東京都港区にある東芝本社が入居する超高層ビル「浜松町ビルディング」(通称・旧名:東芝ビルディング)周辺の再開発概要が決まり、超高層ツインタワーとして生まれ変わることになった。
現在の浜松町・東芝ビルディングと東芝浜松町ビル(右低層)。
超高層ビルから超高層ビルへ-「東芝本社」建替プロジェクト
東芝ビルは1984年に完成。地上40階、高さ約169mの超高層ビルで、2013年に東芝本社機能の大部分が川崎市に移転したことに伴い「浜松町ビルディング」へと改称されている。(但し、登記上の本社所在地は当ビル(東京都港区芝浦一丁目1番1号)のまま)
所有者はNREG東芝不動産。同社は現在、野村不動産の傘下となっている(東芝が一部の株式を保有)。
東芝ビル周辺は2015年に国家戦略特区の都市再生特別地区に認定されており、野村不動産、NREG東芝不動産、東日本旅客鉄道(JR東日本)の3社による再開発が行われることが発表されていた。
再開発エリアには「カートレイン乗降場」も
再開発が行われるエリアは、現・東芝ビル周辺の約4.7haで、隣接する「東芝浜松町ビル」や、かつて車とともに移動できる寝台列車「カートレイン」の乗降場があったJR用地なども含まれる。
再開発予定エリア。(野村不動産HDウェブサイトより)。
超高層ツインタワーを建設-高さ235メートル
新たに建設されるビル(仮称:浜松町一丁目計画)は高さ約235mの超高層ツインタワーで、設計は幕張メッセなどを手掛けた槇文彦氏。
北側の「N棟」(仮称、地上47階・地下5階建て)、南側の「S棟」(仮称、地上46階・地下5階建て)で構成され、両ビルを合わせた延床面積は約55万㎡にも及ぶ。
ツインタワーの完成イメージパース(プレスリリースより)。
大型商業施設やホテルも-東芝のオフィスはどうなる?
新ビルの地下階・下層階は一体化され、大型商業施設や大型駐車場、機械室となるほか、S棟、N棟の中層にはオフィスが、N棟の高層階には住宅が、S棟の高層階にはホテルが入居する計画。
これまでショッピングスポットやラグジュアリーホテルが少なかった浜松町だけに(徒歩圏の竹芝にはインターコンチネンタルホテルがあるほか、再開発で新たなホテルの進出も計画されている)、これらの施設にかける期待も大きいであろう。
なお、オフィス部分に東芝が入居するかどうかは2017年時点では発表されていない。
計画断面イメージ(フロア構成)(プレスリリースより)。
ビル前に桟橋-「水上交通と鉄道の交通結節点」に
新ビル着工は2020年、完成はS棟が2023年、N棟が2029年の予定。
また、再開発に合わせてJR浜松町駅との結節強化・連絡通路のバリアフリー化やビル前の海沿い・芝浦運河側への公園や桟橋の整備も行われ、運河沿いを憩いの場とするとともに旅客船(水上バス)を運行することも検討されているという。
この旅客船の運行は都心地域における通勤混雑の緩和も目的としており、将来的に浜松町が海上・水上交通と鉄道の交通結節点となることも考えられる。
周辺エリアとの連携強化を目指す(プレスリリースより)。
芝浦運河側のイメージパース。
水辺の整備も行い、桟橋が設置される(プレスリリースより)。
こちらは首相官邸・国家戦略特区会議資料による運河沿いイメージ。
「世界貿易センタービル」も一部解体開始-本体は五輪後に
浜松町駅は羽田空港やリニア中央新幹線品川駅から近く、再開発の動きが盛んになっている。今後は近いうちに「世界貿易センタービルディング」も、「(仮称)浜松町駅前プロジェクト」として建替え・再開発がおこなわれる予定となっており、9月より南館の一部で解体工事が開始されている。
世界貿易センタービルは、1965年に完成した高さ152メートルの超高層ビルで、完成当時は日本一の高さであった。ビルの本館の解体は東京オリンピック後の2021年以降になる予定で、テナントなどは当面営業を続ける。
世界貿易センタービル。
こちらには、オフィスのほかにコンベンションホールなどMICE機能も設けられる予定だ。
浜松町はモノレールからJRへの乗り換え客が多いもののこれまで観光とはあまり縁が無かった地域であるが、再開発の完成時には多くの人が集う人気スポットになりそうだ。
外部リンク(プレスリリース):浜松町ビルディング(東芝ビルディング)建替事業「(仮称)芝浦一丁目計画」 整備方針について~水辺の賑わい・舟運活性化を通じて国際的な観光・ビジネス拠点を整備~(野村不動産、PDF)
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