下関大坂屋ホテル、2025年冬開業-大手ネットカフェ運営会社が「東京第一ホテル下関」再生、大妓楼の名前引継ぎ5年ぶり営業再開へ

山口県下関市の阪急阪神第一ホテルグループ系シティホテル「東京第一ホテル下関」跡に、大手ネットカフェ「アイ・カフェ」(本社:神奈川県横須賀市/東京都台東区)が手掛ける新ホテル「下関大坂屋ホテル」が2025年冬を目処に開業する。

大妓楼跡地にうまれた東京第一ホテル下関

東京第一ホテル下関は、1947年創業の老舗ふぐ料理旅館「みもすそ川別館」と同社創業家が出資母体となるかたちで、1981年12月設立となった運営会社「TRK不動産」主導のもと、1984年10月に開業。建物は地上8階地下1階建で客室数は77室。
同館は江戸元禄時代から幕末/明治維新を経て第二次世界大戦まで長い歴史を誇った赤間関稲荷町の大妓楼「大坂屋」跡地、出資母体の本流「みもすそ川本館」跡地、関門海峡を見渡せる丘の上という歴史的にも環境的にも良好な立地条件を活かし、ビジネス・レジャーなど幅広い需要に対応した客室に加え、冠婚葬祭需要に対応した結婚式場(ウェディングチャペル)や宴会・会議場、飲食店(ふぐ料理店・フランス料理店)を整備した。

20年11月無期限休業した下関の第一ホテル、新ホテルに

東京第一ホテル下関は開業以来、小林一三創業の大手ホテルグループ「第一ホテルチェーン(現阪急阪神第一ホテルグループ)」に加盟することで、下関東急イン(後の下関東急REIホテル/2016年3月閉館)や下関マリンホテル(田中金属系/2015年3月閉館)といった同業とともに下関市内を代表するシティホテルとしての地位を確立した。
一方、2020年11月30日には感染症拡大を背景として阪急阪神第一ホテルグループとのフランチャイズ契約を終了、無期限休業となったのち、2023年5月に開業当初からの運営会社(TRK不動産)と創業家の不動産管理会社(西山商事)が破産手続きを開始していた。

東京第一ホテル下関。

東京第一ホテル下関は阪急阪神第一ホテルグループ離脱にともなう無期限休業や運営会社の破産手続開始もあり廃墟状態となっていたが、2025年9月より大手ネットカフェ「アイ・カフェ」主導のもと歴史ある大坂屋の屋号を冠した新ホテルとして求人募集を開始、公式サイトを開設(同月中閉鎖)するなど新体制のもと営業再開の見通しが立つこととなった。

大手ネットカフェ運営会社のもと営業再開めざす

アイ・カフェは2001年12月に初代法人を設立、2002年2月にネットカフェ1号店「アイ・カフェ岡山本店」を開店した。
2003年2月には大手新古書店運営会社「テイツー」と資本業務提携を締結し、テイツー主導のもと同社主力業態「古本市場」併設店舗の全国展開を開始。2004年2月にテイツーの連結子会社となったのち、2009年9月に同社と一時経営統合したが、2011年9月にはテイツーグループ事業戦略見直しの一環として名古屋本拠の大手カラオケ機器販売会社「カジ・コーポレーション」への分割承継対象となり、カジ社のネットカフェ中核ブランドとなった。

アイ・カフェの店舗(北海道札幌市/現在は道内全面撤退)。

アイ・カフェは2013年1月の九州地場大手同業「Cybac」事業承継(2021年3月まで運営会社及び飲食事業はフククルフーズとして存続)や2014年4月の中四国地場大手同業「funky time」事業承継といったM&Aにより店舗網を拡大したもの、2020年代初頭の感染症拡大や同業との競争激化を背景に店舗数を減少、2022年8月にカジ社より会社分割のかたちで独立を図り二代目法人運営による現体制となった。2025年10月現在のネットカフェ店舗数は21店舗となっている。
同社は従来の主力業態であったネットカフェに加え、グループ会社が首都圏(湘南国際村・足柄・富士河口湖)及び長野県内(茅野など)で手掛けるリゾートホテルのノウハウを活かし、シティホテルを本格展開することとなる。

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