カルフール、台湾大手スーパー「頂好wellcome」「JASONS」を買収-香港企業から2020年中に

フランスの流通大手「カルフール」(Carrefour)と、同店を香港や台湾で展開する「デイリー・ファーム」(牛奶國際)は、香港に本社を置く大手食品スーパー「ウェルカム」(恵康wellcome)の台湾事業「頂好wellcome」を買収することを、2020年6月に発表した。
(中文:在台灣經營「家樂福」的港資「牛奶國際」即起併購「頂好wellcome超市」「JASONS」。両店改名「家樂福」。)
ウェルカムの店舗(台北市)。

カルフール、香港大手スーパーの台湾事業を買収

恵康Wellcomeは1945年に香港で設立された食品スーパーマーケット。1964年に香港に本部を置く流通大手「デイリー・ファーム」(牛奶國際、1886年創業・本社:英国領バミューダ)の傘下となった。同社は現在は香港でセブン-イレブン、IKEA(台湾IKEA含む)などの展開もおこなっており、東インド会社を源流に持つ「ジャーディン・マセソン」を親会社とする。
台湾では「頂好企業」(本社:台北市)の運営する地場スーパー「頂好」を買収するかたちで「頂好Wellcome」として1987年に台北に1号店を開業。24時間営業・深夜営業をおこなっている店舗が多いことが特徴で、2020年現在は「頂好Wellcome」199店舗と、高級スーパー「ジェイソンズ・マーケット・プレイス」(JASONS MARKET PLACE)25店舗を構える。近年は、都心部のスーパーをジェイソンズに転換することも見られた。
なお、Wellcomeは日本にも1995年に西武セゾングループと提携するかたちで日本初の大手外資系合弁スーパー「ウェルセーブ」として進出したが、1998年に撤退している。

JASONS MARKET PLACEの店舗(高雄市)。

カルフールは1987年に台湾の流通大手「統一企業」との提携で「プレジカルPresiCarre・統一家楽福)」を設立して台湾に進出、1989年に高雄市に1号店を出店。カルフールのフランス法人系が株式の6割を、統一企業系が株式の4割を保有する。出店当初はショッピングセンター中心であったが、2006年には英国系の食品スーパー「テスコTESCO)」の台湾事業を買収するなどして店舗網を拡大。こちらも台湾では24時間営業・深夜営業をおこなっている店舗が多く、2020年現在は台湾で大型店・ショッピングセンター「カルフール(家楽福)」68店舗、中小スーパー「カルフールマーケット家楽福 便利購)」69店舗を展開する。台湾では、とくに小型店が中心であったテスコの買収以降は「便利購」業態の中小スーパーを大幅に増やしていた。

カルフール便利購の店舗。

牛奶國際、台湾で「IKEAとwellcomeの融合」ねらう?

カルフールによる頂好wellcomeの買収額は9700万ユーロ。2020年末までに全株式の取得をおこなう計画となっており、年末には台湾の「頂好wellcome」の店舗はカルフールの運営となる。また、同社の物流拠点(桃園市の「wellcome大園物流センター」など)についても取得する。そのため、今回の合併により、物流網を共通させることによる効率化で店舗網の拡大が図られることが予想されるほか、牛奶國際が台湾で展開しているIKEAとwellcome(もしくはカルフール)の「共同出店」もありうるかも知れない。
IKEAは現在、2021年の開業を目指してwellcomeの大園物流センターに近い桃園市中壢区青埔に新店舗を建設中である。同店の近くにはwellcomeやJASONSは出店しておらず「共同店舗の1号店」が実現する可能性もあろう。

経営規模を拡大する台湾カルフール-頂好店は改名

台湾のカルフールは、先述したテスコ以外にも2019年に台湾製糖系のスーパーマーケット「台糖量販TAISUCO」(台糖健康超市)を買収するなどして経営規模を拡大している。
台湾のカルフールは基本的に買収した店舗の屋号を「カルフール」に変更しており、wellcomeの店舗の屋号についても合併後は「カルフール/カルフールマーケット(便利購)」に変更する。
その一方で、カルフールは台湾では「JASONS」のような高級スーパーマーケットは展開していない。そのため、JASONSに関しては「カルフールトップスーパー家樂福頂級超市)」に改名する計画だという。

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