池袋マルイ」として営業(看板は「マルイシティ池袋」のまま)。丸井直営売場のほか、GAP、モンベル、グローバルワークなどファッション店舗に加え、仏壇・仏具光雲堂、セリア、カメラのキタムラ、ココカラファインなど雑貨店や生活に便利な店舗など様々なテナントが出店する。
また、かつて飲食店と売場であった8階は2014年から「ビックカメラ」「コジマ」が池袋本部のオフィスとして利用している。
閉店理由は競争激化と老朽化に伴うもの
池袋マルイはファッションビルでありながらも100円ショップや輸入食材店など業態に絞られないテナントの導入、池袋はアニメやゲームの街であることに合わせ、サブカルチャー関連のイベントやショップに力を入れるなど、地域密着型の店舗として愛されてきた。
しかし、2020年3月期の売上高は54億円とピーク時の2割まで激減。近隣の商業施設との競争激化による売上低下に加え、建物の老朽化が進んでいるため営業終了を2020年10月に発表していた。
建物の老朽化により、閉店は新型コロナウイルスの感染拡大前より検討されていたものだという。
最終営業日、身動きもできないほど混雑
営業最終日となった8月29日の館内は朝から多くの客で賑わい、44年間の歴史と別れに名残惜しむように老若男女問わず幅広い客が訪れていた。特に地階から2階にかけては通路が客でごった返している状態であり、歩行が困難になるくらいの混雑ぶりであった。
多くの客で混みあう1階通路。
館内では「さよなら大感謝祭」と題してセールを全館で開催しており、それぞれお買い得品を求めて店頭に客が群がる光景があちこちで見られた。
お会計に行列ができている売場も。
更に4階のエスカレーター脇では「皆さまと共に池袋マルイヒストリー思い出写真館」と題し、44年前の開店当時からの懐かしい写真の展示や、ショップ店員が作った池袋マルイの段ボール模型の展示、昔の丸井CMの上映などが行われ、多くの客が立ち止まり記念撮影を行う姿が見られた。
更に近くの壁一面には同店が寄せ書きコーナーが設けられ、別れを惜しんだり、感謝を述べたメッセージが多数掲出されていた。
寄せ書きコーナー。ありがとう丸井の文字も。
営業終了の30分前から正面玄関の一部のシャッターが閉まり始め、正面玄関前には閉店の瞬間を見ようと多くの買物客が集まり始めた。
閉店間際にはほぼ売り切れた1階の輸入食品店。
6時15分過ぎに閉まり始めた正面玄関のシャッター。
午後6時30分過ぎには、高橋雄一池袋マルイ店長を始めとする従業員による閉店式典が開始。閉店式典において高橋店長は「44年に渡って営業できたのはご愛顧頂いた皆様のおかげであり、本当に感謝している。」「昨年9月の閉店発表以来、淋しい・悔しい気持ちもあったが、残り2年あるのでそれまでお客様に喜んでもらえるような商売を続けようと切り替え、今日まで来た。」と感謝の言葉を述べ、池袋西口商店街の方々から高橋店長に花束贈呈が行われた。
最後に「本当に地域の皆様とお客様に支えていただいた44年間でした。誠にありがとうございました。」との言葉で締めくくられた。
池袋マルイの最後の瞬間。
午後6時40分過ぎにシャッターが閉まって以降も買物客による記念撮影、感謝の言葉や拍手は鳴りやまず、正面玄関前は非常に混雑している状況が続いた。
閉店後の池袋マルイ。多くの人が残っていた。
池袋で相次ぐ閉店、再開発で「街の姿一変」も
閉店後の跡地活用は2021年8月現在まだ決まっていない。
建物は老朽化が進んでいたため所有者が建て替えを検討しているといい、解体され、近い将来に再開発がおこなわれる可能性も高いであろう。
池袋は他にも9月にサンシャイン通りの大型ゲームセンター「セガ池袋GiGO」の閉店や、10月に大型雑貨店「東急ハンズ」の閉店も発表されているほか、近隣でもアニメイト隣接地や「ハレザ池袋」など、大規模な再開発が完成、もしくは複数計画されている。
近い将来、西口「池袋の街」が一変する可能性もあり、今後の動向が注目されている。
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